教えてヨーコ部長! ~女子のお悩み相談室~<11>【動画あり】パンク時のチューブ交換が一人でできません

by 青木陽子 / Yoko AOKI
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 数あるスポーツの中でもとくに男女差が大きいと言われるサイクルスポーツ。悩みや疑問が出てきても、身近に相談できる人がいなかったり、男性では聞きにくかったり…。そんな女性サイクリストのみなさんからの相談を、Facebookの大グループ『自転車女子部』を主宰している“ヨーコ部長”こと青木陽子さんがどーんと引き受けます。質問もどしどしお送りください!今回は、女性に限らずビギナーなら誰でもつまづく最初の課題、「パンク時のチューブ交換」について。文末に動画による手順解説もあります。

1人でのパンク修理に自信がもてません… Photo: iStock.com/Ababsolutum

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 パンクの対応に自信が持てません。自分ひとりでチューブ交換ができるようにならないと遠くにひとりで行けないし、いつも同行の人にやってもらうのも申し訳なくて。講習会に行ったけれど、自分でやったときにはタイヤをはめられませんでした。手の力がないからでしょうか。

ハンドルネーム:(クリンちゃん・27歳)

 こんにちは。ご無沙汰してます。ヨーコ部長です。パンク時の対応は、スポーツ自転車入門の最初にしてかなり大きな壁ですね。でも、ここを乗り越えられなかったという人はまずいないので恐るべからず。いくつかの理屈とコツを飲み込めればじつは簡単です。

 まずパンクはなぜ起こるのかを理解することで、パンクの可能性を減らし、パンク修理も的確にできるようになります。今回は最も多くの人が使っている、タイヤの中にチューブを入れて使う「クリンチャータイヤ」のパンク対応のお話をします。

 パンクは、タイヤを空気の圧力で内側から支えているチューブから空気が抜けてしまうことです。その原因は大まかに以下の3つが挙げられます。

1.尖ったものがタイヤを通して刺さってチューブに穴が開いた
2.空気圧が不足してタイヤがペシャンコになり、タイヤとホイールリム(金属の輪っか)に潰れたチューブが挟まれて穴が開いた(いわゆるスネークバイト)
3.チューブが古くて劣化するなどで、空気を入れるバルブの付け根などが破れた

 2は空気圧をメーカー指定の高さまで入れておくことで防げます。3はチューブを時々交換したり、修理を繰り返したチューブを無理に使うなどしていなければあまり起きません。やはり1が圧倒的に多いです。

チューブ交換の工程は7つ

 ということで、早速チューブ交換の手順を説明しましょう。

部長のポケットに入っているパンク対応キット。右上から時計回りに、トピークの極小ポンプ。スペアチューブ。タイヤレバー2本、パークツールのタイヤブート。タイヤが裂けたときに応急処置として裏から貼り付けるもの。銀行カードの右の小さな正方形は、チューブの穴を塞ぐ糊付きパッチと紙やすり。スペアチューブを使ってしまった2回目のパンクはこれで穴を塞いで同じチューブを利用します Photo: Yoko AOKI

手順1 ホイールを外す

 パンクに気づいたら、安全に作業ができそうな場所を探して停車します。作業が必要なほうのブレーキキャリパーをリリース。

ブレーキキャリパーをリリース Photo: Kyoko GOTO

 パンクを直さなくちゃ!と焦っていると忘れがちですが、後輪であれば、一番外側の小さなギアまでシフトをしてチェーンを移動させてホイールを外しましょう。ホイールを外した自転車は、ディレイラーに泥がついたり重量がかかったりしないように左側を下にしてそっと横たえるなどして置いておきます。

手順2 チューブを引っ張り出す

 チューブ内に空気が残っている場合は、バルブコアを緩めて押し下げ、完全に空気を抜きます。タイヤがペコペコになったら、片手でタイヤを掴んで両サイドから中央に潰しながら一周し、リムに固着していることがあるタイヤの縁(以降ビード)を緩めます。タイヤを横から押すとホイールリムから浮いてブカブカした状態になるように。

 タイヤレバーをブカブカになった隙間に差し込んで、タイヤを横から潰すと見えるタイヤのビードにひっかけ、てこの原理でえいやっと引っ張り上げます。タイヤレバーの反対側はフックになっているので、これをスポークにひっかけて、ビードを引っ張り上げた状態のままに。

ブカブカになったタイヤとチューブの隙間に差し込み、タイヤを横から潰すと見えるタイヤのビードにひっかける Photo: Kyoko GOTO

 もう1本のレバーを、そこから10cm前後のところに差し込んで、同じようにビードを引っ張り上げます。硬すぎて引っ張り上げられない、レバーが折れそう!というときは少し距離を近づけて。また、最初に差し込んだレバーをスポークに引っ掛けるのを外し、引っ張り上げのテンションを緩めると2本めのレバーを入れやすくなります。

 2本のレバーで引っ張り上げられたら、その2本の距離を横にスライドさせたりこじったり開いていきましょう。じきにタイヤビードがバコッとリムから外れる瞬間が来ます! これで最初の山場はクリア♪ タイヤレバーをそのまま横に滑らせて、タイヤの片側のみ一周をリムから外します。タイヤの内側にあるチューブを引っ張り出します。ときどきくっついていますが、引っ張ると剥がれます。バルブにリムナットがついている場合はリムナットを外してバルブを抜きます。

タイヤレバーをそのまま横に滑らせて、タイヤの片側のみ一周をリムから外す。タイヤの内側にあるチューブを引っ張り出した状態 Photo: Kyoko GOTO

手順3 パンクの原因を調べる

 いま外した穴の空いたチューブに空気入れで空気を入れ、どこに穴が開いているか探します。シューシューという音、あるいは膨らませたチューブを唇や頬のそばに持ってきて一周チェックすると、小さな風で大抵は見つけられます。

膨らませたチューブを顔のそばに持ってくると、どこに穴が開いているかをチェックしやすい Photo: Kyoko GOTO

 パンク穴の大きさや位置を見て、タイヤのどこを何が貫通したのか推理し、タイヤにそのパンクを起こした小石や金属片などがまだ残っていないか確認します。これが残っていると、新しいチューブをつけてもまた同じところに穴が開いてしまうことが多いからです。

 わからないときは、タイヤの内側に指の腹を這わせて、貫通しているものがないかチェック(指先を怪我しないようにそっと)。タイヤの内側がきれいであれば、パンクの理由がわからなくてもまぁほぼ大丈夫でしょう。用意しておいたスペアチューブを入れていきます。

タイヤの内側に指の腹を這わせて、貫通しているものがないかチェック Photo: Kyoko GOTO

 たまに、外したチューブに空気を入れても空気の漏れが確認できない、ほっておいてもチューブがパンパンのままということもあります。これは開いた穴がものすごく小さく、ごくゆっくり空気が抜けるスローパンクの可能性が高いでしょう。拍子抜けしますが、この場合もタイヤの内側がきれいかどうかを確認したら、スペアチューブに交換します。

手順4 スペアチューブを入れる

 持参した、新しい(あるいはパッチ修理済みの)チューブに少しだけ、膨らんでようやく輪っかの形が出るくらいまで空気を入れて扱いやすくします。

入れる前に輪っかの形ができるくらいに軽く空気を入れ、扱いやすくする Photo: Kyoko GOTO

 チューブのバルブについているキャップとリムナットを外して、ホイールリムのバルブ穴に通し、チューブ一周をタイヤの中に収めていきます。少し空気が入っていることで、タイヤの内側にスポッと座りよく入ってくれるでしょう。ときどきなぜかチューブの円周のほうがタイヤの円周より長くて余ることがありますが、あまり気にせず全部押し込んでOKです。

手順5 タイヤをホイールに再装着

 チューブが収まったら、タイヤビードをリムにはめていきます。最初は簡単に入っていきますが、最後20cmくらいになってくると、かなりキツくなってくると思います。タイヤやホイールの種類や組み合わせによって入りやすい場合もありますが、すごく難しいこともあります。ここがパンク修理最大の難所です。タイヤレバーで無理に入れたくなりますが、せっかく交換したばかりのチューブを傷つける可能性が高いので、できるだけやめましょう。

ガニ股姿を恥をしのんで公開。タイヤを両手で体重をかけて下に引っ張って余裕を作り、ビードをはめようとしている部長です。このホイールもそうですが、クリンチャーとチューブレスの2種類のタイヤがつけられるいわゆるツーウェイのホイールはタイヤの付け外しに苦労することが多いようなので、選ぶ時にはご覚悟を Photo: Yoko AOKI

 ウウ、これは厳しい…入るわけないじゃん、となったら深呼吸。立ち上がり、ホイールのビードがまだ入っていない個所をホイールの最下点、自分の脚と反対側(向こう側)にし、自分の脚に立てかけるようにしてホイールの頂点を両手で握ります。そこから両手を左右にタイヤに添って這わせて下ろしながら、タイヤに体重をかけ、タイヤを下に引っ張りおろします。できるだけタイヤの余裕を最下点のビードが入っていないところに集めるのです。

 このとき、タイヤをつかんで引っ張り下ろす指先でタイヤを左右から潰して、両側のタイヤビードをリムの幅方向に対して中央に集めることで(船底になっているリム断面の中心は円周が小さいので)、よりたくさんの余裕を下に集められます。

 じりじり、じりじりと体重をかけつつ両手が再下点に近づいたら、そのまま中腰でホイールをホイッとふとももに乗せるとともに両手親指とその付け根に渾身の力を込めて、入っていなかったビードをリムにバチン!と乗せます。うおおおおおお、できたぁぁぁぁ!

 入らない時は、立ち上がり深呼吸、ホイールの頂点から引っ張り下ろすところから頑張ります。大丈夫、3回もやってれば入りますって。そもそも入ってたんだし。握力がクラスでいちばん弱かった部長でもできてますので、誰でもできます。

手順6 空気を入れる

 ではさっそく空気を入れていきます。その前に、いまはめたタイヤビードがチューブを挟んでしまっていないかチェック。タイヤを左右から潰して上から覗き込み、チューブがビードの下からちらっとはみ出ていないか確認。目印になるバルブから始めてバルブに戻ってくるまで一周。念のため両側確認しましょう。

タイヤビードがチューブを挟んでしまった状態 Photo: Kyoko GOTO

 チューブを挟んだまま空気を入れると、そこでチューブが破れて苦労が水の泡になるのでご注意! このチェックのときに、タイヤと内側のチューブを一緒に気持ち揉むようにしてなじませてあげると、空気を入れたときにタイヤがうまくリムにフィットします。

 空気圧は、女性の場合、手動ポンプならこれが腕力の限界というところまで入れるつもりで。正しい空気圧のときにタイヤがどのくらいの硬さか、押した感触をあらかじめ覚えておき、なるべくそれに近い所まで。でも、体格などにもよりますが、6気圧も入っていれば大抵は大丈夫です(この感触も覚えておきましょう)。バルブコアを締めて、空気が逃げないようにします。バルブナットとバルブキャットは使わなくても大丈夫ですが、せっかくあるのでもとのようにつけておきましょう。

ホイールを壁に押し付けるとポンピングしやすい Photo: Kyoko GOTO

 ポンピングが苦手な人はCO2カートリッジ(小さなボンベ)とインフレーター(ノズル)を持ち歩くのは一案ですが、わたしはポンプ派です。CO2カートリッジは1回使いきり。もし空気入れに失敗したり、何回もパンクして携帯していたカートリッジを使いきったらお手上げです。1本300円弱はしますし、あのボンベの金属を使い捨てるのもわたしは嫌なので、小型の高圧まで入れられるポンプを持ち歩いています。

レザインの曲がる延長ホース付きの携帯ポンプ「CARBON ROAD DRIVE2 」(税抜13,650円) ©lezyne

 腕力に自信のない人におすすめなポンプは、入れやすさで断然有利な、曲がる延長ホース付きのタイプです。レザインのホース内蔵型のがわたしはお気に入りです。これか、ホースは付いていないけれどさらに軽く小さなタイプのどちらかを後ろポケットに入れて愛用しています。

手順7 自転車に装着、レッツゴー

 ホイールを、外したときと反対の順でバイクに装着します。自転車の下にホイールを置いて、ディレイラーのアームを伸ばして上側のチェーンを一番外側のギアに乗せて、ドロップアウトにホイールのアクスルをしっかり入れ、締めます。スキュアの場合、多少体重をかけ、きちんと入っていることを確認して締めます。ここでブレーキキャリパーのリリースを戻すことを絶対にお忘れなく! ブレーキが正常に利くことを確かめてから走り出しましょう。

タイヤをきれいにすることもリスク回避に効果大

 パンクのしやすさは、タイヤの薄さ(軽さ)やパンク防止層の有無、またチューブの薄さによっても大きく左右されます。ヒルクライムやレースなどでは軽いタイヤやチューブが有利ですが、ロングライドや悪天候の日に走る場合は多少重たくてもパンクに強いタイヤと厚手のチューブを選ぶのが吉。

 またスペアチューブを購入する際は、使っているリムの背の高さ(リムハイト)に合ったバルブ長のものを選ばないと、出先でバルブがリムのバルブ穴から顔を出してくれないということにもなりかねませんのでご注意。

自宅に置いてあるチューブのパッチセット。穴の開いたチューブは持って帰り、この昔ながらのパッチセットで補修します。チューブはわたしは2回くらいまで修理して使います。最近は使い捨てる人も多いけれど、資源は大切にしたいですからね Photo: Yoko AOKI

 またパンクの可能性を下げるためには、日頃からタイヤをきれいにしてあげることも効果大です。濡らしたウエス(ボロ布)で拭きながら表面をチェックして、小石や金属片が刺さっていたら、先の尖ったツールで取り除いておきましょう。取りにくい場合は、タイヤの空気圧を落とすと取りやすくなります。

 いかがでしょうか。大量の文字数にウヘェと思っているかもしれませんが、できるだけわかりやすく書いてみたつもりです。何より、なぜその作業をするのかという理屈がわかると覚えやすくなるので、そこを厚めに説明してみました。まだわからないという方はぜひ質問してください。

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※ヨーコ部長にあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか? ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「教えてヨーコ部長!」としてお寄せください。

青木陽子回答者 青木陽子(あおき・ようこ)

当サイトで『“自転車革命都市”ロンドン便り』も連載中のフリー編集者・ジャーナリスト。雑誌編集者を経て独立起業、日本の女性サイトの草分けである「cafeglobe.com」を創設し、編集長をつとめた。スポーツ自転車歴は17年目、11台の自転車を所有。Facebookで1000人近い女性メンバーが集う「自転車女子部」を主宰するほか、サイクルアパレル「Rapha」のアンバサダーでもある。ブログ「yokoaoki.com」を更新中

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