title banner

福光俊介の「週刊サイクルワールド」<32>ジロ・デ・イタリア2014のコースが発表 ステージ構成と選手たちの反応を探る

  • 一覧

 “落ち葉のクラシック”ジロ・デ・ロンバルディアが終了し、いよいよサイクルロードレースシーズンは終幕が近づいてきました。一方で、次なるシーズンに向けた準備が着々と進む時期でもあります。このほど、ジロ・デ・イタリアのルートが正式発表されました。今回はそのステージ構成と、選手や関係者の反応をチェックしました。

ジロ・デ・イタリア2014は北アイルランド・ベルファストで開幕

 ジロ・デ・イタリア2014のコースプレゼンテーションが7日、イタリア・ミラノで開かれ、全21ステージの行程が正式に発表された。

コース図の前で撮影に応じるニバリコース図の前で撮影に応じるニバリ

 ステージ構成は、個人タイムトライアル2、チームタイムトライアル1、スプリントステージ8、中級山岳ステージ1、中級山岳頂上ゴール4、超級山岳頂上ゴール5。総距離は3449.9km(平均距離164.2km)。

 2014年のジロは史上初めて、アイルランドに足を踏み入れる。北アイルランド最大の都市、ベルファストが開幕地に選ばれた。5月9日にタイタニック・ベルファスト・ミュージアム前をスタートするチームタイムトライアルで戦いの幕が開ける。続く第2、第3ステージは、いずれもスプリントステージ。とはいえ、風が強く、イージーなレースにはならないだろう。

 移動日を経て、イタリア本土での戦いは第4ステージから。南部をスタートし、その後はアペニン山脈での中級山岳ステージをこなしながら、アルプスの山々を目指して北上する。

 総合優勝争いは、後半ステージに集約される。第12ステージ、バルバレスコからバローロまでの46.4kmの個人タイムトライアルで、有力選手の間にタイム差が生まれることに。

第16ステージ コースプロフィール ©RCS SPORT第16ステージ コースプロフィール ©RCS SPORT

 第14ステージ以降は、超級山岳頂上ゴールが5つ、さらには山岳個人タイムトライアルも設定された。ポンテ・ディ・レーニョからヴァル・マルテッロまでの第16ステージ(139km)は、降雪でレースキャンセルとなった今年のジロ第19ステージを再現。なお、中盤に通過するパッソ・デッロ・ステルヴィオ(ステルヴィオ峠)がチーマ・コッピ(最高標高地点)となる。

 3週間の戦いの仕上げは、第19ステージ、バッサーノ・デル・グラッパからチーマ・グラッパまでの山岳個人タイムトライアル(26.8km)。そして、“魔の山”モンテ・ゾンコランの頂上ゴールとなる第20ステージ(167km)。この2ステージで決着する。山岳個人TTは登坂距離19.3km、平均勾配8%、残り約4km地点で最大勾配14%区間を迎える。第20ステージは、中盤にパッソ・デル・プーラとセッラ・ラッツォ、2つの超級山岳を通過。そして、ゴールまで残り10.1kmからゾンコランへ。平均勾配11.9%、上り始め約3kmで最大勾配22%区間が登場。その後もコンスタントに15~20%の勾配が続く。

第19ステージ コースプロフィール ©RCS SPORT第19ステージ コースプロフィール ©RCS SPORT
第20ステージ コースプロフィール ©RCS SPORT第20ステージ コースプロフィール ©RCS SPORT
モンテカンピオーネを制したパンターニ(ジロ・デ・イタリア1998)モンテカンピオーネを制したパンターニ(ジロ・デ・イタリア1998)

 6月1日、スロベニア、クロアチアとの国境の街・トリエステ周回コースでのスプリントで締めくくりとなる。

 また、マルコ・パンターニの死から10年となることから、彼の思い出をたどるルートが一部採用される。第8ステージ後半に通過するチッポ・ディ・カルペーニャは彼のトレーニングコースだった山。第14ステージ山頂ゴールのオローパは、1999年にチェーンを落とすトラブルがありながら、49選手をごぼう抜きして勝利した場所。続く第15ステージのモンテカンピオーネは、1998年のジロで総合優勝を決定づけた上りだ。

■ジロ・デ・イタリア2014ルート(★の数は難易度)
 
5月9日 第1ステージ ベルファスト~ベルファスト(チームタイムトライアル) 21.7km ★★★
5月10日 第2ステージ ベルファスト~ベルファスト 218km ★★
5月11日 第3ステージ アーマー~ダブリン 187km ★
5月12日 休息日
5月13日 第4ステージ ジョヴィナッツォ~バーリ 121km ★
5月14日 第5ステージ ターラント~ヴィッジャーノ(中級山岳頂上ゴール) 200km ★★★
5月15日 第6ステージ サッサーノ~モンテカッシーノ(中級山岳頂上ゴール) 247km ★★
5月16日 第7ステージ フロジノーネ~フォリーニョ 214km ★★
5月17日 第8ステージ フォリーニョ~モンテコピオーロ(中級山岳頂上ゴール) 174km ★★★★
5月18日 第9ステージ ルーゴ~セストラ(中級山岳頂上ゴール) 174km ★★★
5月19日 休息日
5月20日 第10ステージ モデナ~サルソマッジョーレ・テルメ 184km ★
5月21日 第11ステージ コッレッキオ~サヴォーナ(中級山岳ステージ) 249km ★★★
5月22日 第12ステージ バルバレスコ~バローロ(個人タイムトライアル) 46.4km ★★★★
5月23日 第13ステージ フォッサーノ~リヴァローロ・カナヴェーゼ 158km ★★
5月24日 第14ステージ アリエ~オローパ(超級山岳頂上ゴール) 162km ★★★★
5月25日 第15ステージ ヴァルデンゴ~モンテカンピオーネ(超級山岳頂上ゴール) 217km ★★★★
5月26日 休息日
5月27日 第16ステージ ポンテ・ディ・レーニョ~ヴァル・マルテッロ/マルテルタル(超級山岳頂上ゴール) 139km ★★★★★
5月28日 第17ステージ サルノーニコ~ヴィットーリオ・ヴェネト 204km ★★
5月29日 第18ステージ ベッルーノ~リフージオ・パナロッタ/ヴァルスガーナ(超級山岳頂上ゴール) 171km ★★★★
5月30日 第19ステージ バッサーノ・デル・グラッパ~チーマ・グラッパ/クレスパーノ・デル・グラッパ(山岳個人タイムトライアル) 26.8km ★★★★★
5月31日 第20ステージ マニアーゴ~モンテ・ゾンコラン(超級山岳山頂ゴール) 167km ★★★★★
6月1日 第21ステージ ジェモーナ・デル・フリウリ~トリエステ 169km ★

ジロのルートに対する選手・関係者の反応

 発表されたジロ2014のルートを俯瞰すると、前半ステージはスプリンターが主役、後半ステージで総合優勝を目指すステージレーサーたちの出番到来といったところ。近年は序盤ステージから難関山岳が含まれているケースも少なくないが、今度のジロに限っては元来のステージ構成といえよう。

連覇のかかるニバリはツールに集中か連覇のかかるニバリはツールに集中か

 また、UCI規則により、グランツールにおける第1週の休息日設定は禁止となったが、アイルランドからの移動に時間がかかる今回に限り、ルールが不適用に。イタリア入国後もステージ間移動が少ない見通しで、関係者やチームスタッフらは胸をなでおろしたようだ。

 平坦・中級山岳・超級山岳・タイムトライアルと、全体的なバランスも整った印象だ。最近はスプリンターには酷な3週間となることも多かったが、後半ステージにも適度にスプリントステージが加えられる。有力スプリンターの参戦も期待できるだろう。

 コースプレゼンテーションに出席した選手たちの反応も上々。ディフェンディングチャンピオンのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)は、「個人タイムトライアルと最終週の山岳ステージがポイントだ」とコメント。ただ、来シーズンはツール・ド・フランスに集中する意向を示しており、連覇のかかるジロは回避することになりそう。

 一方で、コースが明らかになり参戦意欲を示したのは、イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール プロサイクリング)、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)。エヴァンスはツール出場を若い選手に譲るとしており、自身は「2002年の初出場以来情熱を持ち続けている」というジロにフォーカスする。

(左から)キンタナ、スカルポーニ、エヴァンス、(右4人目から)バッソ、ニバリ、ロッシュ、ステファン・ロッシュ氏(左から)キンタナ、スカルポーニ、エヴァンス、(右4人目から)バッソ、ニバリ、ロッシュ、ステファン・ロッシュ氏

 地元スタートで意気込むのはニコラ・ロッシュ(アイルランド、チーム サクソ・ティンコフ)。今年のブエルタ・ア・エスパーニャ総合5位からの躍進を狙う。若手有望株のナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)は、「個人TTの距離が長いのが気になる。ツール、ブエルタのコースが発表になり次第、比較して出場するか決める」と慎重な姿勢を見せている。

今週の爆走ライダー-ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム)

「爆走ライダー」とは…
1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 もう誰をも気にせず、感覚のままゴールを目指すだけだった。

 10月6日のジロ・デ・ロンバルディア。最後の上り、ヴィラ・ヴェルガノの最大勾配15%区間でアタック。下り、ゴール直前の平坦路もクリアし、昨年同様盤石の走りを披露した。

劇坂で他を圧倒。勝利に向けて独走するロドリゲス(ジロ・デ・ロンバルディア2013)劇坂で他を圧倒。勝利に向けて独走するロドリゲス(ジロ・デ・ロンバルディア2013)

 いまや「激坂」は彼の代名詞となった。だが、ケス・デパーニュ時代はアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、現モビスター チーム)のアシストに甘んじ、思うように走れないことも多かった。それでも、スペインとフランスに挟まれた小国、アンドラに拠点を置き、ピレネー山脈で脚を磨き続けた。彼にとって、すべては現チーム移籍後に始まったと言える。

笑顔でトロフィーを掲げた(ジロ・デ・ロンバルディア2013)笑顔でトロフィーを掲げた(ジロ・デ・ロンバルディア2013)

 9月29日の世界選手権ロードレースでは惜しくも銀メダルに終わり、人目をはばからず泣いた。「数々勝利したが、マイヨ・アルカンシエルだけが私のキャリアに欠けているものだ」と悔いた。それでも、きっとまたチャンスが巡ってくるはずだ。

 世界選手権後には、F1ドライバーのフェルナンド・アロンソに招待され、フェラーリ本社を訪問。ドリームカー「F12ベルリネッタ」を運転し、笑顔を取り戻した。来年は35歳になる“プリート”だが、今の力からして、もうしばらくはポディウムで笑う彼の姿が見られることだろう。

 彼の強さとこれまでの苦労は誰もが知る。だからこそファンも多く、みんなに愛される。全世界の応援を味方に付け、来シーズンもクラシック、グランツール、そしてマイヨ・アルカンシエルにチャレンジする。

文 福光俊介

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ジロ・デ・イタリア2014 ジロ2014・レース情報 週刊サイクルワールド

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載