UCI世界選手権 男子エリート・ロードレースコスタがポルトガルに初のマイヨ・アルカンシエルをもたらす 2、3位はロドリゲス、バルベルデのスペイン勢

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 UCI世界自転車選手権ロードレースは29日、最終種目の男子エリート・ロードレースが行われ、ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター チーム)が、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム)と1対1のスプリントを制して初優勝。世界チャンピオンの証、虹色のジャージ「マイヨ・アルカンシエル」をポルトガルに初めてもたらした。

ホアキン・ロドリゲス(左、スペイン)と1対1のスプリントを制したルイ・コスタ(ポルトガル)がアルカンシエルを獲得したホアキン・ロドリゲス(左、スペイン)と1対1のスプリントを制したルイ・コスタ(ポルトガル)がアルカンシエルを獲得した

 イタリア・フィレンツェを舞台に、22日に開幕した“ロードレース世界一決定戦”の最終日を飾るのは、男子エリート・ロードレース。今回は、イタリア半島北東部のルッカをスタートして106.6km走ったのち、1周16.6kmのフィレンツェ市街地周回コースを10周。総距離272.2kmで争われる。周回コースには難易度の高い2つの上りが待ち受ける。周回前半で上るフィエゾーレは、登坂距離4.37km、平均勾配5.2%、最大勾配9%。一度下って迎えるヴィア・サルヴィアーティは、登坂距離は600mと短いものの、平均10.2%、最大16%の急坂。この日までに行われたレースでは、男女ともに2つの上りが勝負に大きく影響した。また、開幕以降続いた好天から一転、最終日は強い雨。悪コンディションを味方にできるかどうかもポイントとなった。

強い雨の中を進むプロトン。中央は昨年の王者、フィリップ・ジルベール(ベルギー)強い雨の中を進むプロトン。中央は昨年の王者、フィリップ・ジルベール(ベルギー)

 序盤に逃げを決めたのは、バルトス・フザルスキー(ポーランド、ネットアップ・エンデューラ)、ヤン・バルタ(チェコ、ネットアップ・エンデューラ)、マティアス・ブランドレ(オーストリア、イアム サイクリング)、ヨンデル・ゴドイ(ベネズエラ、アンドローニジョカットリ)、ラファー・シティウィ(チュニジア)の5人。最大で8分のリードを築くが、メーン集団をコントロールしたイギリスがそれ以上の差を許さない。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)が牽引役を担い、約7分半差でフィレンツェの周回コースへと入った。

 そこから主導権を握ったのは、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)での勝利を狙うイタリア。雨が強まる中、ペースを一気に上げると、たびたび集団がいくつもに割れた。また、2周目には集団内で落車が起き、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)やダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)らが巻き込まれ、そのままリタイアに追い込まれた。

フィレンツェ市街のドゥオモ広場・聖堂前を通過するプロトンフィレンツェ市街のドゥオモ広場・聖堂前を通過するプロトン

 周回を終えるたびにメーン集団の人数が絞られていき、サバイバルレースの様相を呈していく中、逃げメンバーもフザルスキーとバルタの2人となる。一時は約1分半にまで迫った逃げとメーン集団との差は、再び約3分半ほどにまで開いた。そんな中、6周目のヴィア・サルヴィアーティでマルクス・ブールクハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)がアタック。これがきっかけで集団が活性化し、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム)、ゲオルク・プライドラー(オーストリア、チーム アルゴス・シマノ)が追走グループを形成。その後、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)とシリル・ゴティエ(フランス、チーム ヨーロッパカー)が合流。4選手で先行する2名を追った。

落車をしてうずくまるヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)落車をしてうずくまるヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)
バイクを交換して再スタートしようとするニバリバイクを交換して再スタートしようとするニバリ

 8周目に入ると、フィエゾーレの上りでフザルスキーが単独で先頭に立った。また、追走グループでもヴィスコンティが抜け出すと、ヴィア・サルヴィアーティの上りでフザルスキーに追い付いた。メーン集団では、ヴィア・サルヴィアーティの下りでニバリやルカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ チーム)ら複数名が巻き込まれる落車が発生。ニバリはすぐに走り始めたものの、集団復帰のために半周近く単独で追うことを余儀なくされてしまう。

 9周回目のフィエゾーレの上りで先頭を走っていた2人を吸収し、ここまでに生き残った42選手が一団となって運命の最終周回へ。

 フィエゾーレの上りで最初に仕掛けたのは、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)。この動きに対応できたのはロドリゲスのほか、コスタ、ニバリ、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイ プロサイクリング)のみ。さらに頂上手前でニバリがアタック。これをロドリゲスがチェックし、2人を先頭に頂上を通過した。

先行するロドリゲスを追う(前から)コスタ、ニバリ、バルベルデ先行するロドリゲスを追う(前から)コスタ、ニバリ、バルベルデ

 直後の下りではロドリゲスが先行。ニバリは、後方から追い上げてきたバルベルデとコスタとともに追走。また、ウランはコーナーで落車し、優勝争いから脱落してしまった。

 そして最後のヴィア・サルヴィアーティ。一時はライバルに10秒以上の差を付けたロドリゲスだったものの、この急坂では失速気味。追走グループでは、ニバリが再びペースアップし、下りでロドリゲスに合流。バルベルデ、コスタも続き、優勝争いは4選手に絞られた。

 イタリアとポルトガルが1人ずつに対し、2人と数的優位に立ったスペイン。残り3kmの小さな坂を利用してアタックを繰り出したのはロドリゲス。再び3選手を引き離し、単独でゴールを目指す。何とかしてロドリゲスに追い付きたい3選手は、ここまで集団後方に待機していたコスタが残り1.5kmで抜け出すことに成功。見る見るうちに差を縮め、残り500mでついにロドリゲスを捕らえた。

 勝負は2人によるスプリントに。牽制状態から残り150mで先にスプリントを仕掛けたのはコスタ。ロドリゲスも必死に追いすがったが、コスタのスピードは衰えず、そのままトップでゴールへと飛び込んだ。

世界選手権での優勝を決めて歓喜するルイ・コスタ(ポルトガル)世界選手権での優勝を決めて歓喜するルイ・コスタ(ポルトガル)

 コスタは1986年生まれの26歳。2007年に当時プロコンチネンタルチームだった自国のチーム、ベンフィカでプロデビュー。2009年に現所属チームの前身であるケス・デパーニュに移籍すると、1年目から勝利を挙げるなど早くからチームの主力に。2010年には、国内選手権での薬物検査でメチルヘキサナミンの陽性反応が出たため、暫定的な出場停止処分が下されたが、翌年4月に無罪が確定。チーム復帰後は、ツール・ド・フランスのステージ優勝や、GPモンレアル優勝、ツール・ド・スイス2連覇など、快進撃を続けてきた。

 特に今年は、ツールでステージ2勝。山岳やタイムトライアルに強いオールラウンダーだ。既に、来シーズンのランプレ・メリダ移籍が決定しており、マイヨ・アルカンシエルを引っ提げて新チームへと加入する。レース後は涙を流して勝利の喜びに浸り、その後の記者会見では、「この結果は信じられない。今後は、マイヨ・アルカンシエルに恥じない走りをしていきたい」と語った。

優勝したコスタ(中央、ポルトガル)、2位のロドリゲス(左、スペイン)、3位のバルベルデ(スペイン)優勝したコスタ(中央、ポルトガル)、2位のロドリゲス(左、スペイン)、3位のバルベルデ(スペイン)

 2位のロドリゲスは、2009年の3位に続く表彰台となったものの、優勝を逃し悔し涙に暮れた。また、3位争いを制したバルベルデは5度目の表彰台となったが、こちらも初の優勝には手が届かなかった。

 優勝候補筆頭に挙げられていたニバリは4位。同じく期待されていたペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール プロサイクリング)は6位、2連覇を狙ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)は9位、絶好調でレースを迎えたファビアン・カンチェッラーラ(スイス、レイディオシャック・レオパード)は10位に終わった。

 スタートから降り続いた強い雨は、レース後半に上がったものの、選手たちへの影響は大きかった。スタートした52ヵ国208選手のうち、完走者は61名。優勝したコスタのゴールタイム7時間25分44秒は、世界選手権史上最長の記録となった。

 新チャンピオンの誕生に沸いた大会は、この日をもって閉幕。ロードレース・シーズンは終盤戦へと向かう。2014年の世界選手権はスペイン、カスティーリャ・イ・レオン州ポンフェラーダで開催される。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

 
男子エリート・ロードレース結果

1 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター チーム) 7時間25分44秒
2 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム) +0秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +15秒
4 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +15秒
5 アンドリー・グリフコ(ウクライナ、アスタナ プロチーム) +31秒
6 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール プロサイクリング) +34秒
7 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +34秒
8 マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ プロチーム) +34秒
9 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) +34秒
10 ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、レイディオシャック・レオパード) +34秒

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