工具はともだち<31>トラブルでも安心! 固く締まったボルトや頭の潰れたネジを緩めてくれる、緊急対応に役立つツール

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 前回までは、皆さんに安全に走行して頂くための最も重要なポイントだと考え、トルク計測機器について詳しくお話ししてきました。メンテナンスに対する意識の高さは重要ですし、まだまだ深い話題もありますので、引き続きよろしくお願いしますね。

「インパクトドライバ」(ショックドライバ)「インパクトドライバ」(ショックドライバ)

 今回はというと、緊急対応に役立つツールのお話です。

 彼・彼女の関係、上司・部下の関係、もちろん兄弟姉妹もそうですが、ひょんなことで喧嘩したり、仲が悪くなったりなど、トラブルがありますよね。

 ボルト・ナットと工具の関係も、似たような側面があります。今までお話ししてきたように、設定されたトルクを超えての締め付けすぎや、反対に締め付け不足は、ボルトの破断や、パーツの破壊につながります。また、サイズにぴったり合わない工具を使用して、ボルトの頭をつぶしてしまったり、穴に対してボルトを斜めに差し込んで、ネジ山を潰してしまったり…。


 そんなときに助けてくれる助っ人たちをご紹介したいと思います。締めすぎたり、固着したりしてしまったネジを外す場合、ショックを与えて正常な状態にまで緩める工具があります。「インパクトドライバ」や「ショックドライバ」と呼ばれる工具です。

 通常のドライバのほとんどは、ショックを与えて使用できるようには作られていませんが、この「インパクトドライバ」や「ショックドライバ」は別物。ハンマーでグリップエンドを叩く力を、強い回転力に変えてくれる機構で、その回転力を用いて、固く締まったボルトを緩めるのです。

 ただし、ご注意!! カーボンなどの高級素材が使われている箇所の場合、破損に繋がる恐れがあるので、使用はお勧めできません。

 そして、もうひとつ。私が若い頃にこの工具があれば、どれだけ作業時間を短縮できたか…。

 メンテナンス初心者は、どうしても誤ったサイズの工具を使用しがちです。このため、ネジに対して小さい工具を使ってしまうことや、工具を奥まで差し込まず、先端だけでネジを回してネジの頭を潰してしまう(「ネジがなめる」といいます)ことがよくあります。

 そんなときに助けてくれるのが、「ねじプライヤ」。

KTC「ねじプライヤ」KTC「ねじプライヤ」
「ねじプライヤ」の使用イメージ「ねじプライヤ」の使用イメージ

 工具の先端が特殊な形状をしていて滑りにくく、通常のプライヤよりも強い力で、潰れたネジを回すことが出来ます。これがあれば、不意のトラブルでネジをなめてしまった時でも、ガブっとかみついてネジを回せるので、安心して下さいね。

 これらはあくまで緊急用の工具であり、毎日登場してほしいものではないのですが、ツールバッグに忍ばせておくと安心はできると思います。ボルト・ナットと不仲にならないように、適切な工具を使用して下さいね。

~工具屋さんのひとり言~
「倍返し」の番組が終わってしまいました。毎週の楽しみでしたが…。 最近、展示会でサイクリストの方々とよくお話をするのですが、皆さん熱心ですね。自転車に乗るだけでなく、自転車を降りた後もお洒落に過ごす、適切なメンテナンスを実施して次の走行に備える、なんてご意見もよくお伺いします。高級な素材を多用する箇所へのトルク管理や、デジラチェについてなど、メンテナンスに対する情報収集にも皆さん積極的です。

小池覚(こいけ・さとる)
KTC(京都機械工具)へ入社後、販売企画や商品開発に携わる。学生時代から二輪、四輪が趣味で、整備経験が豊富。自転車は実は始めたばかりだが、工具のプロとして、サイクリストにも整備の“いろは”を伝えることに燃えている。

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