カインズ流 ロードバイク生活を極めたい<10>「胸を張って、呼吸を楽に」 “ヒルクライム王”長沼隆行選手の特訓で赤城山完走へ大きく前進!

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さっそうと現れた“ヒルクライム王”長沼隆行選手。さわやかに特別講義が始まったさっそうと現れた“ヒルクライム王”長沼隆行選手。さわやかに特別講義が始まった

9月29日開催の「まえばし赤城山ヒルクライム」で、地元企業のホームセンター「カインズ」社員を代表して完走を目指すイッシーとトモ子さん。サイクリング・ビギナーの2人は、上り坂の練習をしようと訪れた物見山(埼玉県東松山市)で大苦戦していた。そこへ現れたのは、「VAX RACING with SAITAMA」に所属する日本屈指のヒルクライマー、長沼隆行選手。2人を見るに見かねてか、「一緒に走りましょう」と声をかけてくれた。さぁ、“ヒルクライム王”による贅沢な特訓がはじまった。

「辛くても上を向いて」

 「こんにちは!」

 イッシーとトモ子さんの前に現れた長沼選手。細身の引き締まった肉体、そして日に焼けた肌が、いかにもヒルクライマーというオーラを放っている。自転車乗り、特にヒルクライムに出場しているアスリートには憧れのスター選手が、講師を務めてくれることになった。

まずは座学から。長沼選手のアドバイスは具体的かつ詳細だまずは座学から。長沼選手のアドバイスは具体的かつ詳細だ

 先ほどまでの登坂練習で、苦しむというよりへたり込んでしまった2人に対し、長沼選手の講義はまず座学から始まった。

 「お二人とも、ずっとシッティング(サドルに座ってペダルを回すこと)でしたね。ダンシング(立ちこぎ)を織り交ぜるところからはじめましょう」

 遠くから2人の走りを見ていてくれたのだ。たしかに、2人ともダンシングを使えない。

 「ヒルクライムではダンシングが重要です。シッティングとは使う筋肉を変え、ストレッチする意味もあるんです。シッティングでも、腰がずっとサドルの上で同じ位置だと疲れます。ちょっとずつ変えるようにしましょう」

「なるほど!」と感心しながら話を聞くイッシーとトモ子さん「なるほど!」と感心しながら話を聞くイッシーとトモ子さん

 なるほど! 使う筋肉を変えれば疲れにくいということか。

 「あとは、背中の形。お二人とも背中が丸まっています。これだと呼吸がきつくなってしまうので、辛くても上を向いて背筋を伸ばすようにしてください」

 アドバイスは具体的かつ詳細だ。やがて、なんとか回復してきたイッシーとトモ子さんは、個別にアドバイスをもらうことに。

 

ハンドルを握る手はユルユルでOK

 長沼選手は、まず2人のバイクをみてひとこと。

 「サドルは前上がりでもOKですね。格好悪いけど、腰が落ち着きますから」

 たしかに、サドルを前上がりにするヒルクライマーは少なくない。「あと…」とトモ子さんのバイクをチェック。

 「トモ子さんのバイクは、サドルが低すぎますね。これだとパワーが出しにくいんです。もう少し上げてもいいかな」

「トモ子さん、サドルが低すぎますね」「トモ子さん、サドルが低すぎますね」
サドル周りを再セッティングするトモ子さんサドル周りを再セッティングするトモ子さん

 「それから、ハンドルを握る手に力を入れすぎかもしれません。ユルユルでいいんですよ」

 トモ子さんが目を輝かせて答えた。「そうなんですか! つい力んじゃいました」。さすがヒルクライム王、細かいところも見逃さない。

 続いてイッシーの番だ。カインズサイクルパークのスタッフであるイッシーの愛車は、カインズのオリジナルバイク「ソヴェール」。4万9800円と手の届き安い価格で、スポーティーな走りにもしっかり対応する。

 イッシーのバイクを見た長沼選手は、サドルの前後位置に着目した。

 「サドルをもう少し前に出しましょう。ややハンドルとの距離が遠いです。こうすれば、胸を張れるようになるので呼吸も楽になります」

イッシーの愛車はカインズのオリジナルバイク「ソヴェール」。長沼選手はサドルの前後位置に着目イッシーの愛車はカインズのオリジナルバイク「ソヴェール」。長沼選手はサドルの前後位置に着目
サドルの位置と角度を調整するイッシーサドルの位置と角度を調整するイッシー

 短時間で、重要なポイントを次々と指摘する長沼選手。2人は感心しつつ講義に耳を傾けている。が、重要なのは実践だ。これまた贅沢に、長沼選手が一緒に走りつつ指導してくれることになった。

座学を聞き、セッティングを調整して、いよいよ3人で坂道へ座学を聞き、セッティングを調整して、いよいよ3人で坂道へ

 

矢継ぎ早のポジション&フォーム改善 「楽になって驚きました」

トモ子さんのフォームを鋭くチェックする長沼選手トモ子さんのフォームを鋭くチェックする長沼選手

 まずはトモ子さんにアドバイスが飛んだ。

 「呼吸は吸うことよりも吐くほうを重視してください。ここもポイントです」

 トモ子さんも大声で答えた。「吐くんですね。わかりました」

 一緒に上る長沼選手とトモ子さんの2人。さらに長沼選手の声が響いた。

 「胸を張って! 肺を広げるイメージです」「ダンシングを使いましょう。そろそろ苦しくなってくるはずです」

 ポジションとフォームを修正したおかげで、明らかに先ほどよりも楽そうに上るトモ子さん。「こんなに変わるんですね!」と、自分でも驚いているようだ。

“ヒルクライム王”のマンツーマンレッスン“ヒルクライム王”のマンツーマンレッスン
坂道を上りきって、この笑顔! 自信がつきました坂道を上りきって、この笑顔! 自信がつきました

 続いてイッシーだ。先ほどの練習では、ずっときつそうな表情だったが…大丈夫だろうか?

「胸を張って、呼吸が楽になるように…」「胸を張って、呼吸が楽になるように…」

 「上半身に力を入れすぎです! ぺダリングに伴う揺れに体をあずけていいんです」

 「胸を前に出して! 猫背になっていますよ!」

 長沼選手のアドバイスに従いつつ坂道を上るイッシー。苦しかった先ほどの練習とは一変し、余裕を残して頂上までやってきた。

余裕ある表情で坂道をクリアするイッシー。見違えるほどたくましくなりました余裕ある表情で坂道をクリアするイッシー。見違えるほどたくましくなりました

 「いやぁ、全然違うじゃないですか! 楽になって驚きました」

 珍しく興奮するイッシー。真っ青だった顔色は紅潮し、表情も豊かになっている。

 

いかに楽に走るかが重要

 ひとしきり坂道を上って、イッシーとトモ子さんが元気な様子を確認した長沼選手は、最後にひとこと。

まえばし赤城山ヒルクライムを完走するコツは、「いかに楽に走るか」まえばし赤城山ヒルクライムを完走するコツは、「いかに楽に走るか」

 「赤城山ヒルクライムが目標ですね? 時間もありませんので、パフォーマンスを上げて速くなるというよりも、いかに楽に走るかが重要です。そのための、ポジションとフォームの改善なんです」

 そして自分のトレーニングに戻ろうとする長沼選手を、イッシーが引きとめた。

 「ファンになりました。サインをくれませんか? せめて記念写真でも」

 突然の告白(?)に戸惑いつつも、記念撮影に応じてくれる長沼選手。「じゃあ、練習してきます。2人ともがんばってください!」

ヒルクライム王の指導を受けた記念にハイ、ポーズヒルクライム王の指導を受けた記念にハイ、ポーズ
さわやかに走り去っていく長沼選手さわやかに走り去っていく長沼選手

 最後までさわやかだった長沼選手。孤高のヒルクライム王は、一陣の風を残して、飛ぶように物見山を駆け上がっていった。

 あっと言う間の特別講義ではあったが、ポジションも走りも見違えるほど進歩したイッシーとトモ子さん。赤城山ヒルクライムでの完走が、現実味を増してきた。次回はいよいよ、本格的な峠の練習へ向かうことに。

(取材・佐藤喬 写真・戸井田夏子 協力・カインズサイクルパーク)


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