ツール・ド・北海道2013 第3ステージ鹿屋体育大学の山本元喜が殊勲のステージ制覇 総合優勝はブリヂストンアンカーのトマ・ルバに栄冠

  • 一覧

 ツール・ド・北海道は16日、最終・第3ステージが行われ、逃げ集団からマッチレースに持ち込んだ鹿屋体育大学の山本元喜が、国内外の並み居るプロ選手を退けてステージ優勝を飾った。2位は山本と競り合った内間康平、3位にはベテランの福島晋一とチームNIPPO・デローザ勢が続いた。個人総合成績は、第2ステージで優勝したトマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカー)がリードを守りきり、総合優勝に輝いた。

ステージ優勝を挙げた山本元喜(鹿屋体育大学)ステージ優勝を挙げた山本元喜(鹿屋体育大学)

 第3ステージは「ニセコグラン・ヒラフ」スキー場から小樽市郊外までの116km。距離は今大会でもっとも短いものの、起伏に富んだレイアウトと、前日に引き続いての悪天候が、“何か”が起こりそうな雰囲気をかもし出した。スタート前、リーダージャージを着るルバと、総合成績で逆転優勝を狙うライバルたちからは緊張感が伝わってくる。

スタートを待つ総合リーダーのトマ・ルバ(ブリヂストンアンカー)スタートを待つ総合リーダーのトマ・ルバ(ブリヂストンアンカー)
個人総合の日本人最高位として最終日を迎え、レースの準備をする中根英登(チームNIPPO・デローザ)個人総合の日本人最高位として最終日を迎え、レースの準備をする中根英登(チームNIPPO・デローザ)
この日も雨が降るなかでレースは進んだ。序盤の山岳地帯を行く11人の先頭集団この日も雨が降るなかでレースは進んだ。序盤の山岳地帯を行く11人の先頭集団

 レースがスタートして、倶知安市街地を抜けるとアタックがかかり、11人の先頭グループが形成された。池部壮太(マトリックスパワータグ)、鈴木譲(シマノレーシング)、大場政登志(Cプロジェクト)、山本、福島、内間、中島康晴(愛三工業レーシング)、カール・エヴァンス、ジョシュア・プリート、クリスティアン・ジュエル(バジェット・フォークリフト)、竹之内悠(コルバ・スペラーノハム)というメンバー。メーン集団は、リーダーチームのブリヂストンアンカーや、先頭に選手を送り込めていないチームUKYOがコントロールする。

レース中盤で逃げ続ける福島晋一、山本元喜ら10選手レース中盤で逃げ続ける福島晋一、山本元喜ら10選手
メーン集団をコントロールするブリヂストンアンカーとチームUKYOメーン集団をコントロールするブリヂストンアンカーとチームUKYO

 先頭集団内で、個人総合成績の最高位はジョシュア・プリートで、リーダーのトマ・ルバから1分25秒遅れ。先頭集団は最大でメーン集団から約3分50秒の差を奪い、プリートが一時バーチャルリーダーとなった。しかし終盤の山岳に向かっていくと、先頭集団から選手が1人、また1人と脱落。ゴールまで残り15km、山頂を越えるころには池部、山本、福島、内間、プリートの5人に絞られた。山頂でメーン集団とのタイム差は1分50秒程度。ゴールまでの下り区間を前に、彼らの逃げ切りが濃厚となる。下りに差し掛かると、内間と山本が先行し、そこからさらに下りを得意とする内間がアタックをかけ、2人がそれぞれ単独でゴールへと向かう。

ステージ優勝を挙げた山本元喜(鹿屋体育大学)ステージ優勝を挙げた山本元喜(鹿屋体育大学)

 鹿屋体育大学自転車競技部の卒業生である内間と、現4回生の山本。ゴール前のカーブが続く区間で、2人の差は10秒、8秒と徐々に詰まる。最終コーナーを抜けると、ゴールまでの約300mは上り。内間が最終コーナーでは先行したものの、残り150mで「ただひたすら先輩の背中を追った」という山本が追い抜き、先にフィニッシュラインを越えた。

 山本は「抜き返されると思って、後ろを振り返る余裕はなく、ただペダルを踏み続けた。そのときのことは興奮していてよく覚えていないくらい」と話す。最後の最後で先行を許した内間はゴール後、その場に座り込み、悔し涙を溢れさせた。

ステージ優勝ができず、悔しさに涙する内間康平(チームNIPPO・デローザ)をチームメイトのピニツォットが労うステージ優勝ができず、悔しさに涙する内間康平(チームNIPPO・デローザ)をチームメイトのピニツォットが労う

 一方、後続のメーン集団も最後の登坂区間で活性化。総合での逆転優勝を狙うレオナルド・ピニツォット(チームNIPPO・デローザ)らがアタックをかけたが、ブリヂストンアンカーのフランス人コンビ、ルバとモニエの圧倒的な登坂力を前に、どのアタックも決まらない。先頭集団の逃げ切りを許しはしたものの、ブリヂストンアンカーはチーム一丸となってきっちりとタイム差を詰め、ルバのリーダージャージを守った。

リーダージャージを着るトマ・ルバがゴール。総合トップを守ったリーダージャージを着るトマ・ルバがゴール。総合トップを守った
表彰式で総合リーダーの証、グリーンジャージに袖を通すトマ・ルバ表彰式で総合リーダーの証、グリーンジャージに袖を通すトマ・ルバ
第3ステージ上位の表彰台。1位の山本元喜(中央、鹿屋体育大学)と、2位の内間康平(左、チームNIPPO・デローザ)、3位の福島晋一(同)第3ステージ上位の表彰台。1位の山本元喜(中央、鹿屋体育大学)と、2位の内間康平(左、チームNIPPO・デローザ)、3位の福島晋一(同)

 ステージを制した山本は、1回生だった3年前にもツール・ド・北海道でロングスプリントを成功させ、ステージ優勝を挙げている。「そのときは勝てると思っていなかったけれど勝てた。今回は勝ちたいと思って勝ったもので、今回のほうが嬉しい。チームは第1、第2ステージと見せ場を作れなかったので、今日こそは、という気持ちでした」と喜びを語った。山本は大学卒業後も自転車競技を続ける予定で、「ヨーロッパで走りたいと思っていますが、まだ具体的な進路は決まっていません」と話す。

個人総合優勝に輝いたトマ・ルバ(左)と、総合2位のダミアン・モニエ個人総合優勝に輝いたトマ・ルバ(左)と、総合2位のダミアン・モニエ

 ルバの個人総合優勝を勝ち取ったブリヂストンアンカーの水谷壮宏監督は、「3日間を通して、自分たちの作戦どおりのいい展開だった。最初に有利な布陣をしいて、2日目の山岳でリードし、3日目にそれを守った。アシスト選手もみんな頑張り、チーム一丸で掴んだ勝利だ」と嬉しそうに話した。ブリヂストンアンカーの作戦と、それを完璧に実行するチームの強さが際立った大会だった。

ステージ5位に入り、個人総合では3位へとジャンプアップを成功させたジョシュア・プリート(チームバジェットフォークリフツ)ステージ5位に入り、個人総合では3位へとジャンプアップを成功させたジョシュア・プリート(チームバジェットフォークリフツ)

 そして前日に引き続き、この日も果敢に逃げたジョシュア・プリートが総合8位から3位へのジャンプアップに成功。22歳のプリートは「昨日も総合順位を上げたくて逃げたけれど、最後にブリヂストンアンカーの2選手に捕まってしまった。でも今日は逃げ切ることができ、ステージ優勝はできなかったけど、総合順位を上げることができて、とても満足している。オーストラリアにはUCIレースが少ないため、毎回アジアのUCIレースに来るときは、それを大きな目標にしているんだ。今回も、このレースに照準を絞っていた。とても嬉しいよ」とコメントした。

山岳賞を獲得した地元・北海道出身の阿部嵩之(チームUKYO)山岳賞を獲得した地元・北海道出身の阿部嵩之(チームUKYO)
ステージ優勝を逃したものの、チーム総合成績で1位となったチームNIPPO・デローザステージ優勝を逃したものの、チーム総合成績で1位となったチームNIPPO・デローザ

(レポート・写真 田中苑子)

第3ステージ結果
1 山本元喜(鹿屋体育大学) 2:46’36”
2 内間康平(チームNIPPO・デローザ) +8
3 福島晋一(チームNIPPO・デローザ) +32
4 池部壮太(マトリックスパワータグ) +35
5 ジョシュア・プリート(チームバジェットフォークリフツ) +40
6 中根英登(チームNIPPO・デローザ) +1’05”

個人総合成績
1 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカー) 10:42’29”
2 ダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカー) +25
3 ジョシュア・プリート(チームバジェットフォークリフツ) +51
4 ヴィセンテ・ガルシア(マトリックスパワータグ) +52″
5 ホセ・ヴィセンテ(チームUKYO) +58″
6 中根英登(チームNIPPO・デローザ) +1’11”

個人総合ポイント賞
1 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカー) 37 pts
2 ジョシュア・プリート(チームバジェットフォークリフツ) 36 pts
3 レオナルド・ピ二ツォット(チームNIPPO・デローザ) 34 pts

個人総合山岳賞
1 阿部嵩之(チームUKYO) 20 pts
2 カール・エヴァンス(チームバジェットフォークリフツ) 10 pts
3 福島晋一(チームNIPPO・デローザ) 6 pts

チーム総合
1 チームNIPPO・デローザ 32:10’12”
2 チームバジェットフォークリフツ +2’05”
3 マトリックスパワータグ +3’04”

○チーム
1位 32:10’12″ チームNIPPO – DE ROSA
2位 32:12’17″ チーム・バジェット・フォークリフト
3位 32:13’16″ マトリックスパワータグ

フォトギャラリー

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

チームブリヂストン ツール・ド・北海道2013

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載