ブエルタ・ア・エスパーニャ2013 第20ステージアングリル最終決戦で41歳ホーナーが総合優勝をほぼ手中に ステージ優勝は22歳の新鋭エリッソンド

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 ブエルタ・ア・エスパーニャは14日、第20ステージが行われ、グランツール初出場のケニー・エリッソンド(フランス、FDJ.FR)が逃げ切りでステージ優勝を挙げた。事実上最後の戦いとなった総合争いでは、マイヨロホを着る首位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レイディオシャック・レオパード)がステージ2位でゴール。3秒差で総合2位につけていたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)を引き離すことに成功し、総合優勝をほぼ手中に収めた。

第20ステージを制したエリッソンド第20ステージを制したエリッソンド

 3週間続いたブエルタはいよいよ大詰め。カンタブリア山脈での難関山岳ステージ3連戦の最後を飾るのは、“魔の山”アルト・デ・アングリル。登坂距離12.2km、平均勾配10.2%。ゴール前7kmから1.5kmまでの区間は、3カ所の20%超えを含む15%前後の上りが続く。ゴール前約3kmの地点で最大勾配23.5%に到達。ブエルタでは過去5回登場しているが、そのうち4回が独走で優勝者が生まれたほか、3回はアングリルを制した選手が総合優勝を果たしている。大会全体の命運を握る山岳なのだ。

 142.2kmのレース。アビレスをスタートしたプロトンは、12km地点で23人が先行したものの、リーダーチームのレイディオシャック・レオパードがコントロールし一度振り出しに。その後も次々とアタックがかかり、25km地点で32人の逃げ集団が形成された。その中には、山岳賞のモンターニャを着用するニコラ・エデ(フランス、コフィディス ソリューションズクレジッツ)も潜り込むことに成功。45.5km地点の3級山岳、79.1km地点の2級山岳をともに1位通過し、合計8ポイントを獲得。ここまで守り続けてきた山岳賞を確定的にした。

 少しずつ人数を減らしながら進む逃げ集団は、115.6km地点から始まる1級山岳アルト・デル・コルダルの上りで変化が起こる。パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ プロチーム)がアタックし抜け出すと、しばらくしてエリッソンドが後方から合流。頂上通過後の下りでは、ともにコーナーで大きく膨らむなどヒヤリとするシーンがあったものの、後方との差を広げてアングリルへと向かった。

表彰台でのエリッソンド表彰台でのエリッソンド

 メーン集団は、5分30秒前後の差をキープしながら進行。カチューシャ チームや、エウスカルテル・エウスカディが積極的に集団コントロールを担った。アルト・デル・コルダルを上り始めると、ホーナーが前方で位置取りを開始し、来たる勝負の時に備える。

 エリッソンドとティラロンゴは快調なペースでアングリルの上りへ。遅れてやってきたメーン集団は、ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ チーム)が速いリズムでペースメイク。集団のメンバーが絞られた。

 レースが大きく動いたのは、残り7kmを切ったあたりでのニバリのアタックから。一瞬の飛び出しに、ライバルたちは反応が遅れた。これで全体のペースが上がり、ニバリを追うのはホーナー、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム)の3人だけに。ホーナーとロドリゲスは、徐々に苦しくなってきたバルベルデを振り切ると、残り約5kmでニバリに合流した。

 このニバリの動きにより、先頭を走っていたティラロンゴがニバリへのアシストのために待つ形を取ったため、エリッソンドが単独先頭になった。上り始めに3分以上あったメーン集団との差を少しずつ減らしながらも、20%を超える激坂を1つ1つクリアしていく。

再三の攻撃を仕掛けたニバリだったが…再三の攻撃を仕掛けたニバリだったが…

 激化する上位陣の争いは、大逆転を狙うニバリが再三にわたって渾身のアタックを繰り出す。一度は差が開くが、ホーナーとロドリゲスは一定ペースで対応し、決定的な差を付けることができない。牽制状態になった3選手にバルベルデが再合流。また、先行していたティラロンゴ、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)もニバリたちのグループに入り、ペースアップを試みる。

 最も勾配が厳しくなる残り3km付近でニバリが再びアタック。ロドリゲスとバルベルデは遅れ始めるが、ホーナーを振り切ることはできなかった。逆に、残り2km付近のヘアピンカーブをきっかけにホーナーがペースアップすると、ニバリは付いていくことができず、力尽きた。勢いづいたホーナーは、レース前半から逃げていた選手たちを次々とかわし、単独2位へと浮上。あとはゴールするのみとなった。

 総合優勝争いとは関係のないポジションで走り続けたエリッソンドは、深い霧に覆われた最終盤の下り区間も無難にこなし、感激のゴール。2012年にプロデビューし、今回がグランツール初勝利、プロ通算でも昨年のパリ〜コレーズ第2ステージ以来の2勝目。今大会は途中で体調を崩し、アンドラにゴールした第14ステージでは最下位も経験。そこから復調しての大きな勝利となった。今シーズンは、ステージレースでコンスタントに総合10位台のリザルトをマークするなど、将来を嘱望される22歳のクライマーだ。

 そして、ステージ2位にはライバルを置き去りにしたホーナーがガッツポーズでゴール。あと1ステージを残して、初のブエルタ総合優勝を決定的にした。41歳と、グランツール総合優勝最年長記録の更新が目前だ。最後まで粘りを見せたバルベルデが3位、ニバリが4位と続いたが、ホーナーからは28秒の遅れをとった。

独走で2位に入り、事実上、総合優勝を決めたホーナー独走で2位に入り、事実上、総合優勝を決めたホーナー
ゴール後、地面に座り込んだホーナーゴール後、地面に座り込んだホーナー

 3週間の戦いは、ついにフィナーレを迎える。第21ステージは、レガネスからマドリードまでの109.6km。しばしのパレード走行を楽しんだ後、恒例のマドリード市街地の周回コースへ。1周5.7kmを8周し、最後はゴールスプリントが予想される。ここまで我慢に我慢を重ねたスプリンターたちがわずかなチャンスに懸ける。そして、68人目の総合優勝者が正式に決定する。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

第20ステージ結果
1 ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ.FR) 3時間55分36秒
2 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レイディオシャック・レオパード) +26秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +54秒
4 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +54秒
5 アンドレ・カルドソ(ポルトガル、カハ ルラル) +54秒
6 ドミニク・ネルツ(ドイツ、BMCレーシングチーム) +54秒
7 ホセ・メンデス(ポルトガル、ネットアップ・エンデューラ) +1分15秒
8 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム) +1分45秒
9 セルジュ・パウェルス(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ) +1分52秒
10 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.FR) +1分59秒

個人総合(マイヨロホ)
1 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レイディオシャック・レオパード) 81時間52分1秒
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +37秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分36秒
4 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム) +3分22秒
5 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、チーム サクソ・ティンコフ) +7分11秒
6 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル ラモンディアル ) +8分0秒
7 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.FR) +8分41秒
8 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) +9分51秒
9 レオポルド・ケニッグ(チェコ、ネットアップ・エンデューラ) +10分11秒
10 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ チーム) +13分11秒

ポイント賞(プントス)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 152 pts
2 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レイディオシャック・レオパード) 126 pts
3 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム) 125 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ニコラ・エデ(フランス、コフィディス ソリューションズクレジッツ) 46 pts
2 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レイディオシャック・レオパード) 32 pts
3 ダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデール プロサイクリング) 30 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レイディオシャック・レオパード) 5 pts
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 13 pts
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 17 pts

チーム総合
1 エウスカルテル・エウスカディ 245時間17分26秒
2 モビスター チーム +1分02秒
3 アスタナ プロチーム +1分30秒

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