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山田美緒の「旅する満点バイク」<18>ベトナムのサイクリスト掲示板で知らぬ間に大告知 次々に現れる地元ローディーと一緒に走った20日間

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地元サイクリストたちから受けた歓迎のリレー

ベトナムの車道ではモーターバイクの流れに合わせた走行をベトナムの車道ではモーターバイクの流れに合わせた走行を

 ベトナムを北部ハノイからホーチミンまでの1900kmを、2009年1月に走ってきました。この時期はちょうど「テト」というベトナムの旧正月でしたが、それも終わって落ち着いてきたころ、フエという町に到着しました。

 すると、「君はMio? 今から市内のレストランに来て」と、いきなり片言の英語を話すベトナム人から電話がかかってきたのです。誰?!なぜ私の携帯番号を知っているのだろう?

 聞くところによると、私が出発前に日本で会ったベトナム人の友達のお父さんがダナンという町のサイクリングクラブの会長を務めていて、私を紹介してくれたのだと言います。そして、フエからダナンまでの108kmを一緒に走ってくれると申し出てくれたのです。

 フエから先の行程には、ハイヴァン峠というこの旅一番の峠を予定していました。そこをダナンサイクリングクラブのメンバー3人(お父さんと小学生の息子2人)が一緒に走ってくれることになりました。

 その夜は、ここフエの町のサイクリングクラブの人たちも30人ぐらい集まり歓迎会。氷入りのビールをたくさんいただきましたよ。

 翌朝、約束していたダナンサイクリングクラブの3人のほかにも、前日に一緒に盛り上がったフエサイクリングクラブの30人が共に出発。フエのメンバーとは途中で別れ、ダナンの3人と峠へ向かいました。12kmで海抜500m近くを上るのでなかなかのもの。頂上につくころには汗だくでした。

ダナンサイクリングクラブとフエへ向かって出発ダナンサイクリングクラブとフエへ向かって出発
頂上で地元自転車クラブがお出迎え!頂上で地元自転車クラブがお出迎え!

 「ゴーーーール!」と思わず声を上げると、拍手が聞こえてきました。頂上にはなんと、ダナンサイクリングクラブのメンバーが集まってくれていました。その後は、ダナンサイクリングクラブ会長の家でパーティー、そのまま泊めていただきました。

 ここで、会長が私の旅程と携帯番号をベトナムサイクリングクラブの掲示板に書き込んでくれたことが発覚! ダナンサイクリングクラブのメンバーをはじめ、このあとも各地で地元のサイクリストと一緒に走ることになりました。

 クイニョン、トゥイホア、ニャッチャン…ネットの書き込みだけで、多くの町のサイクリストと路上で合流できたのもすごいことですが、ベトナムでもロードバイクに乗ってサイクルウエアを着たサイクリストたちがいることには驚きました。しかもみんな普段から100km、200kmと走り込んでいるようです。私は荷物を積んでいてスピードも遅いので、背中を押してもらいながら走ったこともありましたよ。言葉はあまり通じないものの、みんなとてもフレンドリー。求婚されたこともありました(笑)。

地元サイクリストとコーヒー休憩地元サイクリストとコーヒー休憩
クイニョンサイクリングクラブのメンバーとクイニョンサイクリングクラブのメンバーと

 

酒をふるまい、ふるまわれ…旧正月「テト」を堪能

 日本を出発する前、ベトナムについて調べようと話を聞いたベトナム人たちは、「テトの時期に行くなんてラッキーだね」「きっと地元の人の家に招かれるよ。そしたら遠慮なくお邪魔したらいいよ」と一様に私の選択を喜んでくれました。そんなことならば、こちらもふるまい酒を…と2Lのパックのお酒とおちょこを後ろの荷台にくくりつけ走ることに。

ベトナムで見かけた生活自転車ベトナムで見かけた生活自転車

 出発地のハノイは、お正月の準備で皆そわそわ。店先にはお正月に飾る金魚や、キンカンの鉢植え、親戚を訪問する際の手土産にするお菓子やお供え物、赤や金の飾り物などが売られ、とても華やかでした。

 そんなハノイを出発して2日目の午前0時。「バンバンバン」「きゃーー!」と、ものすごい爆発音と歓声で目が覚めました。外はとても賑やかでしたが、花火でもあげているのだろうか…と私は夢うつつ、明日に備えて爆睡。

バイクだらけのベトナムの路上バイクだらけのベトナムの路上
すごい乗り方すごい乗り方

 翌朝6時過ぎに出発すると、道路には時々血のような赤い破片が飛び散っていました。その傍らには束になった爆竹。なるほど、昨夜の爆発音は爆竹だったのか。

 昨日から起きていたのか早起きなのか、商店や家々の戸が開いていて、なぜかスピーカーを外に向けて大音量で音楽を流していました。正月気分を盛り上げるため…ではなく、外をうろついている悪霊を追い払うためなのだそうです。

 ベトナムはいつでもどこでもバイクが多いですが、テトは特別。そこらじゅうで3~4人乗り、ヘルメットをかぶっていない若者たちや家族連れを見かけました。みんな親戚や友人のところへお正月の挨拶に行くようです。

 「Chuc Mung Nam Moi!(あけましておめでとう!)」と、走り去るバイクと挨拶をかわしながら走りました。

 ホテルは営業していましたが、町のレストランや市場はお正月休み。困っていたら、ホテルの従業員の女性が家に招いてくれました。「日本から来たMioよ!」と連れられ村中に挨拶に回り、お昼から3度もごはんをごちそうになったことも! 日本から持参した振る舞い酒を神様にお供えし、村人に振る舞い、乾杯。楽しいお正月を過ごしました。

◇      ◇

 ホーチミンにはハノイを出発して20日後ゴール。とにかくバイクがすごかったですが、20日間の旅のおかげでバイクの流れもなんとなく読めるようになり、スイスイ走れるようになりました。サイクリストたちのおかげでたくさんの人と出会い、一緒に走るという貴重なな経験ができました。

文・イラスト・写真 山田美緒

山田美緒山田美緒(やまだ・みお)
大阪府生まれ。サイクリストとして世界中を旅してきたほか、一般社団法人コグウェイを設立し、「四国ディスカバリーライド」などを主催。著書に、アフリカ大陸縦断記をまとめた『マンゴーと丸坊主』、女性サイクリストたちとの旅や交流の体験記『満点バイク』がある。ブログURL(http://mantem.exblog.jp/)

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