カインズ流 ロードバイク生活を極めたい<9>上り坂の練習にトモ子さんとイッシーは大苦戦…そこへ“ヒルクライム王”長沼隆行選手が登場

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物見山の坂道に挑むイッシー(前)とトモ子さん

「まえばし赤城山ヒルクライム」出場に向けて、7月末に「BURNING MAN RACE’13」でレースデビュー&完走を果たしたトモ子さんとイッシー。しかし、この時は平坦コースであり、目標とするヒルクライムは2人ともまだ未経験だ。カインズの看板を背負って挑む本番が近づく中、上り坂の練習を積むことは急務。そこで、2人が暮らす埼玉県内で坂道を経験するために、Cyclist編集部が目を付けたのが、東松山市の「物見山」だった。

 

いよいよ坂道へ まずは腹ごしらえ

 物見山は、周囲にニュータウンや大学のキャンパス、ゴルフ場などが広がる郊外の丘陵地にある。山と名が付くが、標高135mなので小高い丘という感じだ。しかし、この山を巡る周回コースは標高差や傾斜がちょうどいいとして、近隣のサイクリストの中にはトレーニングに利用する人も多い。

 実際に現地を訪れると、こども動物自然公園や埼玉県平和資料館といった施設があり、ちょっとした観光地の風情だ。辛く、苦しいヒルクライムのイメージには程遠い。そんな物見山のふもとのコンビニに、パンをほおばる2人の姿があった。

練習開始前、アンパンなどでエネルギーを摂取練習開始前、アンパンなどでエネルギーを摂取
「頑張って走ってきます!」のポーズ。まだ上り坂の本当の辛さを知らなかった「頑張って走ってきます!」のポーズ。まだ上り坂の本当の辛さを知らなかった

 イッシー「ヒルクライムはカロリーを消費するって言いますからね」

 トモ子さん「(そんなに食べなくても…)」

 イッシー「あ、食べないならアンパンもらっていいですか?」

 エネルギー補給に精を出す2人(とくにイッシー)。食べて、休んだら、いよいよヒルクライム練習の開始だ。

 

最初の坂で…トモ子さん、まさかの大苦戦

 こども動物自然公園の脇から走り始める2人。物見山の周回コースにはいくつかの上り坂があるが、大東文化大学に面したこの上りは通称「大東坂」と呼ばれ、最初の上りにして、かなり厳しいことで知られる。

 しかし、そんな大東坂をイッシーは好調に上っていった。体型を見る限り、重量面でかなりのハンディを負っているにも関わらず、思いがけないスピード感。これがアンパン効果だろうか?

真剣な表情で坂道に挑むイッシー。序盤は快調だったが…後ろのトモ子さんは早くも遅れ気味真剣な表情で坂道に挑むイッシー。序盤は快調だったが…後ろのトモ子さんは早くも遅れ気味

 一方のトモ子さんは、まさかの大苦戦。スリムな体型なのになぜ? レースデビューでも崩れなかった笑顔が引きつっていく。

リラックスしたフォームで走るイッシー。愛車の「ソヴェール」にも馴染んでいるようだリラックスしたフォームで走るイッシー。愛車の「ソヴェール」にも馴染んでいるようだ
つらい勾配に負けず、何とか前に進むトモ子さんつらい勾配に負けず、何とか前に進むトモ子さん

 大東坂は長い。途中で一瞬、勾配がゆるくなるが、これはサイクリストを油断させるワナである。その後に最もきつい勾配が待ち受けているのだ。そのワナにはまったのが、イッシーだった。

自転車を降りて座り込むイッシー自転車を降りて座り込むイッシー

 上り切ったところで、真っ青な顔のイッシーが座り込んでいる。

 「ちょっときついですねこれは…踏んでも踏んでも前に進まないですよ」

 それは前半に飛ばし過ぎたせいだろう。ヒルクライムに必要なペース配分を学ばなければならない。

水分を補給しながら、苦しそうな表情を見せるトモ子さん水分を補給しながら、苦しそうな表情を見せるトモ子さん

 やがて、かなり遅れてトモ子さんも到着。いったい何が?

 「なんだか、今日はすごく脚がキツイいんです」

 そう話すトモ子さんのフロントディレーラーを見ると、重いアウターギアのまま。これではキツいはずだ。平坦ばかりを走っていたせいか、フロントギアを上り坂に合わせて変速することを忘れていたようだ。 

 

さっそうとダンシング プロの走りにぼう然

 フロントをインナーギアに変速したトモ子さんは、大東坂以降の上りをなんとかこなしていく。が、さすがに苦しくなってきた。彼女には珍しく、厳しい表情である。

 一方のイッシーは大ピンチ。大東坂のダメージから立ち直れず、ペースが極端に落ちている。表情も、辛いときのイッシーの表情(つまり無表情)だ。

 いくらヒルクライムデビューとはいえ、本番の赤城山ヒルクライムはこんなものではない。しかも、残された練習期間はわずかだ。社命である赤城山ヒルクライム完走は、やはり難しいかも知れない…。

華麗なダンシングで接近してきた長沼隆行選手。イッシーとトモ子さんから見れば、ものすごいスピードだ華麗なダンシングで接近してきた長沼隆行選手。イッシーとトモ子さんから見れば、ものすごいスピードだ

 その時、黒いジャージに身を包んだサイクリストが、遠くから近づいてきた。遠く…と思ったが、アッという間に接近。上り坂なのにすごいスピードだ。

 「こんにちは!」

 と気軽に声をかけて、走り抜けようとする青年。その姿と共に、爽やかな風が吹き抜けていく。

 こ、これは…VAX RACING with SAITAMA に所属する長沼隆行選手ではないか!

 長沼選手といえば、「全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍」3勝をはじめ、実業団のヒルクライムレースや、各地のヒルクライム大会で数え切れないほどの勝利を挙げてきた、日本を代表するヒルクライマーだ。まえばし赤城山ヒルクライムでも、ゲスト参加ながらトップタイムをマーク。まさに“ヒルクライム王”なのだ。

 ダンシングで軽々と坂を上り続ける勇姿を、ロケ取材中であることも忘れてぼう然と見つめるトモ子さんとイッシー。すると、長沼選手はようやく足を止めて振り返り、声をかけてくれた。

 「上り坂の練習ですか? よかったらご一緒に…」

“ヒルクライム王”長沼隆行選手“ヒルクライム王”長沼隆行選手

◇           ◇

 こうして、悪戦苦闘するトモ子さんとイッシーに、何ともスペシャルな講師が合流した。次回は、長沼選手による超ビギナー向けヒルクライム講座をお届けします。

(取材・佐藤喬 写真・戸井田夏子 協力・カインズサイクルパーク)


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