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つれづれイタリア~ノ<10>秋はワインの季節 イタリアの各地に広がる“スロー観光”の名所、「ワイン街道」を自転車で楽しもう

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 9月になり、イタリアではだいぶ秋が深まってきました。昼は太陽がまだまぶしく輝いていますが、夜になると急に気温が下がり、長袖のシャツとセーターがないと厳しいくらいです。今回は、イタリア人なら誰でも知っている秋の楽しみ――イタリアの「Strada del Vino(ストラーダ・デル・ヴィーノ)ワイン街道」を自転車で楽しむ方法を紹介します。

 

秋の旬は「ワイン街道」で堪能

左はジロ・デ・イタリアの最終ステージでワインを楽しむステファノ・ガルゼッリ(2007年)左はジロ・デ・イタリアの最終ステージでワインを楽しむステファノ・ガルゼッリ(2007年)

 秋の大きなイベントと言えば、ぶどう狩り(vendemmiaヴェンデッミア)です。この時期にイタリアの農村地帯を訪れると、発酵し始めたブドウ汁の甘い匂いが漂ってきます。秋祭りも盛んに行われ、秋にしか食べられないお菓子やごちそうがたくさんあります。私の出身地ヴェネト州には、ワインにも用いられるブドウの絞りたてのジュースから作る「sugoi(スーゴイ)」という羊羹に似たスイーツがあり、小さい頃には一年に一度のごちそうでした。

 イタリア南部から北部にかけては、多くの「ワイン街道」が点在しています。ワイン街道は、もともとは各地で独自に発展していった文化ですが、今では各自治体が指定・管理を行い、ワイナリーが集中する地域に敷かれています。認定されるには、下記のようなルールを満たす必要があります。

ワイン街道に関する規定

・ 街道を誘導する看板の設置
・ 街道沿いにある観光名所、自然名所の看板の設置
・ 街道に賛同するワイナリーとその営業時間の看板を設置
・ 街道および地域の観光パンフレットの作成
・ 自治体または担当委員会の計画的な管理の報告書の作成

 1990年代からブームとなり、各地でワインが“主人公”となった新しい観光名所を目指しています。2010年にマチェーラタ大学が行った調査によれば、そういった場所は全国154カ所、計1,450市町村にまたがって存在するそうです。

 目的はワインを飲むだけではありません。ワインを知ることでその地域の独自性、歴史、自然、グルメなどを知ることにつながるので、農村地域の活性化につながるというわけです。農村地帯には公共交通手段がほとんどなく、マイカー、バイク、または自転車で行くしかありませんが、週末や夏休みの“スロー観光”として人気があります。

ワインの大きなボトルを用意してレースを応援する観客(ジロ・デ・イタリア2010)ワインの大きなボトルを用意してレースを応援する観客(ジロ・デ・イタリア2010)

 

ワイン街道では飲酒はOK?!

 「自転車で行く」、と聞いてみなさんは「飲んでいいの?」と思われるかもしれませんが、ワイン街道の特徴のひとつは、ワイナリーと観光の結びつき。車や自転車で訪れてもワインを飲むことができます。

 かつてのワイナリーは見学できず、ワインを貯蔵するための場所にしかすぎませんでした。しかし現在、各ワイナリーが販売直営所を経営していて、歴史ある貯蔵庫を見学することができます。さらに、すべてのワインが試飲できます。売られているワインも格安で、ハウスワインなら1本あたり2ユーロから購入できます。

かつでジロ・デ・イタリアで総合優勝をあげたジルベルト・シモーニもイベント「エロイカ」でワインを“補給”(2007年)かつでジロ・デ・イタリアで総合優勝をあげたジルベルト・シモーニもイベント「エロイカ」でワインを“補給”(2007年)

 そうは言っても、ゴクゴク飲むというよりは試飲です。たくさん飲めばイタリア人も酔いますし、お酒の飲めない人はたくさんいます。イタリア人にとってワインは、ゆっくりと楽しむスタイルが一般的ですので、悪酔いはしません。高くても安くても何かを食べながらゆっくり飲むのが、粋です。

 その上、イタリアでは小さいころからワインに慣れていく文化があります。小学生から甘いスプマンテ少し飲ませ、中学生になったら赤ワインを飲ませるといった感じです。私が通った高校は、ワインコースが専攻できたのでワインの試飲は当たり前でしたし、15歳の頃に修学旅行の一環としてフランス・シャンペーン地方を訪れた時には、貯蔵庫見学と試飲がセッティングされていましたよ。

※2012年11月以降イタリアでは、18歳未満の未成年に瓶・缶入りのアルコール類の販売することは禁止ですが、バーや飲食店、クラブなどでの提供は16歳から可能です。

 

自転車×ワインのオススメツアー

自転車とワインを楽しめる「ゴローザバイク」自転車とワインを楽しめる「ゴローザバイク」

 自転車でワイン街道を訪れるなら、春と秋がベストシーズンです。春には、出来上がったばかりのワインと冬に熟成したソーセージを味わうことができます。秋になると、1年物のワインとともにポルチーニ茸、チーズ、トリュフを堪能することができます。その上、ガイド付きのグルメサイクリングイベントがたくさん開催されます。

 ここでは、ヴェネト州エウガネイ地区の人気の自転車イベント「Golosa Bike(ゴローザバイク)」を紹介します。イベント名の意味は、「自転車で食いしん坊」。16歳未満の子どもにはノンアルコールドリンクが提供されます。

2013年に開催された「ゴローザバイク」概要

 開催日: 5月26日(日) 9:30出発~17:30終了
走行距離: 50km
参加費: 22ユーロ(食事代、ガイド代を含む)
自転車の種類: マウンテンバイクおよびロードバイク
主催: エウガネイワイン街道委員会、地方観光協会、イタリア自転車愛好家協会

<コース紹介>

第1エイドステーション(カルボナーラ・ディ・ロヴォロン地区)
ワイン: セルピーノd.o.c.
ポンテペッツェ、チーズ工場にて食前酒とチーズと蜂蜜の試食

第2エイドステーション(カルボナーラ・ディ・ロヴォロン地区)
ワイン: ピノー・ビアンコd.o.c.
ワイナリー「カッレガーロ・フランチェスカ」にて、パスタ料理

第3エイドステーション(チント・エウガネオ地区)
ワイン: メルローd.o.c.
ワイナリー「ラ・ロッカ」にて肉のメインディッシュ

第4エイドステーション(チント・エウガネオ地区)
ワイン: モスカート・フィオール・ダランチョd.o.c.
アグリトゥリズモ(農家ホテル)「バッコ・エ・アリアンナ」にてデザートとフルーツ

 イタリアへ行ったら、フィレンツェ、ローマと言った世界遺産のほか、ぜひ魅力あるワイン街道を訪れてみてください。ワインを味わいながらイタリア人と仲良くなれること間違いなしです。

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)
イタリア語講師。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会で、自転車にまつわるイタリア語講座「In Bici」(インビーチ)を担当する。サイクルジャージブランド「カペルミュール」のモデルや、Jスポーツへ「ジロ・デ・イタリア」の情報提供なども行なう。東京都在住。ブログ「チクリスタ・イン・ジャッポーネ

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