ブエルタ・ア・エスパーニャ2013 第14ステージ雨と寒さの山岳ステージ 23歳ラットが単独逃げ切り勝利 ニバリ2位で総合首位堅守

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 ブエルタ・ア・エスパーニャは7日、第14ステージが行われ、23歳のイタリア人、ダニエーレ・ラット(キャノンデール プロサイクリング)が序盤のアタックから最後は独走体制で逃げ切り、グランツール初勝利を挙げた。2位には総合首位(マイヨロホ)のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が入った。雨の山岳コースは選手の体温を奪い、イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール プロサイクリング)など有力選手も途中リタイアする波乱のステージとなった。

23歳の新鋭ラットが独走で逃げ切ってステージ優勝23歳の新鋭ラットが独走で逃げ切ってステージ優勝

 この日からピレネー山岳ステージ3連戦となる。バガをスタートし、スペインとフランスの国境に位置する小国、アンドラ公国のコリャダ・デ・ラ・ガリナにゴールする155.7kmのコース。途中、今ブエルタ最高標高(チマ・アルベルト・フェルナンデス)の超級山岳エンバリラを越え、最後は1級山岳の頂上ゴール。息の付けない山岳コースに雨と寒さも加わって、サバイバルレースになった。

 レースはスタート直後から5人の選手が抜け出す展開。フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ベルキン プロサイクリングチーム)、グレーム・ブラウン(オーストラリア、同)、スティーヴ・シェネル(フランス、アージェードゥーゼル ラモンディアル )、そしてラットからなる逃げ集団は、前半の下り基調を快調に飛ばし、メーン集団から早々に8分の大差を付けることに成功した。

 40km地点からエンバリラに向かう上りに入り、この直前より雨が降り始めた。国境を越えてアンドラに入り、この時点で気温は13度とかなり低い。徐々に勾配が厳しくなる中、標高1500mを越えてブラウンとシェネルが先頭から脱落。逃げは3人のグループとなった。

下りで遅れてしまったバルベルデ。最後の上りでは好調さを見せた下りで遅れてしまったバルベルデ。最後の上りでは好調さを見せた

 標高2410mのエンバリラ頂上はジルベールが先頭で通過。気温はわずか5度。メーン集団とは最大で12分もの差が付いた。そして雨のダウンヒルで先頭の3人もバラバラとなり、ラットが単独先頭に立った。

 雨と寒さは選手たちの体力を容赦なく奪い、エンバリラからの下りで先頭から脱落したサンチェスは、低体温症でリタイアに追い込まれてしまう。またメーン集団でも、総合7位に付けていたバッソが同様にリタイアとなってしまった。

 下り基調の中で2級山岳を2つ越え、レースは最後の1級山岳に向かう。下りではまた、総合3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)がメーン集団からわずかに遅れてしまい、アシストが牽引して集団を追うものの、追い付けないまま最後の上りに入った。

 先頭は変わらずラットが独走体制。リードは減ったものの、まだメーン集団から8分以上の差を維持しており、逃げ切りは濃厚だ。軽いギアを回してペースを刻む走り。終盤の急勾配区間からは苦しい表情となったが、脚は止まることなく回り続け、最後は何度も両手を高く突き上げて歓喜のゴールを切った。

ゴール後、チームスタッフと抱き合うラットゴール後、チームスタッフと抱き合うラット

 プロ3年目のラットは今季初勝利。もちろんブエルタ、グランツールでも初勝利だ。「今日はイヴァン(・バッソ)のために走るつもりだった」とインタビューに答えたラット。皮肉にもエースのバッソはこの日リタイアとなってしまったが、チームにとっての悪いニュースを払拭する大きな勝利を挙げた。

 メーン集団では最後の上りでレイディオシャック・レオパードのロベルト・キセルロウスキー(クロアチア)が積極的にペースを作り、残り4kmから総合4位に付けるチームのエース、クリストファー・ホーナー(アメリカ)がアタック。これに付けたのはマイヨロホのニバリただ1人だった。

 ダンシングで攻撃するホーナーに対し、ニバリはシッティングでぴったりペースを合わせ、時折コーナーで横に並ぶ余裕を見せてプレッシャーをかける。ニバリは最後スプリントでホーナーに若干の差を付けての2位ゴール。ボーナスタイムも獲得して、ライバルとの差を広げることに成功した。

ゴール前の2位争い。ニバリがホーナーを突き放すゴール前の2位争い。ニバリがホーナーを突き放す
総合2位のロッシュはこの日ニバリから3分以上遅れ、大きく順位を落とした総合2位のロッシュはこの日ニバリから3分以上遅れ、大きく順位を落とした
ラットはこの日だけで一気に山岳リーダーとなったラットはこの日だけで一気に山岳リーダーとなった

 ステージ3位はホーナー、4位にホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム)、5位サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)、そして6位には単独追い上げたバルベルデが入った。これまで総合2位に付けていたニコラ・ロッシュ(アイルランド、チーム サクソ・ティンコフ)は20位と大きく遅れ、総合6位へと転落した。

 この日、マイヨロホはニバリが堅守したが、その他のリーダージャージは全てその持ち主を変えることになった。ポイント賞はバルベルデ、山岳賞はラット、複合賞はホーナーとなっている。

 翌第15ステージはピレネー決戦2日目。今大会最長の224.9kmの距離に、1級山岳が4回登場し、最後は山頂ゴールとなる。総合成績は再び大きく動くことになりそうだ。

(文 米山一輝/写真 砂田弓弦)

第14ステージ結果
1 ダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデール プロサイクリング) 4時間24分0秒
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +3分53秒
3 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レイディオシャック・レオパード) +3分55秒
4 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム) +4分11秒
5 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) +4分19秒
6 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +4分43秒
7 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.FR) +4分46秒
8 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル ラモンディアル ) +4分46秒
9 ミケル・ランダ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) +5分17秒
10 レオポルド・ケニッグ(チェコ、ネットアップ・エンデューラ) +5分21秒

個人総合(マイヨロホ)
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 53時間56分49秒
2 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レイディオシャック・レオパード) +50秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分42秒
4 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム) +2分57秒
5 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル ラモンディアル ) +3分43秒
6 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、チーム サクソ・ティンコフ) +4分6秒
7 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.FR) +4分34秒
8 レオポルド・ケニッグ(チェコ、ネットアップ・エンデューラ) +5分42秒
9 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ チーム) +6分28秒
10 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ プロチーム) +6分45秒

ポイント賞(プントス)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 102 pts
2 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ チーム) 98 pts
3 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、チーム サクソ・ティンコフ) 89 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデール プロサイクリング) 30 pts
2 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) 26 pts
3 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レイディオシャック・レオパード) 22 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レイディオシャック・レオパード) 10 pts
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 12 pts
3 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、チーム サクソ・ティンコフ) 14 pts

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 161時間8分27秒
2 エウスカルテル・エウスカディ +4分43秒
3 モビスター チーム +8分32秒

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