福光俊介の「寝落ち禁止!ツール三昧」<7>凱旋の時! ボクは、戦い終えた旅人を出迎えたあの日を忘れない

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 ツール・ド・フランスの戦いのフィナーレは大抵個人タイムトライアルだ。21世紀に入ってからだと、中盤に主要山岳ステージが組まれ最終2ステージがスプリントだった2001年と、“死の山”モン・ヴァントゥが最終決戦の場だった2009年を除き、最終日前日に個人TTが組まれてきた。

今年のツール最後の個人TTで勝利し、総合優勝を確信したウィギンス今年のツール最後の個人TTで勝利し、総合優勝を確信したウィギンス

 戦いを終えて解き放たれたような表情を見せる王者の姿を見ると、毎回込み上げてくるものがある。結局記録は抹消になったものの2010年のコンタドールや2011年のエバンスの涙、そして今年のウィギンスの何かを突き破るかのようなあのガッツポーズ。

 このコラムの第4回に書いたように、同世代のウィギンスにどこか感じるものがあるボクとしては、彼の勝利にあやかって、ただでさえ長いもみあげをもっと伸ばしてみても良いのではないかと思っている。ボクの髪質だと、きっと耳周りがツタのようになるだろうけど。

 そんなことはさておき、このコラムでボクが書きたかったことは、ほとんど書くことができた。戦力やレースに関して偏りまくりの分析、うんちく、ユキヤネタ。でもあと1つ書けていないことがあった! 現地観戦した昨年のコト。

 ボクは最終ステージをシャンゼリゼで観戦した。どうしても観たかったから、ツール最終日の7月24日は絶対にパリにいるようにすべてを調整して。イタリアやフランスを周遊していたので、第15ステージからはレースをリアルタイムでは観ていない。特にイタリアはツール報道が全然無くて、インターネットでレース結果を把握していた。というか、やっぱりジロが強くて「ツール・ド・フランス」と言ってもイタリア人はポカーンとしていた。

昨年ツール第19ステージ、ラルプデュエズの頂上ゴールを制したローラン昨年ツール第19ステージ、ラルプデュエズの頂上ゴールを制したローラン

 フランス入国後もニュースかインターネットで結果を知る感じだったけど、忘れないのはラルプ・デュエズでピエール・ローランが勝った日。たまたまムール貝を食べにお店にいて、ご主人がものすごく興奮していた。確かパリに入った日だったと思う。

 パリには3日間いたのだけど、シャンゼリゼは祭り前の準備が着々と進んでいた。周辺では、公式なのか“バッタもん”なのか分からないようなグッズを売るお店が立ち並ぶ。ボクは美術館巡りをしたり、街の散策をしていたのだけど、ちょっと屋内にいる間にも外ではツールムードが深まっているのが何だか不思議だった。外を歩けば今にもプロトンがボクの前を通るのではないかと思ってしまうほど。

 たまたま現地で「数日前にエタップ・ドゥ・ツールを走った」という日本人に出会って、観戦前にいろいろレクチャーしてもらったのも幸運だった。あの人と出会っていなかったら、まともに観戦できずにすごくガッカリしていたのではないか。

 ということで、特別にボクなりの観戦ポイントを伝授しよう。まぁ昨年しか現地観戦していないので、当てにならないところもあるかとは思うけど。

昨年ツール最終ステージ、パリ・シャンゼリゼ昨年ツール最終ステージ、パリ・シャンゼリゼ

 まず、シャンゼリゼでの観戦ベストポイントは『ルイ・ヴィトン』本店前。ちょうどプロトンが折り返す場所で、選手たちが減速する。もしゴールや中間スプリントにこだわりが無いのであれば、選手たちの顔を見られる良い場所だ。ボクも昨年はその教えに沿おうと、最寄りのメトロ駅で降りたのだけど、結局勝負どころで観戦したくなってコンコルド広場側へ移動してしまった。

 次に、もし最前列でレースを観たければ、朝9時過ぎにはシャンゼリゼ通りへ! 何気に場所の取り合いが激しいのだ。レースが来るまで6~7時間あるけど、雰囲気を楽しんでいる間に先陣のキャラバンカーが来るので、そう退屈せずに待てるはず。

 レースが終わったら、ポディウム前へダッシュ! これは結構な人だかりになるけど、近くに巨大スクリーンがあるので全く観られないことは無いと思う。その後のパレードに向けては、凱旋門側へと足を進めたい。きっとどこかに空いたスペースがあるので、良い場所を確保して選手たちを待つ。

昨年のツール最終ステージ、パリに凱旋したエヴァンス昨年のツール最終ステージ、パリに凱旋したエヴァンス

 そして選手たちが来たら手当たり次第に声をかけまくる! 意外と選手たちが反応してくれるのだ。実際、呼びかけに手を振ってくれる選手が多かった。ただし、スター選手はみんなが名前を呼ぶので、自分の声がかき消される可能性が高いのは覚悟しておこう。

 これはあまり知られていないのではないかと思うのだけど・・・実は“出待ち”ができるポイントがある。シャンゼリゼ通りの1本北側にあたるポンチュー通りに、選手やチーム関係者が引き上げてくる。終わった開放感からか、ファンサービスをしてくれる選手が結構多い。もう時効だから書くけど、ボクはカチューシャ チームのチームカーに強引に手を突っ込むという暴挙を働いた。

 もう最終日を迎えてしまうので遅すぎるかもしれないけど、もし現地でこのコラムを読んでいる方や、来年以降シャンゼリゼでの観戦に行きたいという方の参考になれば嬉しい。

 いよいよ残り1ステージ。「まだ明日もある」と思って3週間過ごしてきたけれど、この感覚もあと1回限りだ。今ボクはこの寂しさをどこで晴らすべきか悩みつつ、締めの文章を打ち込んでいる。あぁ、どうしよう・・・。

 そうか、みんなよりひと足早く入手した「Pro Cycling Manager Season 2012」でもう一度ツール気分を味わうことにしよう。もちろんエースはブラッドリー・ウィギンスで。(完)

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

(写真 砂田弓弦)

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