ツール・ド・フランス2012 第18ステージカヴェンディッシュが歓喜の2勝目 新城は渾身のアタックで山岳を先頭通過

  • 一覧

 ツール・ド・フランス第18ステージは7月20日、ブラニャックからブリーブ=ラ=ガイヤルドまでの222.5kmで争われ、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、スカイプロサイクリング)がロングスプリントを決めて今大会ステージ2勝目を挙げた。レース前に「このステージが勝つ最後のチャンス」と語っていた新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー)は、全身全霊のアタックを仕掛けたが、終盤で吸収されステージ優勝はかなわなかった。総合上位に変動はなく、マイヨジョーヌのブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)はツール制覇へまた一歩近づいた。

今年も人気沸騰中のトマ・ヴォクレール(チーム ヨーロッパカー)。山岳賞をほぼ確実にした今年も人気沸騰のトマ・ヴォクレール

 第18ステージは比較的長丁場で、大きな山はないものの、67.5km地点にカテゴリー3級の山岳ポイント、そして117.5km地点、180.5km地点、ゴール直前の212.5km地点にも4級の山岳ポイントがちりばめられている。じわじわと脚にくるプロフィールのコースで、スプリンターだけでなく、逃げを得意とするルーラーにも十分にチャンスのあるステージだ。

 レースはアタックの応酬で始まった。スプリントでは勝利の望みが薄い選手たちが、最後のチャンスに賭けて、次から次へとアタックをした。しかし、どのアタックもすぐに吸収され、決定的な逃げはなかなか決まらなかった。

スタート地点にほど近いトゥールーズはエアバス社の本拠地。A380とアクロバット飛行の演技が披露されたスタート地点にほど近いトゥールーズはエアバス社の本拠地。A380とアクロバット飛行の演技が披露された
プロトンの後ろに見えるのはエアバスの社屋プロトンの後ろに見えるのはエアバスの社屋
エスケープグループ。先頭を行くのはアレクサンドル・ヴィノクロフエスケープグループ。先頭を行くのはアレクサンドル・ヴィノクロフ
ひまわり畑を行くプロトンひまわり畑を行くプロトン

 最初の3級の山岳ポイントを越えたところで、やっと16人の逃げ集団が形成された。メンバーは、アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)、ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)、ニック・ナイエンス(ベルギー、サクソバンク・ディンコフバンク)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)、ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、レディオシャック・ニッサン)、ルイ・コスタ (ポルトガル、モビスター)、ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)といった超一流の選手ばかり。そして、その中に我らが新城幸也も入っていた! 逃げ集団とメイン集団との差は、最大3分30秒にまで広がった。

 新城幸也は有言実行の男だ。これまで「チャンスがあれば逃げますよ」と言った時には、必ず逃げてみせた。このステージもユキヤ向けと言って良いコースだ。

この日も逃げグループに乗り、積極的な走りを見せた新城幸也この日も逃げグループに乗り、積極的な走りを見せた新城幸也

 先頭の16名は快調に飛ばし、最初の3時間を平均44.7km/hで突き進むハイペースに。

 そしてゴール手前42kmのカテゴリー4級の山岳ポイントで、新城が渾身のアタック! 何とこの山岳ポイントを先頭で通過した。ユキヤのアタックによって、集団は14名に絞られる。

 しかし、逃げ集団に選手を送り込めなかったリクイガス・キャノンデール、ラボバンク、オメガファーマ・クイックステップ、ソール・ソジャサン、AG2R・ラモンディアル、エウスカルテル・エウスカディがメイン集団の先頭でペースアップを図り、本気で追走を開始した。すると、差は一気に1分にまで縮まった。

通過する街で、選手たちは応援の大歓声を受ける通過する街で、選手たちは応援の大歓声を受ける

 ゴールまで20kmを残したところで、逃げ集団の中からアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)とジェレミー・ロワ(フランス、FDJ・ビッグマット)がアタック。これによって逃げ集団は崩壊し、ユキヤを含む後続グループはスカイ プロサイクリングがコントロールするメイン集団に吸収されてしまった。

 だが、まだ諦めきれないヴィノクロフとパオリーニが飛び出し、ハンセンとロワを捕らえる。そして、ヴィノクロフが最後の4級の山岳ポイントを先頭で通過。集団からはアンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)とニコラ・ロッシュ(アイルランド、AG2R・ラモンディアル)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)が飛び出し、ヴィノクロフらに合流した。

 しかし、ここでスカイ プロサイクリングが今大会最強のチーム力を発揮した。マイヨジョーヌのブラッドリー・ウィギンスが自らトレインを束ねて先行グループを吸収すると、そのままカヴェンディッシュをリードアウトして最後のストレートへ。ここから解き放たれたカヴェンディッシュはいとも簡単にサンチェスとロッシュをパスし、最後は余裕のフィニッシュで今大会2度目のステージ優勝を決めた。

 日本人初のステージ優勝は叶わなかったが、新城の活躍は国際映像を通じて全世界に流れ、「ユキヤ・アラシロ、ジャポン」は多くの人に強い印象を残した。

ゴールスプリントを制したマーク・カヴェンディッシュゴールスプリントを制したマーク・カヴェンディッシュ
ゴール後、フランスのテレビから取材を受ける新城幸也ゴール後、フランスのテレビから取材を受ける新城幸也

(文 仲沢 隆/写真 砂田弓弦)
 

第18ステージ結果
1 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、スカイ プロサイクリング) 4時間54分12秒
2 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +0秒
3 ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) +0秒
4 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク サイクリングチーム) +0秒
5 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル ラモンディアル) +0秒
6 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ・バラクーダ) +0秒
7 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ プロチーム) +0秒
8 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル ラモンディアル) +0秒
9 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) +0秒
10 サミュエル・デュムラン(フランス、コフィディス ルクレディアンリーニュ) +0秒
115 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +4分42秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング) 83時間22分18秒
2 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング) +2分5秒
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +2分41秒
4 ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル チーム) +5分53秒
5 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +8分30秒
6 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +9分57秒
7 アイマル・スベルディア(スペイン、レイディオシャック・ニッサン) +10分11秒
8 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +10分17秒
9 ヤネズ・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ プロチーム) +11分0秒
10 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ・ビッグマット) +11分46秒
84 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +2時間23分7秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 386 pts
2 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル チーム) 264 pts
3 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 238 pts
4 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、スカイ プロサイクリング) 175 pts
5 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイ プロサイクリング) 146 pts
6 ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング) 124 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 134 pts
2 フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ プロチーム) 123 pts
3 クリスアンカー・ソレンセン(デンマーク、チーム サクソバンク・ティンコフバンク) 77 pts
4 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) 63 pts
5 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 51 pts
6 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング) 48 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) 83時間30分48秒
2 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ・ビッグマット) +3分16秒
3 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、ラボバンク サイクリングチーム) +1時間50秒

チーム総合
1 レイディオシャック・ニッサン 250時間23分5秒
2 スカイ プロサイクリング +14分5秒
3 BMCレーシングチーム +36分25秒

敢闘賞
アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ プロチーム)

この記事のタグ

ツール・ド・フランス2012

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

サイクリストTV

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載

連載