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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<25>ブエルタ・ア・エスパーニャ開幕直前! クライマーが主役の3週間を総展望

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 いよいよブエルタ・ア・エスパーニャの開幕が迫ってきました! ツール・ド・フランス以降、この時が来るのを待っていた方も多いのではないかと思います。観る側にとっても戦いとなる3週間を前に、まずは注目選手を押さえておきましょう。また、序盤ステージのチェックもしてみます。

まさにクライマーのためのブエルタ 総合優勝候補は?

チームに守られて走るニバリ(ジロ・デ・イタリア2013)チームに守られて走るニバリ(ジロ・デ・イタリア2013)

 まず、3週間21ステージをザッと見渡すと、山岳ステージの多さに驚かされる。表向きは13の山岳ステージ設定となっているが、平坦にカテゴライズされるステージの中にも頂上ゴールが設けられている日がいくつかある。そのため、現時点で9名のロースターを発表しているチームの多くが、クライマー中心またはステージ狙いの布陣を組む。

 総合優勝候補筆頭は、2010年以来3年ぶりのブエルタ制覇を狙うヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)。ジロ・デ・イタリアとのダブル・ツール優勝がかかるが、そのジロ以降各地でのイベント参加もあり、ブエルタへの調整開始が遅れた。それでもゆっくりと調子を上げてきており、直前のブエルタ・ア・ブルゴスではまずまずの走りを見せた。ジロ組、ツール・ド・フランス組それぞれから実力者をアシストに招集し、総力戦の覚悟だ。

母国のファンに応援されながら上るロドリゲス(ツール・ド・フランス2013)母国のファンに応援されながら上るロドリゲス(ツール・ド・フランス2013)

 続くのはスペイン勢。ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム)にとっては、最高のステージ構成だ。大会序盤から難関頂上ゴールが設定されており、早い段階からリーダージャージのマイヨロホを着用するかもしれない。大会中盤の個人TTステージも、山岳TTに近いこともあり、ロスなくクリアできる可能性が高い。最終兵器として控えるダニエル・モレノ(スペイン)のアシストも心強い。

 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)は、2009年以来4年ぶりの総合優勝を目指す。得意とするコースは多いが、山岳でのパンチ力はロドリゲスの方が上だけに、どこで勝負をかけるかがポイントになるだろう。

タイムトライアル走行中のサンチェス(ジロ・デ・イタリア2013)タイムトライアル走行中のサンチェス(ジロ・デ・イタリア2013)

 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)も、ジロでの失敗以降、このブエルタに目標を設定。総合狙いだけではなく、チーム存続をかけた最後の戦いの場となる。ベストメンバーを揃えており、イゴール・アントン、ミケル・ニエベ(ともにスペイン)といった山岳巧者も控える。

 躍進のコロンビア勢は、リゴベルト・ウラン、セルジオルイス・エナオ(ともにスカイ プロサイクリング)、カルロスアルベルト・ベタンクール(アージェードゥーゼール ラモンディアル)が虎視眈々と頂点を狙う。ウランとエナオはツール・ド・ポローニュで元気な姿を見せたが、ベタンクールは新人賞獲得のジロ以来のレースに。ここまで静かにきているだけに、不気味な存在である。

 シーズン前半の体調不良から復調したイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール プロサイクリング)、若手有望株のラファル・マイカ(ポーランド、チーム サクソ・ティンコフ)、故障でツールを回避しブエルタにかけるイエール・ヴァネンデル(ベルギー、ロット・ベリソル)あたりも期待して良いだろう。

 スプリンターでは、マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、バリー・マルクス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、アドリアン・プティ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)といった若い選手が数少ないチャンスをモノにしようと意気込む。

 TTスペシャリストのトニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)、ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、レイディオシャック・レオパード)らも世界選手権を前に、調整の場としてスペインに乗り込む。同じく世界選手権を視野に入れるフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)は、直前のエネコ・ツアーの落車で負った怪我の回復具合で参加を判断する。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2013 PRムービー

ブエルタ第1~4ステージの展望

 8月24日に開幕するブエルタは、スペイン北西部のガリシア州で序盤ステージを行う。

 今大会の幕開けは、ビラノーバ・デ・アロウサからサンシェンショまでのチームタイムトライアル(27.4km)。コースはほぼフラットだ。この日の優勝チームから、最初のマイヨロホ着用者が出ることとなる。

 第2ステージ(177.7km)には、早くも山頂ゴールが登場する。ゴールの1級山岳モンテ・ダ・グローバは、登坂距離11km、平均勾配5.6%、最大勾配10%。ラスト1kmが7~8%の勾配で、ゴールでは数秒のタイム差が発生しそう。総合優勝候補たちがどのような走りを見せるか、まずはこのステージでチェックしたい。

 第3ステージ(184.8km)は平坦にカテゴライズされるものの、ゴールはこれまた上りとなる。ミラドール・デ・ロベイラの3級頂上ゴールは、登坂距離4.2km、平均勾配5.7%。ここでは大きな差はつきにくいが、ステージ狙いのパンチャーにとってはチャンスとなるだろう。

 第4ステージ(189km)は、細かいアップダウンの繰り返し。逃げに有利なコースだが、大会序盤だけに容認されるかどうかは難しいところだ。ゴール前が上り基調で、前日同様パンチャーや上りに強いスプリンターが上位を狙うことになるかもしれない。

今週の爆走ライダー-ズデニェック・シュティバル(チェコ、オメガファルマ・クイックステップ)

「爆走ライダー」とは…
1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

パリ~ルーベでカンチェッラーラに食らいつくシュティバルパリ~ルーベでカンチェッラーラに食らいつくシュティバル

 2010年、2011年のシクロクロス世界チャンピオン――サイクルスポーツファンなら誰もが知る“シクロクロス界の英雄”。オフロード王国チェコが生んだ至宝だ。

 大きな期待を受けてロードに本格参戦したのは2011年。自国の億万長者、ズデニェック・バカラがチームオーナーとなったクイックステップ(当時)入り。2012年シーズン以降はコンスタントに勝ち星を挙げ、決して“チェコ人枠”だけで採用されたわけではないことを証明している。シクロクロスで作り上げた脚は、上り、スプリント、パヴェ…何でもOKだ。今年のパリ~ルーベでは、一時は優勝争いにも加わり6位でゴールしている。「北のクラシック」の王者を目指す将来は明るい。

“シクロクロス界の英雄”シュティバルはロードでも躍進中(2011年シクロクロス世界選手権)“シクロクロス界の英雄”シュティバルはロードでも躍進中(2011年シクロクロス世界選手権)

 8月18日に閉幕したエネコ・ツアー(ベルギー、オランダ)では、春のクラシックでおなじみのカペルミュールを激走。ロードキャリア初の総合優勝を果たし、絶好調でブエルタに臨む。チームは、初日のチームタイムトライアルでの勝利を視野に入れており、勝てばマイヨロホが彼の元に届く可能性もある。“ロード界の英雄”になる日もそう遠くはなさそうだ。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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