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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<24>“復権”を虎視眈々と狙う選手たち この秋は3人のベテランに注目せよ!

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 毎日暑い日が続きますが、みなさんはいかがおすごしでしょうか? 「お盆も自転車三昧!」といきたいところでしたが、さすがにこの暑さはいかんともしがたい…。せめて、このコーナーでお届けする情報が一服の清涼剤なることを願いつつ、今回もあれこれ書いてまいります!

フィジカルの問題を乗り越えトップシーンに戻った3人のベテラン

 シーズンは後半に差し掛かり、ブエルタ・ア・エスパーニャや世界選手権を筆頭に、ビッグレースが目白押しとなる。そんな中、筆者はこの夏から秋にかけて、3人のベテランを追っていきたいと思っている。

ブエルタに照準を合わせるバッソ。ジャパンカップ2012以来の勝利なるかブエルタに照準を合わせるバッソ。ジャパンカップ2012以来の勝利なるか

 1人目はイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール プロサイクリング)。ジロ・デ・イタリア総合優勝2回(2006、2010年)、ツール・ド・フランスでも数度の総合上位経験を持つ。また、われわれの記憶に新しいのは、昨年のジャパンカップでの劇的な勝利。まさに偉大なチャンピオンである。

 今シーズンはジロ・デ・イタリアを最大の目標に設定していたが、嚢胞により大会直前に欠場を表明、失意を味わった。しかし、しっかり状態を戻して戦線復帰するあたりが、ベテランの味といえよう。

 ブエルタに目標をシフトすると、ツール・ド・ポローニュ(7月27日~8月3日)で総合8位。最終調整レースのブエルタ・ア・ブルゴス(8月7日~11日)も終始安定した走りで総合10位。2レースとも無理をせず、山岳でもテンポで上りながら上位を維持。勝負に徹するであろうブエルタに期待をしても良さそうだ。ちなみに直近では、ブエルタ第20ステージに登場するアングリル峠の試走を行っているとか。

42歳にしてエースを担うホーナー42歳にしてエースを担うホーナー

 2人目はクリストファー・ホーナー(アメリカ、レイディオシャック・レオパード)。今年42歳と、チームメートのイェンス・フォイクト(ドイツ)と同い年。年齢のことなどお構いなしに、グランツールでの総合上位を狙う姿勢でいる。

 しかし、今シーズンは膝の故障が悪化。目標としていた5月のツアー・オブ・カリフォルニア、そしてツール・ド・フランスも欠場した。

 こうなるとメディアはつい「引退」の2文字をちらつかせてしまうが、本人はいたってやる気のようだ。ツアー・オブ・ユタ(8月7日~11日)で復帰すると、山岳ステージで1勝し、総合2位。上々の結果により、ブエルタでは総合エースとして臨むことが決まった。

ウィギンスはこの頃よりも体重を増やし世界選手権個人TT狙うウィギンスはこの頃よりも体重を増やし世界選手権個人TT狙う

 そして最後は、ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)。昨年の大活躍は説明の必要がないだろう。今年は意気揚々と臨んだジロで、雨の下りに苦しみ、さらには膝を故障。大会途中で離脱したばかりか、連覇のかかったツール・ド・フランスまでも欠場を強いられた。

 その後は、世界選手権個人タイムトライアルに目標を設定した。ツール・ド・ポローニュでは、通常ステージは残り数kmで集団から意図的に遅れ、タイムトライアルステージにのみ注力する徹底ぶりだった。12日に開幕したエネコ・ツアーでも、余力を残して第1ステージを終えており、第5ステージに控える個人TT(13.5km)で勝利を狙う。

 世界選手権に向けた計画として、昨年のツール時と比較して体重8kg増で臨むそうだ。ライバルとなるトニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)や、ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、レイディオシャック・レオパード)にも負けない“完全TT仕様”の体を作る。

 読んでいただいてお分かりかと思うが、この3人に共通するのが、「けがから復調した点」にある。それが直接の原因で一度は失った大きな目標を取り戻すべく、彼らはシーズン後半戦に執念を燃やす。新たな力が躍動する昨今のレースシーンだが、この秋はベテランの意地を目の当たりにすることとなるかもしれない。

最新の移籍・契約更新状況

 前回、ストーブリーグの楽しみ方について触れたが、この1週間でさらなる動きが見られた。

トレックのバイクを駆る別府トレックのバイクを駆る別府

 我々にとっては、何と言っても別府史之(オリカ・グリーンエッジ)の新生・トレックチーム入りが大きなトピックだろう。過去に所属したチームでトレックのバイクに親しんだ経験が、移籍を後押しする要素となった。

 その他ビッグネームでは、現イタリアチャンピオンのイヴァン・サンタロミータ(BMCレーシングチーム)が、イタリア人選手として初めてオリカ・グリーンエッジ入りする。現チームでは、2011年のツールでカデル・エヴァンス(オーストラリア)の総合優勝に大きく貢献。現在、オリカ・グリーンエッジが進める山岳強化の一環として、ここ数年ジロを中心に山岳アシストとして活躍したサンタロミータに白羽の矢が立った形だ。

サンタロミータはオリカ・グリーンエッジに変化をもたらすかサンタロミータはオリカ・グリーンエッジに変化をもたらすか
キンタナの契約内容はバルベルデ級にキンタナの契約内容はバルベルデ級に

 ツールでの大活躍を機に、数チームが接触していたとの噂があったナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター)は、チームに残留。契約期間が残っているが、このほど契約内容の見直しが行われ、チームリーダーのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)と同等クラスの年俸200万ユーロとなったとか。

今週の爆走ライダー-トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)

「爆走ライダー」とは…
1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 “復権”を狙うベテランがいる中で、こちらは華麗なる“復権”を果たしたベテランと言えるだろう。感染症に苦しんだ昨シーズンを乗り越え、強い姿が戻ってきた。

アルカンシエル着用でツールステージ優勝。フースホフトを象徴する「強い姿」だアルカンシエル着用でツールステージ優勝。フースホフトを象徴する「強い姿」だ

 14年ものプロキャリアにおいて、数多くの勝利を挙げており、どれをキャリアのハイライトとするかは難しいところ。スプリンターとして確かな存在であるが、実は個人タイムトライアル、ロードレース両種目でマイヨ・アルカンシエルを獲得している稀有な選手でもある。1998年にアンダー23部門の個人タイムトライアル、そしてスプリントで劇的な勝利を収めた2010年のエリート部門でのロードレース。今でも“本気”を出せば、TTも強い。その証拠に、今年のノルウェー選手権個人TTで2位に食い込んだ。

 オールラウンドな能力を持つことから、「上りに強いスプリンター」の代名詞となった。多少の山岳なら軽々こなし、ときには山岳ステージで逃げて勝利を収めてしまうことも。2009年のツールでは、山岳エスケープをたびたび敢行し、そこで得たポイント貯金を活かしてマイヨヴェールを獲得した。

 今シーズンは序盤から好調で、ノルウェーチャンピオンに返り咲いたほか、ツール・ド・ポローニュステージ2勝、アークティク・レース初代総合優勝。微妙と言われていた世界選手権の代表入りも、どうやら大丈夫そうだ。アップダウンが厳しいフィレンツェの世界選手権コースだが、彼の力ならひょっとするとひょっとするかもしれない。

ノルウェーチャンピオンジャージを纏ったフースホフトが再びレースに戻ってくるノルウェーチャンピオンジャージを纏ったフースホフトが再びレースに戻ってくる

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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