一筋縄ではいかない旅であってもペダルを回し続ける山下晃和著『自転車ロングツーリング入門』 旅情をそそるエッセイに満載の情報

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『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)

 ツーリングを中心とする自転車好きで知られるモデルの山下晃和さんの著書『自転車ロングツーリング入門 ―2泊3日から大陸走破の長期自転車旅まで―』が8月1日に発売された。中国・東南アジア・中米・南米の計19カ国、約1万3432kmを走破した山下さんの経験をベースにまとめられたエッセイで、サイクリストのための実用的な情報も満載されている。

『自転車ロングツーリング入門 ―2泊3日から大陸走破の長期自転車旅まで―』
著者: 山下晃和
出版社: 実業之日本社
版型: A5判128ページ
価格: 1,470円


◇           ◇

 本文は3つの章で構成され、それぞれ2~5つのテーマが設けられている。「質のいいアスファルトでスピードアップ」「首都まで20kmはダート」など、エッセイの中には貴重な現地情報がちりばめられている。

 また、エッセイのあいだにはさまれた10の最新「HOW TO」が、サイクリストにとってはかなり有益だ。現代の利器である充電式乾電池やコンパクトなPC&ハードディスク、デジタルコンパス機能を搭載した腕時計などが紹介され、さらにはGoogle Earthでルートを設計するなど、かつての牧歌的なツーリングとは異なるハイテク機器やシステムの活用にも注目したい。

裏表紙にも旅心をくすぐる写真がたくさん裏表紙にも旅心をくすぐる写真がたくさん

 エッセイ部分は、売春宿へ“拉致”されそうになったり、一眼レフカメラを落としたり、集団強盗に襲われて血まみれになったり…旅につきものの(と言うには衝撃的すぎる!)アクシデントに事欠かない。そうかと思うと、人の優しさや美しい夕日に浮かび上がるシルエットの情景など、感性豊かにつづられた旅情に心がなごむ。

 全体を通して感じるのは、決して一筋縄ではいかない旅であっても、ペダルを回し続ける筆者の意志と精神力。それは必ずしも最初から備わっているものではなく、筆者が旅を重ねるごとに成長していく様子もまた、読者は感じ取ることができるだろう。

 「なぜ旅に出るのか」といった点にも多くのページが割かれている。筆者の山下さんは、「自転車に乗る人だけじゃなく、誰にでも読んでもらいたい。そして『自転車の旅って面白そうだな』と感じてもらいたい」と話している。(柄沢亜希)

<目次>
 
■Chapter.1 僕が旅人になるまで
-旅の動機(自転車で旅をしたこと、「旅」を仕事にしたい、スペイン語との出会い)
-旅人になった日(米国同時多発テロ事件で変わった人生、放浪好きが旅人になった、出発直前に母の病気が発覚)
 
■Chapter.2 アジアをめぐる自転車旅
-旅慣れない日々(香港のチョンキンマンション、100万ドルの夜景の香港で快適キャンプ!、中国本土で疑心暗鬼、広州で心からの「謝謝」)
-続くタフな道(滞在期限と中国のタフな道、ベトナムで心もタフに)
-教訓となる旅(売春宿に連れて行く男に気をつけろ!、香りの良いフォーとコーヒー、上級レベルの山岳国家ラオス、世界遺産アンコールワットで倒れる!)
-快適アジア旅(タイの国道4号線はベストロード、モザイク国家マレーシア )
-旅で得たもの(アジアの旅の最後に)
 
■Chapter.3 中・南米大陸走破の自転車旅
-集大成の旅(中・南米の旅のはじまり、太陽のピラミッドと月のピラミッド)
-山岳地帯の旅(初日から3000mの山越え!、グァテマラで久しぶりの日本語)
-旅は何とかなる(感動のジャングル遺跡ティカル、中・南米のソウルフード、ニカラグアでプロ野球)
-心が揺れた旅(ニカラグアの首都で顔面血だらけに…、太陽の島・オメテペ島、中・南米の宿泊事情、3・11ハポンを想った日)
-旅の最後(砂漠を越えて、ボリビア・ウユニ塩湖で宇宙を歩く、ウルグアイでの不思議な出会い、ブエノスアイレスから太平洋をぐるりと)
 
【HOW TO】
自転車の選び方、ルートを考える、旅の道具、輪行&飛行機輪行、飛行機と所持金、通信と充電、メンテナンス、ウエア、REVOLVE TRAVELER、行動食

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