イベントレポート“冬のリゾート地”が燃えた真夏の1日 「ニセコHANAZONOヒルクライム」を砂田弓弦さんが撮影

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 スキーリゾートとして知られるニセコのベースタウン、北海道倶知安町(くっちゃんちょう)で8月3、4日、「第4回ニセコHANAZONOヒルクライム」が開催された。ウィンターリゾートとして世界中のスキーヤーやスノーボーダーをひきつけるニセコだが、グリーンシーズンの魅力はまだ知られ始めたばかり。広々した大地と、山岳や高原のすばらしい景観を舞台に開催される本大会は、北海道で最も人気のヒルクライムレースとして知られている。今年の大会には、ツール・ド・フランスなど欧州プロ・ロードレースの撮影で知られるフォトグラファーの砂田弓弦さんが取材のため来訪。レースの模様を撮影し、参加者との交流を楽しんだ。

(レポート 大会実行委員会事務局・葛西奈津子)

気迫だけはクリストファー・フルームに負けない選手気迫だけはクリストファー・フルームに負けない選手

 

スキーの町・倶知安で自転車レースを開催

 2013年8月4日。今年もまた、サイクリストと私たち大会スタッフにとって熱く長い1日がやってきた。倶知安町の夏祭り「くっちゃんじゃが祭り」の会場をスタートし、道道58号線をニセコ町との町境、五色温泉まで15.5kmの上り坂で競う「ニセコHANAZONOヒルクライム」を開催する日だ。

倶知安町の夏祭り「くっちゃんじゃが祭り」会場からスタート倶知安町の夏祭り「くっちゃんじゃが祭り」会場からスタート
スタート前の重量チェックスタート前の重量チェック

 第4回を迎えたこの大会には、過去最高となる593人がエントリー。札幌や苫小牧など北海道内の近郊都市を中心に、遠くは沖縄、そしてシンガポールからも選手たちがやってくる。人口1万5450人(2013年6月現在)の倶知安町にとっては、町中がサイクリストで埋め尽くされる1日となった。

昨年の大会ジャージで参加する外国人住民昨年の大会ジャージで参加する外国人住民

 倶知安町は、スキーリゾートとして世界に知られるニセコのベースタウン。倶知安町の名前は知らなくても、冬のNisekoへは、オーストラリア、カナダ、ヨーロッパ、アジアの各国から多くの人々が訪れ、2012/2013年冬季シーズンはついに外国人観光客が日本人観光客を上回り、延べ宿泊者数は前年比3割増と右肩上がりの発展を続けている。

 一方、夏季は、オーストラリア人たちが導入したラフティングが目玉のアクティビティとして人気であるが、ここ1、2年は世界各地からサイクリストが集まるサイクルリゾートの様相を見せ始めた。

 

ツール・ド・北海道に次ぐ規模

スターターは、ニセコHANAZONOリゾートのマスコットにして北海道観光大使のカモノハシスターターは、ニセコHANAZONOリゾートのマスコットにして北海道観光大使のカモノハシ

 朝8時。JR倶知安駅前に設けられた大会本部に、サイクリストが続々と集まってきた。祭りのちょうちんやのぼりで彩られたJR駅前通りを埋め尽くすサイクリストたち。会場の興奮が高まる中、大会のタイトルスポンサーであるHANAZONOリゾートのマスコット「カモノハシ」が第1グループの号砲を鳴らし、選手たちが勢いよく飛び出していった。

 2010年に参加者256人で始まったニセコHANAZONOヒルクライム大会は、あっという間に道内ではツール・ド・北海道に次ぐ規模となった。ツール・ド・北海道と同様、自転車競技連盟公認のポイントレースであると同時に、連盟登録選手以外の一般参加も受け付けている。ロードレースの少ない北海道では、多くの自転車愛好者が1年のメインレースに位置づける大会となっている。

 

独特のむずかしさが魅力のコースプロフィール

 標高差617m、平均勾配4.6%のコースプロフィールは、ヒルクライムというには物足りなく見えるかもしれない。しかし、道幅が広く勾配もゆるやかな前半を飛ばして足を使ってしまうと、10㎞付近から始まる1車線の細い山道、そしてゴール間近にそびえる最大勾配12%の激坂での勝負に勝つことはできない。ペース配分と駆け引きに要する独特の難しさは、順位を競う選手にとっても、自己ベストを目指す愛好者にとっても魅力になっているようだ。

地元サイクリストも多く参加(チームニセコジャージで参加する住民も)地元サイクリストも多く参加(チームニセコジャージで参加する住民も)
牧場を背景に、緩やかな坂が続くコース前半。頭上に見える矢印は、豪雪時に路肩を示すサイン牧場を背景に、緩やかな坂が続くコース前半。頭上に見える矢印は、豪雪時に路肩を示すサイン
ゴールを目前にする参加者ゴールを目前にする参加者

 大会コースとなる道道58号線は、真冬には5mもの積雪に閉ざされて通行止めとなるため、5月中下旬の雪解け・開通の際には、待ちに待ったサイクリストたちが試走に訪れる。

 この日、スタート時の気温は22.7℃ながら、強い陽射しのせいで数値以上の暑さが感じられた。第1スタートのグループでは、レース終盤、エリートクラスの上位陣にS-2、J(高校生)クラスのトップ選手を加えた10人程度の集団が形成され、埼玉県から参戦した佐野千尋選手(サイクルフリーダム・レーシング)が抜け出してゴールを制した。レディースクラスでは米田和美選手(Ready Go Japan)が2位に3分以上の大差をつけ、大会創設以来の4連覇を果たした。

男子エリート優勝者男子エリート優勝者
ゴールを目指してのダッシュゴールを目指してのダッシュ
山頂で疲れをいやす参加者たち山頂で疲れをいやす参加者たち
全力を出したあと全力を出したあと

 表彰式では、エリートクラス、レディースクラス優勝の両選手に、地元の農協「JAようてい」から体重分のじゃがいもが贈呈される恒例のセレモニーが行われ、チャンピオンジャージの授与も行われた。

優勝者には体重分の馬鈴薯が贈られた優勝者には体重分の馬鈴薯が贈られた
チャンピオンジャージを着る優勝選手たちチャンピオンジャージを着る優勝選手たち

 

砂田弓弦さんに会えた!

 「ニセコHANAZONOヒルクライム」は、プレイベントや表彰式の華やかさにも定評がある。各クラスの上位入賞選手への副賞や抽選会の賞品として、豪華コンドミニアムの宿泊券や、レストランの食事券などが提供され、人気を呼んでいる。

昨年からニセコHANAZONOヒルクライム オフィシャルジャージを販売。今年のカラーは、ジロ・デ・イタリアをイメージさせるピンク昨年からニセコHANAZONOヒルクライム オフィシャルジャージを販売。今年のカラーは、ジロ・デ・イタリアをイメージさせるピンク
地元の倶知安農業高校の生徒たちは、特産のじゃがいもをつかったスポーツバーを開発中。参加選手にモニター試食・アンケート調査を行った地元の倶知安農業高校の生徒たちは、特産のじゃがいもをつかったスポーツバーを開発中。参加選手にモニター試食・アンケート調査を行った
今年のスタッフTシャツは、夏らしくカワイイ黄色。たくさんの方々に支えられ、第4回を迎えることができました今年のスタッフTシャツは、夏らしくカワイイ黄色。たくさんの方々に支えられ、第4回を迎えることができました

 今年の大会には、日本を代表するサイクルロードレース・フォトグラファーの砂田弓弦さんが取材に訪れ、大会前日には砂田さんのトークショーが行われた。砂田さんが国内の市民レースを撮影する機会はこれまでになかったことだ。トークショーの最後には、砂田さんの写真集「七月の輪舞」を賞品とする砂田さんとのじゃんけん大会や、サイン会が行われた。

GOKISO試乗会。その高性能ぶりに参加者は驚愕GOKISO試乗会。その高性能ぶりに参加者は驚愕

 さらには、砂田さんからサプライズなプレゼント。なんと、ツール・ド・フランス100周年記念大会のバイクメディアビブ。1つのレースに12人しか発行されないという、バイクに乗っての撮影を許された証が登場すると、参加者の間からどよめきが起こった。

 また、同じく大会前日には、高精度のホイール&ハブを製造するメーカー「GOKISO」(ゴキソ)の試乗会が北海道内で初めて開催された。

 大会後、砂田さんは自身のブログにこう書いている。

 「プロのレースと違って、ゴール後の参加者のさわやかな表情に、感動させられました。そして山頂で自由に飲めた飲料水があったのですが、そのペットボトルをみなさんがゴミ袋に戻される姿はヨーロッパのレースにはないことです。日本も最近は悲惨な事件が増えてますが、やっぱりマナーは抜群に良いということを実感しました。」

ゴールで参加者と交流した砂田弓弦さん(左から3人目のポロシャツ姿)。「自転車っていいなあ」と改めて感じたとかゴールで参加者と交流した砂田弓弦さん(左から3人目のポロシャツ姿)。「自転車っていいなあ」と改めて感じたとか

 来年はニセコHANAZONOヒルクライムが第5回記念大会を迎える。今年以上のサプライズとおもてなしで、多くの参加をお待ちしています。

【コピーライト(©)表記がない写真は大会実行委員会提供】


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