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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<23>来季へ向け早くもストーブリーグが活発に シーズン後半戦に臨む日本人選手にも注目

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 8月上旬のサイクルロードレース界は、ビッグレースの谷間の期間となることから、ニュースが若干少なめ。選手にとっても、観る側の我々にとっても、プレッシャーから解放され、次なるレースに向けて気持ちを高められるタイミングかもしれません。来たるシーズン後半戦に向け、予習も兼ねて注目の情報を押さえておきたいと思います。

移籍情報解禁! 早々にビッグネーム獲得に動いたチームは…

 サイクルロードレースの移籍情報は、UCI競技規則に基づき、8月1日から公表が可能となっている。とはいっても、実際は早い段階から水面下で動きがあり、選手によっては春頃から移籍の噂が出ていたり、その選手の現チームでの契約期間や他選手との関係性などから、熱心にレースを追っているファンであれば容易に移籍の見当がついてしまうケースも少なくない。一方で、ビッグネームのサプライズ的な移籍や、翌シーズン間近の年末にドタバタ劇を演じてチームを移る選手もいる。

一度は引退表明をしたペタッキだが…一度は引退表明をしたペタッキだが…

 選手たちにとっては、自身の競技環境を左右する問題でもあるため、非常に重要な決断を迫られることとなるが、ファンにとってみれば今後を占う指標であると同時に、選手のレースとは違った一面を見られる機会でもあるのが、ストーブリーグの楽しみでもある。

 UCIプロチームは、徐々に移籍選手、新規契約選手の発表を行っている。その中でも、先陣を切ったのがアスタナ プロチームとオメガファルマ・クイックステップだ。

 アスタナ プロチームは、個人タイムトライアルのオランダチャンピオンであるリーウ・ウェストラ(ヴァカンソレイユ・DCM)とロードのイタリアチャンピオンであるフランコ・ペッリツォッティ(アンドローニジョカットリ)との契約を発表した。2人ともに、来年のツール・ド・フランスで総合優勝を狙うヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)の山岳アシストを務める公算だ。ただ気がかりなのは、2010年にバイオロジカル・パスポートの値を問題視され、2年間出場停止となったペッリツォッティの契約が、サイクリング倫理団体MPCCの規約違反ではないかと指摘されている点。チームはMPCCに加盟していることから、ペッリツォッティを巡る動きは予断を許さない状況となっている。

現TTオランダチャンピオンのウェストラ現TTオランダチャンピオンのウェストラ
ジロ・デ・イタリア2013でナショナルチャンピオンジャージを着て入場するペッリツォッティジロ・デ・イタリア2013でナショナルチャンピオンジャージを着て入場するペッリツォッティ
カヴェンディッシュとレンショーはかつてのチームメート(ツール・ド・フランス2010)カヴェンディッシュとレンショーはかつてのチームメート(ツール・ド・フランス2010)

 オメガファルマ・クイックステップは、リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイ プロサイクリング)と、マーク・レンショー(オーストラリア、ベルキン プロサイクリング)の獲得を発表。ウランは今年のジロ・デ・イタリアで総合2位となり、グランツールライダーの加入を望んでいたチームと相思相愛の移籍が実現。また、レンショーは言わずと知れた“世界最高のリードアウター”だ。レンショーからマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)へのホットラインが2014年に復活する。また、チームは8月1日付で、4月に引退を発表したアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)の加入を発表。こちらもカヴェンディッシュのリードアウト役として現役復帰することとなった。

 今後、各チームから続々と移籍発表が行われることとなる。合わせて、現所属チームとの契約延長が完了する選手についても明らかになる。グランツールやクラシックレースで優勝を争う選手から、堅実なアシストマン、そして若き才能まで、さまざまな選手の動向を知ることができるだろう。

日本人選手もシーズン後半戦へ 8月上旬~中旬のレース展望

ツール・ド・フランス出場は控えたウィギンスツール・ド・フランス出場は控えたウィギンス

 この時期は、1週間程度のステージレースが主に行われる。ツール・ド・フランス後に休養していた選手たちも、次なる目標に向け動き出すこととなる。

 前回触れたツール・ド・ポローニュは、総合争いが最終ステージまでもつれる大激戦。最終第7ステージ個人タイムトライアル(37km)で好走した、ピーテル・ウイーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)が逆転で総合優勝。また、同ステージではブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)が圧勝している。ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、レディオシャック・レオパード)も2位に入り、世界選手権の個人TTでマイヨ・アルカンシエルを狙う2人が復権に向け少しずつピッチを上げている。

カンチェッラーラの爆速TTが見られるかカンチェッラーラの爆速TTが見られるか

 日本人選手の動向にも注目。現地時間8月6日開幕のツアー・オブ・ユタ(UCI2.1)には、増田成幸(キャノンデール プロサイクリング)と西薗良太(チャンピオンシステム プロサイクリング)が参戦。スプリント、山岳とバランスのとれたステージ構成で、トップチームも出場したレースだ。増田は8月2日から4日までアメリカ・シカゴ近郊で開催されたツアー・オブ・エルクグローブ(UCI2.1)で、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)の総合優勝に大きく貢献するなど、チーム内での評価を高めている。

 ブエルタ・ア・エスパーニャの前哨戦として名高いブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.HC)には、別府史之(オリカ・グリーンエッジ)が出場。ニバリ、イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール プロサイクリング)、ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)といった大物も顔を揃え、ブエルタ本番さながらの激しいレースが見られるだろう。こちらは8月7日開幕。

 UCIワールドツアーは、スピードマンやTTスペシャリストに人気のエネコ・ツアーが8月12日からスタート。全7ステージのレースには、ウィギンスやマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)らが臨む。前述のペタッキも復帰レースに選んでいる。

今週の爆走ライダー-ラファル・マイカ(ポーランド、チーム サクソ・ティンコフ)

「爆走ライダー」とは…
1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

ニバリとともにスタートラインに並んだ新人賞ジャージのマイカ(ツール・ド・フランス2013)ニバリとともにスタートラインに並んだ新人賞ジャージのマイカ(ツール・ド・フランス2013)

 若いライダーを中心に、いまやプロトン内の一大勢力となりつつあるポーランド勢。その旗手となった選手と言っても良いだろう。

 2011年に現チーム(当時サクソバンク・サンガード)でプロデビューする際、チームオーナーのビャルネ・リースが「すごいポーランド人を獲得した」と、早くからその能力を評価。実力を大きくアピールすることになったのは、2012年のブエルタ・ア・エスパーニャ。山岳ステージで集団を分断するペースアップ役を担ったのは記憶に新しい。アルベルト・コンタドール(スペイン)の総合優勝を大きくアシストした。

 今年のジロ・デ・イタリアでは、最後までマリアビアンカ(新人賞ジャージ)を争い、総合7位と総合エースの任務を遂行。とはいえ、まだ23歳と若いことから無理はさせず、ゆっくりとシーズンインし、出場レースも絞る。

 次の舞台はブエルタ。TTステージをクリアできれば、総合上位への期待がかかる。これまで蓄えた力をフルに発揮する時がまもなくやってくる。

2012年のブエルタ・ア・エスパーニャで激走を披露したマイカ2012年のブエルタ・ア・エスパーニャで激走を披露したマイカ

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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