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つれづれイタリア~ノ<7>“日焼け美女”に見るイタリア人の夏休み、町は“砂漠化”さぁ海へ! 自転車日焼けには賛否両論

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海でゆっくりまったりする時間を楽しむイタリア人海でゆっくりまったりする時間を楽しむイタリア人

海でまったり長期滞在

 8月、日本にも待ちに待った夏がきました。イタリアの夏はというと、とっくに始まっています。暦の上で、イタリアの夏は6月21日にスタートし、9月上旬まで続きます。その間、イタリア中で「夏休み」という、目に見えないけれど肌で感じるムードに包まれ、テレビや電車、バスの時刻表からレストラン・店の営業時間まですべて変わります。

 店の多くはシャッターを閉め、路線バスも大幅に便数を減らします。町は“砂漠化”し、炎天下に観光名所をさまよう観光客しかいないことも珍しくありません。

 イタリアでの夏と言えば、海でゆっくりまったり。日本と大きく異なる点は2つ、「期間は最低でも2週間」、そして「できるだけ何もしない」ということです。特に日本人に一般的な1~2泊のバカンススタイルは、イタリア人には理解できないようです。

 イタリア人の大半が、旅先にレンタルアパートを見つけ、そこで2~3週間滞在します。海のリゾート地でseconda casa(別荘、セカンドハウス)を購入する人も珍しくありません。その結果、毎年同じところで同じ仲間と、夏休み期間をずっと過ごす人は大勢います。彼らは成長し、結婚し、またその家族が同じ場所に戻っていきます。夏だけの隣人がいるのも一般的です。リラックスできる究極の選択ですね。

海の家ではビールが大人気海の家ではビールが大人気

 そしてイタリア人は基本的に海で何もしません。ビーチスポーツを楽しむ若者もいますが、毎朝きれいにされたビーチで、ビーチにきれいに並ぶパラソルとデッキチェアを海の家から借りて、そこに寝そべり、本を読み、音楽を聴き、クロスワードをし、隣のパラソルの人と長々とおしゃべりするのです。

 夕方になると、シャワーを浴びてきれいな服に着替え、lungomare(ルンゴマーレ)と呼ばれる海沿いのオシャレなレストラン街を歩き、ピザか魚料理を食べます。午後10時にやっと日が沈むと、ディスコと化した海の家で少し踊り、夜中3時に帰宅。翌日カフェラッテを飲み、またビーチに向かう――やはりバカンスでは疲れた体を休ませたいですね!

イタリア人のバカンスの意識調査(2013年)

 【旅先】イタリア国内:79%、海外:21%
 【場所】海:46.6%、田舎および芸術都市:39%、山:14.2%

※ISTATイタリア統計局調べ

イタリア人はなぜ日焼けが好き?

 日本とイタリアのもうひとつの大きな違いは、日焼けに対する考え方です。イタリアでも18世紀末までは日焼けは敬遠されていました。日焼けする人は、畑仕事や路肩で仕事をする貧しい民たちだけと考えられていたからです。

日が沈むと海の家はディスコ化日が沈むと海の家はディスコ化

 しかし19世紀に入ると、ビーチでバカンスを楽しむことがブルジョアの間ではやり始めました。高級ホテルが建ち、いつの間にか海でバカンスを過ごすことが、庶民のあこがれになりました。

 ファシスト党が政権を握った1925年には、教育の一環としてcolonia estiva(夏のコロニー)が完備され、子どもたちが集団生活をしながら海でのバカンスを楽しむようになりました。その目的は、労働力を担う国民と、健康的な兵隊を育くむことでした。そのためには太陽の力強い光が必要で、色白の男性や女性を格好悪いと思う時代が始まりました。

ニバリの隣に立つポディウムガールも、日焼け美女(ジロ・デ・イタリア2013)ニバリの隣に立つポディウムガールも、日焼け美女(ジロ・デ・イタリア2013)

 戦後になっても、「日焼け=健康的な体」のイメージはイタリアに深く定着していたため、夏に日焼けをしていないと、病気なのかと聞かれるほどです。日本人女性の日焼けに対する恐怖心をイタリア人が理解できない理由はここにあります。

 現在もイタリア人女性への最高の褒め言葉と言えば…「Sei bella come il sole (セイ・ベッラ・コーメ・イル・ソーレ)」、つまり「あなたは太陽のように美しい」!

 そうは言っても、午後1時~3時までビーチで日焼けをする人はほとんどいません。ビーチパラソルの下で、日差しが弱くなるのを待ちます。子どももきちんと日焼け止めクリームを塗り、小さい頃から肌ケアが欠かしません。日焼け事情、難しいですね。

 

自転車日焼けは美しい? イタリアでも賛否両論

マッサージを受けるアレッサンドロ・デマルキ(キャノンデール プロサイクリングチーム)。イタリア人らしく日焼けの差が目立たない?マッサージを受けるアレッサンドロ・デマルキ(キャノンデール プロサイクリングチーム)。イタリア人らしく日焼けの差が目立たない?

 そして、日焼けといえばサイクリスト特有の焼け方がありますね。イタリア人はやはり焼け方にも強いこだわりがあります。マダラ焼け、部分日焼け、abbronzatura zebrata(ゼブラ日焼け)をはじめ、ジャージの跡がくっきり残る自転車日焼けはあまり好まれません。ここで、イタリアの選手たちが行うもっとも一般的な対策3つ紹
介します。

 1) 練習する時に、露出している部分に日焼け止めをたっぷり塗り、ジャージに隠れている部分にはセルフタンニングクリームを塗る
 2) 海やプールの近く住んでいる、もしくは広いベランダのある人は、全身を日焼けする
 3) 日焼けサロンを使う

 男女を問わず、日焼けを避けることより、日焼けをきれいに見せることに一生懸命ですね。ジロ・デ・イタリアを総合優勝したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)も例外ではありません。地元のメッスィーナ近郊で全身日焼けをしているところを目撃されています。

 

美人の苦難、恐怖のビキニ披露シーズン

 最後に、夏の風物詩、ビキニを身にまとう美女たちについてです。肌を露出するサマーファッションに目がないイタリア人女性に人気のあるのは、日本のビーチでよく見かけるようなフリフリの水着ではなく、大人の女性の魅力を引き出す水着です。セパレートビキニはダントツの人気で、20代だけでなく、40代、50代の女性たちがビキニを楽しみます。

沿道で応援するビキニ姿の女性たち(ジロ・デ・イタリア2012)沿道で応援するビキニ姿の女性たち(ジロ・デ・イタリア2012)

 多くの女性を悩ませるのは、体型です。7月に入った途端に、全国のほとんどのウェブサイトとファッション紙には「Sei pronta alla prova del bikini?(ビキニになる準備ができる?)」という文字が踊ります。

 が、ここでもやはり日焼け美人になる記事ばかり目立ちます。さまざまな特集が組まれているものの、イタリア人らしく時すでに遅し、体を絞れないまま、ビーチに突入する女性たちが大半。ご想像通り。でもみんな体型が崩れているから、結果的に誰も気にしない…というメリットもあるかもしれませんね。

 さぁイタリアの夏、肌を解放して太陽の元気な力でエネルギーを充電しましょう。

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)
イタリア語講師。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会で、自転車にまつわるイタリア語講座「In Bici」(インビーチ)を担当する。サイクルジャージブランド「カペルミュール」のモデルや、Jスポーツへ「ジロ・デ・イタリア」の情報提供なども行なう。東京都在住。ブログ「チクリスタ・イン・ジャッポーネ

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