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栗村修の“輪”生相談<2>30代男性「ヒルクライムのタイムを縮めることができません」

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 5年ほど前からロードバイクに乗り始めました。上りが好きで、毎週末のように峠でタイムアタックをしています。

 ところが、ここのところタイムが縮まなくなってきています。最初の1、2年は面白いように速くなったのですが…。練習量はむしろ増やしています。ローラー台も買いましたし、パワーメーターも使っています。サプリにも投資しています。他になにか良い手はないでしょうか?(神奈川県、30代男性)

 質問者さんは恋愛下手ではないですか?

 トレーニングとは自分の肉体との恋愛です。相手(自分の体)をドキドキさせることで関係が進展する、つまり速くなるんです。ところが、マンネリ化してくるとそのドキドキがなくなります。体がトレーニングに順応しちゃうんですね。

 相手を追いかけすぎると、せっかく盛り上がっていた熱は急速に冷めちゃいますよね。練習しすぎです。あんまりやりすぎて、おはようからおやすみまでの間に50件もメールをするようになってはほとんどストーカーです。自分で自分の体のストーカーになった状態をオーバートレーニングと呼びます。体に、いい加減にしてよねと飽きられる訳です。

 逆に、練習をしないで完全にほったらかすのも、もちろんダメ。当然、相手は離れていきます。この加減が難しいんです。

 質問者さんも、ツール・ド・フランスの総合優勝を狙えるような選手が調整に失敗してボロボロになっているのを見たことがあるかもしれません。世界のトッププロにとっても、ここのさじ加減は永遠の課題なんです。彼らでさえ自分の体を知り尽くすことができていないのです。

 そこでキーワードになるのが「小悪魔」です。自分の体に対して小悪魔になると。

小悪魔ちゃんと悪魔おじさんが上りでお待ちしております(砂田弓弦撮影)小悪魔ちゃんと悪魔おじさんが上りでお待ちしております(砂田弓弦撮影)

 恋愛だと、付き合えるのかな? 俺にも可能性あるかな? みたいな状態が一番燃えますよね。トレーニングでもこの状態を上手く維持する工夫が必要です。自分で自分のケツを追いかけ続けると言うべきでしょうか。
 
たとえば、毎日メールで口説かれたら誰でも飽きます。でも、そんな人がいきなり連絡を絶ったらどうでしょう。あれ? あの人どうしちゃったのかしら? と相手はびっくり。そこでぐっといくのです。このバランスが重要なんですよ。押せばいいというものではありません。

 ケガでしばらく乗れなかった選手が、復帰後、急に強くなることがあります。毎日のハードな練習に対して体が築いていたリミッターみたいなものが急に外れるからだと思います。ストイックな食生活を続けていた選手がたまに飲んだくれたりとか。

 あとは資質です。悲しいかな、フィジカルの能力がモロに出るヒルクライムでは資質が占める割合が大きいんです。もちろん練習はすごく大切なんですが、同じ練習量でも伸び具合は人によってまったく違います。

 内容も大切です。いくら自己満足の練習をしてもダメ。毎週末200kmを走り込んでも、短時間高強度のヒルクライムにはあまり寄与しないかもしれません。量だけでなく、質も重要です。

 5年付き合ってきたご自分の体と、改めてもう一度向き合ってみてはいかがでしょうか。(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)
プロ・ロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」監督。レース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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