現地レポート・台湾サイクリング事情<4・完>台湾を“サイクリングアイランド”へ ジャイアントが支える自転車ブーム

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オンロードジャンルの自転車

 世界最大の自転車メーカーで、台湾を代表する企業の一つでもあるGIANT(ジャイアント)。台北のような大都市でも、あるいは小さな街を訪れても「捷安特」(ジャイアント)の看板を掲げた自転車店に出会い、道行く自転車には「GIANT」のロゴが踊る。台湾のサイクルスポーツはまだ発展途上といわれるが、盟主ジャイアントはどのような意思をもって営業や普及活動を展開をしているのか。台湾内の販売会社「ジャイアント台湾セールス」の本社(台中市)を訪ね、その戦略を聞いた。

女性向けの新型エアロロード「Envie」(エンビー)。日本には2014年モデルより導入される女性向けの新型エアロロード「Envie」(エンビー)。日本には2014年モデルより導入される

ビギナーや女性のための手厚いラインナップ

 台湾内外にいくつもの関連会社と拠点を構えるジャイアント。台湾第3の都市・台中には、マーケティング戦略の頭脳となる部門が置かれている。

 6階建てのビルは1、2階が店舗、3階はトレーニングセンター、4階以上にはオフィスを構えている。エントランスを入ると、ジャイアント台湾・セールスの鄭秋菊(アリス・チェン)社長が出迎えてくれた。

ジャイアント台湾・セールスのアリス・チェン社長ジャイアント台湾・セールスのアリス・チェン社長
入口近くに設置されたパネルと「Envie」入口近くに設置されたパネルと「Envie」

 店舗に足を踏み入れると、色分けされたブロックによる説明用パネルが目に飛び込んでくる。バイクの種別がオンロード、オフロードともうひとつ、中間の「X(エクス)-ロード」に分類され、さらに運動強度が高い方からパフォーマンス、スポーツ、ライフスタイルに分けられている。

 チェン社長は、「来店時にどんな自転車がいいのかわからない人も多い。このパネルを見ながら話すうちに、それぞれのスタイルに合った自転車を見つけるきっかけをつかみます」と話す。スポーツサイクルのビギナーにとって、専門店は敷居の高いイメージがあるものだが、こうしたツールを活用することで不安が和らぎ、自転車選びを上手にスタートできるかもしれない、と感心した。

女性専用モデルが並ぶリブ/ジャイアントのコーナー女性専用モデルが並ぶリブ/ジャイアントのコーナー

 パネルの前には、2014年モデルで新登場する女性向けエアロロード「Envie」(エンビー)が展示されていた。ジャイアントがいま特に力を入れているのは、女性をターゲットにしたラインナップ「Liv/giant(リブ/ジャイアント)」。この店舗でも、入口近くの一角に女性専用のバイクやウェア、アクセサリーが並んでいた。日本でも昨年春、「Liv/giant」と命名された女性のためのサイクルストアが大阪に誕生している。

 さらに、入口正面に並べられていたのは、新ジャンル「動。SPORT」として展開する「ANYROAD」シリーズ。「都会の人のエクササイズ用」というバイクは、ヘッドチューブを長く、トップチューブ後方を低く設計したスローピングフレームに、凹凸のあるトレッドのタイヤやディスクブレーキが装備され、通勤や、段差を越える場面のある街乗りなどでのライディングスタイルに適したデザインとなっている。

新ジャンル「動。SPORT」として展開する「ANYROAD」シリーズ新ジャンル「動。SPORT」として展開する「ANYROAD」シリーズ
2階には高級ロードバイクが並ぶ2階には高級ロードバイクが並ぶ
エントランスでは、キング・リュウ社長のパネルがお見送り。となりはマーケティング専任のアビー・ホンさんエントランスでは、キング・リュウ社長のパネルがお見送り。となりはマーケティング専任のアビー・ホンさん

 2階は高級ロードバイクが並ぶ“プレミアムフロア”。奥には、サイズやポジションをフィッティングする「RIGHT RIDE」システムのコーナーが設けられている。

 

ツーリングをサポートする旅行会社も

女性向けのリブ/ジャイアントのライドイベントでの集合写真女性向けのリブ/ジャイアントのライドイベントでの集合写真

 チェン社長が「なにごとも、まずは台湾市場でトライアル」と話すように、ここ台湾で新しいことに挑戦し続ける勢いが、世界を制したジャイアントのパワーにつながっているのだろう。

 この店舗では、女性だけのライドイベントや、ビギナーが楽しみながら正しい乗り方を習得できるイベントなどが日常的に開催されている。また、自転車の製造・販売にとどまらず、自転車ツーリングの夢を多くの人に実現してもらうための旅行会社「ジャイアント・アドベンチャー」(捷安特旅行社)も運営されている。台湾ツーリングのサポートのほか、しまなみ海道や沖縄、北海道といった日本への自転車旅行も取り扱っているそうだ。

 バイクなどハード面だけでなく、サイクリングを普及するためにソフト面の取り組みも積極的に進めるのは、この巨大企業を一代で築き上げた創業者、劉金標(キング・リュウ)会長の経営理念でもある。劉会長が目指すのは、台湾を“サイクリングアイランド”にすること。その夢は、間違いなく実現されつつある。

◇      ◇

台湾の自転車フリーライター、チュンさん台湾の自転車フリーライター、チュンさん

 台湾におけるスポーツサイクルの広がりについて、台湾の自転車フリーライター、程珮筠(チュン・ペイヤン)さんに話を聞いた。

 台湾では元来、勉学に精を出すような教育はあっても、スポーツは二の次とされてきたという。自転車ブームが起こったのは、2007年に公開された映画『練習曲』がきっかけだった。青年が台湾1周を自転車で試みるロードムービーだ。

 スポーツサイクルは「高価だ」「疲れる」といった負のイメージが強かったが、この映画に憧れた若者たちがスポーツサイクルに興味を持ち始め、各地にサイクリングクラブやバイクショップも増えてきたそうだ。特に、ジャイアントが催す女性向けライドイベントは、バイクを購入した女性がモチベーションを保つのに効果的で、ダイエットやグルメ目的も含め、リラックスした雰囲気で楽しむ人が多いのだとか。女性がおいしいものを目指して走るのは、万国共通かもしれない。

 

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