工具はともだち<27>緩みにご注意! ほんの少しのチャレンジ精神でボルト・ナットの締付けを定期点検

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 京都生活が長かった私は、盆地の夏の暑さを知っているつもりでした。京都駅で新幹線を降りた時のムワッとした感覚はたまらないですが、今年は、東京の方が暑いような気がします。

勘に頼らないトルク管理に欠かせないデジラチェ勘に頼らないトルク管理に欠かせないデジラチェ

 前回までのデジタルな“ともだち”のお話、いかがだったでしょうか?

 KTCでは、時代とともに要求される品質や機能を追い続けてきた結果、現在の一番良い形としてデジタル化を行ない、勘に頼らないトルク管理を進めてまいりました。今では展示会などでも、より多くの方に興味を持ってもらっていることを感じています。

 ところが、「デジタルのトルク管理は100点満点」なんて申し上げたものの、落とし穴もあります。その理由のひとつに、ボルト・ナットの締付けは永遠に完璧な状況が続かないということがあげられます。

 決められたトルク値を無視した締付けは論外ですが、トルクレンチの使用方法が正常であったととしても、走行時の振動や微妙なボルトの変形などにより、緩みが発生してしまう場合があります。自転車であれば、特に高速域での走行が多い場合やMTBなどでの舗装されていない路面の走行、ギャップの乗り越えなどで車体やボルト部に衝撃が加るほど、その緩みは加速してしまいます。

 車をお持ちの方なら経験があるかもしれませんが、タイヤ交換の際に、「交換後100km程度走行したら、増し締め・チェックをお願いします」というように言われることもありますね。これは、タイヤ交換時にキッチリとトルクレンチで締付けが行なわれていたとしても、走行によって緩みなどが発生する場合の防止策として注意をうながしているのです。

ボルト・ナットの締付けのしくみボルト・ナットの締付けのしくみ

 ボルト・ナットが適切に締付けられている状態というのは、「別れを惜しんでん離れようとしない終電待ちのカップルのように、お互い逆方向へ向かってはいるけれども、離れずに動かない状態」(第1回)です。ボルトとナットを締付けたことで、ボルトに戻ろうとする力が発生し、バランスよく対象物を挟んでいるのです。

 喧嘩などの“余分な力”が発生した時に関係が悪化してしまうように、振動などで締付けのバランスが崩れてしまいます。ですから、一度だけ決められたトルクで締めつけたとしても、その後も必ず定期的に締付け確認を行なう必要があるんです。

締付けチェックは面倒がらずにチャレンジ!締付けチェックは面倒がらずにチャレンジ!

 じゃ、いつやるのか? できれば、ロングライドイベント前やハイスピードなレース前のメンテナンス時には、必ず行なってください。「そんな面倒な」なんて思わないでください。ケガや事故を未然に防ぐ、素敵なパートナーと末長くお付き合いしていただくための、ほんの少しのチャレンジですので。

 暑い夏、水分補給と適切なメンテナンスで、楽しい自転車ライフをお過ごしください。

小池覚(こいけ・さとる)
KTC(京都機械工具)へ入社後、販売企画や商品開発に携わる。学生時代から二輪、四輪が趣味で、整備経験が豊富。自転車は実は始めたばかりだが、工具のプロとして、サイクリストにも整備の“いろは”を伝えることに燃えている。

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