山口和幸の「ツールに乾杯! 2013」<7>ディレクション・ア・パリ! 伝統のツールは、このあとの100年もしっかりと存続していく

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 ディレクション・ア・パリ。いざパリへ。第100回ツール・ド・フランスは大激戦のアルプスを越え、いよいよ最終到着地となるパリ・シャンゼリゼを目指す。

プロトンよ、あれが巴里の灯だプロトンよ、あれが巴里の灯だ

 100回の歴史を持つ大会は初めてコルシカ島を訪れ、移動日なしでフランス本土のニースへ。前半は猛暑。六角形をしたフランスの大地にS字を描くようにめぐり、最終週は過酷な山岳ステージの連続だった。ニースで新車を入手したときのトリップメーターはゼロだったが、すでに4,600km。パリまではまだ560kmの移動が残る。

 選手たちの最初の大移動は、休息日前日のレース終了後に空路で移動した。チームバスはすでに陸路で700kmの大移動中だったので、選手たちはピレネーを下り終えた町の体育館でシャワーを浴び、そのまま空港行きの送迎バスに乗り込んだのだ。

 2度目の大移動はアヌシー・セムノズで総合成績をほぼ決着させ、その日はアルプスのホテルでのんびりして、最終日の午前中に空路でパリ近郊入りする。チームにとっては最終日前日までがツール・ド・フランス。パリ凱旋のステージは沿道のファンを楽しませるためのお祭りだ。

 華やかな100回記念大会となることが予想されたが、現場はいつもと変わらない雰囲気だった。沿道で幸せそうに手を振る観客たちの姿はこれまでと変わることなく、大会運営者も取材陣もレースの醍醐味に接しながらも観光大国フランスの魅力を満喫した。

 記念大会だからと肩肘を張ることはなく、すんなりやってのけるのが100年の伝統だ。そんな存在であるから100年の歴史は途切れることなく、そしてこのあとの100年もしっかりと存続していくだろうと確信した。

 クルマの進行方向にいよいよ「パリ」の標識が。前日までカーゴパンツでコミュニケを配布していた女のコがスカート姿になった。パリはそんな存在。

 最終日のジャーナリストはみんなシャンゼリゼのサーキットを楽しむひまもなく原稿書きに追われる。パリ市内のオフィスで作業する人も多いのでサルドプレスの記者はもはやまばらだ。

 ボクは最終周回だけツール・ド・フランスを感じに行こうかな。来年を最後に引退するダニエル・マンジャスの実況が大好きだからだ。「デルニエツール(最終周回)、デルニエールキロメトル(最後の1km)」というマンジャスの絶叫を聞くと身震いする。選手とともに23日間を回ってきたボクの至福の瞬間だ。


山口和幸山口和幸(やまぐち・かずゆき)
ツール・ド・フランスをはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い続け、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、ナンバー、ターザン、YAHOO!などで執筆。国内で行われる自転車の国際大会では広報を担当。著書に「ツール・ド・フランス」(講談社現代新書)、「もっと知りたいツール・ド・フランス」(八重洲出版)など。

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