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山田美緒の「旅する満点バイク」<14>「自転車×平和」ってどんな活動? 中東で女性がサイクリングする「フォロー・ザ・ウーマン」に初参加

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 トルコ人の知り合いから、「中東でFollow the Women(フォロー・ザ・ウーマン)というプロジェクトに参加したい日本人の女性サイクリストを探しています」とお誘いがあったのは2007年の冬。

レバノンを走るフォロー・ザ・ウーマン参加者(2008年)レバノンを走るフォロー・ザ・ウーマン参加者(2008年)

 それまで、中東を自転車で走るなんて考えたこともありませんでした。そもそも、中東で女性が自転車に乗っているイメージなんて全然ないけれど大丈夫? それに「フォロー・ザ・ウーマン」ってなんだろう、女性を追いかけるレースか何かだろうか。興味津々でホームページにアクセスしてみました。

 「フォロー・ザ・ウーマンとは、世界30カ国から300人の女性が中東の平和を願い自転車で走り、世界中にメッセージを発信する活動で、地域の協力のもと2004年にイギリス人女性の呼びかけで開催されている」

 これだ、と思いました。その当時私は、自転車×STOP AIDSの活動をはじめとする「自転車×○○」の可能性を感じていたころでした。「自転車×平和」なんておもしろい、どんな活動か見てみたいと、参加を即決しました。

ヨルダン・アンマン市内を通行止めにして女性ばかりがサイクリング!(2008年)ヨルダン・アンマン市内を通行止めにして女性ばかりがサイクリング!(2008年)

 2008年のフォロー・ザ・ウーマンで走ったルートはレバノン、シリア、ヨルダン、パレスチナの4カ国。各地で地元住民との交流やミーティング、難民キャンプや歴史的な場所の訪問などをしながら2週間を過ごす日程でした。宿や食事はもちろん、ルートもすべて手配されているというので私は満点バイクと身ひとつで現地に行くだけ!

 中東に行くからにはやっぱり肌を露出しないほうがいいんだろうな、砂漠だから暑いだろうな、世界中から300人の女性が集まるってどんな感じだろう。期待に胸を膨らませ、いざレバノンへ出発です。

 空港では、「MIO YAMADA」と私の名前を掲げた髭もじゃの男性が立っていました。彼の名はハッサム、レバノンのユース団体でフォロー・ザ・ウーマンの活動をサポートしているのだそうです。フォロー・ザ・ウーマンで走るのは女性だけだけれど、運営やサポートスタッフには男性もいるのです。

時計台を中心におしゃれなカフェやショップ、教会やモスクが集まるレバノン・ベイルートのエトワール広場。広場の入口は厳重に警備されていた時計台を中心におしゃれなカフェやショップ、教会やモスクが集まるレバノン・ベイルートのエトワール広場。広場の入口は厳重に警備されていた

 ホテルへ向かう道中、町に入ると車がぴたっと止まってしまいました。まわりの車からけたたましいクラクションが鳴り響き、ハッサムの「だめだ」というつぶやきが聞こえました。よく見ると、渋滞の先には巨大な戦車が停車し、機関銃を持った兵士が降りてうろうろしているではないですか。展示されている戦車は見たことがあるけれど、活動中の戦車を見たのは初めて。レバノンって、そんなに治安が悪いのだろうか…。

 すこし不安な気持ちを抱えながらホテルに着くと、「あなたがミオ?」とあちこちで声をかけられました。たった1人の日本人は、参加者の中で噂になっていたようです。さらに、初めての日本人ということで大歓迎をされました。おかげで最後まで、寂しい思いをすることはありませんでしたよ。

スタート地点には踊りと音楽のお出迎えスタート地点には踊りと音楽のお出迎え
レバノン・ベイルートの街並みやカフェでのメニューレバノン・ベイルートの街並みやカフェでのメニュー

 フォロー・ザ・ウーマンの初日は、バイクのフィッティングから始まりました。レンタサイクルの利用が可能とあって、私のように自転車を持参した参加者は300人中10人以下でした。レバノンなど現地の女性をはじめ、イギリス、デンマーク、ポーランド、オーストラリア、ブルガリア、エストニア、トルコといった国々の女性が大集合。これだけ女性が集まるとかなり華やか…いや、賑やかです。どんなパワフルな人たちが集まるんだろうと事前に考えを巡らせてはいましたが、「こんな暑いとこにいられないわ!」「赤いリンゴじゃなくて青がいい!」あちこちから“お姫さま”の要求が聞こえてきて、笑ってしまいます。

スタート前の式典に集まった地元の人や子供たちスタート前の式典に集まった地元の人や子供たち

 レバノンでは、900mの山の上から0mの海岸へ向けて走りました。上ると苦情が出るので(!?)山の上まではバスで移動し、40kmほどの道のりを下っていきます。スタート地点では地元の人たちが式典や踊り、食事を用意してくれていました。朝ごはん食べたばかりにもかかわらず、みんな食べます。

 花が飾られたゲートから、サポートバスやバイク、クルマ、白バイ、先導するメディアトラックとともに一斉にスタート。ちょっと走ったと思ったら地元の人が踊りやお菓子で歓迎、またちょっと走ったら踊りとジュース…とあちこちでおもてなしを受けながら走りました。コースも、景色や空気の変化が感じられる山道ならではの魅力がありました。

レバノンでは景色や空気の変化が感じられる山を下るコースへ。沿道には家族そろっての応援もたくさんレバノンでは景色や空気の変化が感じられる山を下るコースへ。沿道には家族そろっての応援もたくさん

 「日本から来たんだってー?」走りながらも参加者同士もおしゃべりは止まりません。そしてもてなされるレバノン料理は文句なしにおいしい! 一人旅とは違っていろいろな経験ができそう、そんなわくわくした雰囲気とともに、今回から4回シリーズでフォロー・ザ・ウーマン(中東編)をお送りします。

文・イラスト・写真 山田美緒

山田美緒山田美緒(やまだ・みお)
大阪府生まれ。サイクリストとして世界中を旅してきたほか、一般社団法人コグウェイを設立し、「四国ディスカバリーライド」などを主催。著書に、アフリカ大陸縦断記をまとめた『マンゴーと丸坊主』、女性サイクリストたちとの旅や交流の体験記『満点バイク』がある。ブログURL(http://mantem.exblog.jp/)

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