じてつう物語<14>自宅も職場も駅チカだけど、それでも自転車のほうが速い! 片山雄司さん

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 機械メーカーにサービスエンジニアとして勤務する片山雄司さん(34)は、神奈川県相模原市在住。JR横浜線・相模原駅の徒歩圏内にある自宅から、小田急線・相武台前駅の近くにある職場まで、ほぼ毎日自転車通勤をしている。大学生の頃からスポーツ自転車を楽しんできた片山さんが通勤で愛用しているのは、シクロスロス用の自転車だ。

片山雄司さん片山雄司さん

駅近暮らしでもなお「自転車のほうが速い」

 自宅も勤務先も、鉄道の駅からそう離れていない片山さんだが、通勤手段は、朝から雨でも降っていない限りは自転車だ。駅から近く、電車の本数が少ないわけでもないのに自転車通勤を選択するいちばんの理由は、自転車のほうが速いから。

 「JR横浜線の相模原駅から小田急線の相武台前駅までは、途中の町田駅で乗り換えがあるし、ルートとしては遠回り。それよりも、自転車でまっすぐ行ってしまったほうが速いんです」

 片山さんの通勤距離は、片道11.5km。時間にして30分だという。一方、相模原駅から相武台前駅まで電車に乗ると、30〜35分程度。つまり片山さんの場合、ドア・ツー・ドアなら確かに自転車のほうが速いのだ。「ラッシュ時の電車は混んでいますし、乗り換えの接続が悪いときは余計に時間がかかってしまいます。とくに、退社時間が少し遅くなったときなどは接続が悪いので、自転車のほうがいいですね」と片山さんは話す。

 通勤ルートは、県道507号線がメイン。これを使うと、相模原駅周辺から相武台前駅周辺まで、ほぼ直線で移動することができる。朝の出社時は、まっすぐに会社へと向かう。「朝のラッシュ時はクルマが連なっているので、クルマの動きにはとくに気を配っています。もちろんクルマだけではなく、逆走してくる自転車もいるので、気は抜けません。幸い、今までのところは通勤途中に事故に遭ったことはありません」と片山さん。

ペダルはMTB用ペダルはMTB用
700×32Cのシクロクロス用タイヤ700×32Cのシクロクロス用タイヤ
ピコリバイシクルの着物バーテープを愛用ピコリバイシクルの着物バーテープを愛用

 帰り道は「たまに寄り道をする程度」だが、それが楽しいとも言う。

 「ちょっと寄り道をするのが、良い気分転換になるんですよね。先日も、いつも走る道とは違うルートで帰り、途中にある道保川公園という公園に寄ったんです。道保川公園では、夏になると園内の沢でホタルを見ることができます。最初は、ホタルがいるといってもポツポツといるくらいだろう…と思っていたのですが、実際に行ってみると、常に数十匹のホタルが飛んでいました。ホタルがあちらこちらで光っては消え、光っては消え、とても幻想的な風景でした」

 また、片山さんはときどきレースにも参加しているので、レース前の時期は、帰宅時に「尾根幹線」まで足を伸ばして距離を稼ぐこともあるという。

ユニフォームに着替える前に汗を拭う

通勤時はラフな服装。職場ではユニフォームに着替える。通勤時はラフな服装。職場ではユニフォームに着替える。

 自転車通勤は、もちろん会社公認。ただし、もともとはそれほど長い距離を自転車通勤することは想定に入っていなかったようで、自転車通勤者に支払われる通勤手当は月に500円だけ。朝から雨で電車通勤をするときの交通費は、自己負担になっている。もっとも片山さんの場合は、朝から雨が降っていない限りは、基本的には毎日自転車で通勤してしまうし、帰りに雨に降られても困らないような装備は、カバンの中に忍ばせてある。

 また、仕事柄、始業前に着替えることができるのは大きい。片山さんは「会社のユニフォームを着て、クルマでお客様のところを巡回しながらの仕事なんです。だから、着替えるときにタオルで汗を拭くことができるのはいいですね」と言う。

 ちなみに、通勤のときの服装はカジュアル目でラフなものが中心。寒い真冬には長袖のジャージを着たり、冬用のサイクリングタイツを履いたりハーフパンツを重ね着したりすることもあるという。

 電車より自転車のほうが速い、始業前に着替えることができる、気分転換になる……そんな条件が揃っていることもあり、片山さんは今の会社に入社した2年目以降、7年に渡って自転車通勤を続けている。

通勤には路面を選ばないシクロクロス車を使用

ロードレースにも参加する片山さん(片山さん提供)ロードレースにも参加する片山さん(片山さん本人提供)

 大学生の頃、以前から出入りしていた自転車店で知り合った人にMTBを譲ってもらったのが、片山さんにとって最初のスポーツ自転車だった。その後、ロードバイクにも乗るようになり、オンロードもオフロードも思う存分楽しんできた。そして、社会人になってから出会ったのがシクロクロス車。

 「MTB仲間のひとりがシクロクロス車に乗っていたんです。最初は、こんな自転車で本当にオフロードが走れるのか……と思いましたが、実際にその人の走りを見ると、速さにびっくり。自分もシクロクロス車を買って、競技にも出るようになりました。といっても、自分の中では競技志向というわけではなくて、オンロードもオフロードも走れる自転車としてシクロクロス車を楽しんでいました」

 そして今では、自転車通勤にもシクロクロス車を愛用している。

 「通勤で乗る自転車にビンディングペダルを付けるとしたら、歩きやすいSPD。そしてSPDペダルを付けるのであれば、ロードバイクよりはシクロクロス車のほうがいいだろうと思いました。また、太いタイヤなので走る道を気にしないでどんな路面でもいけるのがメリットですね。そして、“雑に”と言ったらおかしいかもしれませんが、ロードバイクに比べれば、ある程度ラフに扱えるのもシクロクロス車ならではです。

自転車レーンが増えて路上駐車が減れば…

自転車通勤、ロードレース、シクロクロス、そしてMTBライドと、幅広く自転車を楽しんでいる(片山さん提供)自転車通勤、ロードレース、シクロクロス、そしてMTBライドと、幅広く自転車を楽しんでいる(片山さん提供)

 お客さんの会社を回る際の交通手段はクルマ。だから、クルマの運転が勤務時間に占める割合もそれなりにある。自転車乗りとしてだけでなく、ふだんハンドルを握っていて、自転車に対して思うことがないか、聞いてみた。

 「クルマを運転していても、ここ数年で本当に自転車が増えたと思います。とくに東日本大震災がきっかけで自転車で通勤する人が増えたのではないでしょうか。個人的には、シティサイクルに乗っている高校生などに、逆走や夜間の無灯火が多くて怖いと感じます。ヘルメットをかぶってスポーツサイクルに乗っている人は、ちゃんと意識を持って乗っているのではないでしょうか。ただ、最近はシティサイクルの延長でロードバイクに乗っている人もいて、危ないなと思うこともありますが」

 片山さんが今望んでいるのは、自転車レーンの充実だ。

 「自転車レーンがもっと増えて、自転車が走りやすい道路が増えるといいですね。そして、路上駐車がなくなるのがいちばんいい。私が仕事で出かける先々の会社にはちゃんと駐車場があるので、路上駐車をするということはありません」

 片山さんと会うために、筆者が自転車で相模原駅まで向かっていると、駅前の通りで、青くペイントされた自転車専用通行帯が設置されているのに出くわした。確かに専用通行帯があれば走りやすい。一方、片山さんと駅前を歩いていると、歩道に自転車が通行する部分が指定されているところにも出くわした。思わず自転車通勤したくなってしまうような快適な自転車通勤の実現には、まだまだ時間がかかりそうだ。

勤務先:神奈川県座間市
ルート:相模原駅付近〜相武台前駅付近、往復22km
頻度:毎日
使用している自転車:キャノンデールのシクロクロス車
心がけていること:周囲のクルマの動きに注意する

TEXT&PHOTO BY Gen SUGAI

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