ツール・ド・フランス2013 第13ステージ激しい横風攻防戦 カヴェンディッシュが2勝目 フルームとバルベルデがタイムを失う

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 ツール・ド・フランスは12日、第13ステージが行われ、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)が小集団でのゴールスプリントを制して今大会2勝目を挙げた。マイヨジョーヌはクリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング)が守ったが、横風で集団が分かれたことで、ライバルに対しタイムを失う苦しい戦いとなった。

今大会2勝目を挙げたマーク・カヴェンディッシュ今大会2勝目を挙げたマーク・カヴェンディッシュ

 この日はトゥールからサンタマン・モンロンに至る173kmで、フランスの中央部を、ほぼまっすぐに南西方向に走るコース。プロフィールは4級山岳が1つあるだけの、スプリンターのための平坦ステージだ。翌日以降の山岳ステージを前に、総合争いは小休止の1日かとも思われたが、激しい横風の中での攻防で、総合狙いの選手たちにとっても大きな意味を持つ1日になってしまった。

 レースはスタート直後から6人の逃げが決まり、これをオメガファルマ・クイックステップ、アルゴス・シマノ、ロット・ベリソルの、おなじみスプリンター3強チームがメーン集団で追うという、いつも通りの「スプリントステージ的展開」で始まった。しかしこの日の逃げは大差が容認されず、集団は逃げとの差を3分台に抑えた状態でレースを進めた。

風の中の戦いに火をつけたステーヒマンスのアタック風の中の戦いに火をつけたステーヒマンスのアタック

 60km地点を過ぎるころ、メーン集団で異変が起こる。序盤から集団先頭付近に人数を集めていたオメガファルマ勢が、横風区間で一気にペースを上げたのだ。前日、完璧なチームプレーを行いながらも、最後のスプリントでカヴェンディッシュがマルセル・キッテル(ドイツ、チーム アルゴス・シマノ)に敗れたオメガファルマ。この日はスプリントより前にキッテルを振り落とす作戦か。

 ここで目論見通りにキッテルが後方集団に取り残されたため、オメガファルマ勢はさらにスピードアップ。追走する後方集団との差を少しずつ広げながら、そして先頭の逃げ集団との差をあっという間に詰めて吸収してしまった。

 先頭メーン集団と追走集団の綱引きが続く中、メーン集団で走っていた総合2位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)がパンクでストップしてしまう。すぐにチームメートから車輪を受け取って再スタートを切るが、メーン集団が時速60km超で逃げ続ける中、モビスターのアシスト選手総出で追走するも、なかなか追い付くに至らない。

終始トップグループに位置したカヴェンディッシュ終始トップグループに位置したカヴェンディッシュ

 バルベルデ達は何とか差を約10秒にまで詰めたが、ここで総合3位のバウケ・モレマ(オランダ)を擁するベルキン プロサイクリングチームが、メーン集団のペースアップに加わり、バルベルデを突き放しに掛かった。強風の平坦ステージを得意とするオランダのチームが牽引に加わったことで、バルベルデとの差は再び開き始めてしまう。アシストが次々力つきたモビスター勢は、後続のキッテルらの集団との合流を余儀なくされてしまった。

 この後しばらくは先頭集団のオメガファルマ、ベルキンと、後続のアルゴス、モビスターとの我慢比べが続く。その最中にも、山岳賞のピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー)がまた、パンクで先頭集団から後方集団へと遅れてしまう。ほぼ同じ方向に進み続けるこの日のコース。変わらず吹き続ける横風の中、先頭集団は徐々にその人数を減らしながらも、そのペースを緩めない。

 残り30kmを目前に、新たな展開を持ち込んだのが、チーム サクソ・ティンコフだ。ここまでのレースをほぼ静観していたサクソ・ティンコフだが、突如、選手を集団先頭に固めて大きくペースアップした。混乱した集団のほぼ先頭付近での中切れが起き、マイヨジョーヌを着るフルームも後ろに残されてしまう。

 先頭集団はわずか14人。もちろんアルベルト・コンタドール(スペイン、チーム サクソ・ティンコフ)は入っており、さらにはベルキンのモレマ、そしてカヴェンディッシュ、ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール プロサイクリング)もここに入った。逃げ切る動機のあるチームがサクソ・ティンコフ以外にも揃ったことで、この先頭グループはより強力なものとなった。

コンタドールを守りながら高速で走り続けるサクソ・ティンコフコンタドールを守りながら高速で走り続けるサクソ・ティンコフ

 追走集団はスカイのアシスト選手らが必死に追いかけるものの、その差は少しずつ開いてしまう。この日スプリント勝負を狙うはずだったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)もこの集団だ。

 残り5kmを切って差は1分にまで開き、逃げ切りが確実となっても、コンタドールはフルームに1秒でも多く差を付けるため、チームメートに檄を飛ばし、自らもペースアップに加わる。ゴールを狙うのはカヴェンディッシュとサガンだが、スプリンターチームが主導権を握ったのは、残り1kmを前にしてからだった。オメガファルマが2人のアシスト選手、ニキ・テルプストラ(オランダ)とシルヴァン・シャヴァネル(フランス)で次々に攻撃すると、最後は満を持して飛び出したカヴェンディッシュが、サガンを全く寄せ付けないスプリントを見せた。前日の悔しさを晴らす完勝で、ツール通算25勝目を飾った。

出走が心配された新城幸也だが、元気に完走した出走が心配された新城幸也だが、元気に完走した

 フルームの集団は1分9秒差でゴール。マイヨジョーヌは守ったものの、モレマとコンタドールに差を詰められ、さらにアシスト選手も大きく消耗させられるステージとなってしまった。

 そしてバルベルデに至っては9分54秒遅れ。第11ステージの個人タイムトライアルを終えて総合2位で、自身初のツール表彰台が見えていたが、不運なタイミングでのパンクから、一気にそのチャンスを失ってしまった。新城幸也(チーム ヨーロッパカー)はバルベルデらと同じ集団、ステージ106位でゴールしている。

 続く第14ステージは途中に山岳ポイントが、3級・4級のみながら、計7回も登場するコース。この翌日のモン・ヴァントゥー山頂ゴールを見据えた総合勢の駆け引きの中、総合圏外の選手が大逃げを成功させる可能性も高いステージだ。

(文 米山一輝/写真 砂田弓弦)

第13ステージ結果
1 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ) 3時間40分8秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール プロサイクリング) +0秒
3 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +0秒
4 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +0秒
5 ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファルマ・クイックステップ) +0秒
6 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、チーム サクソ・ティンコフ) +0秒
7 アルベルト・コンタドール(スペイン、チーム サクソ・ティンコフ) +0秒
8 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +0秒
9 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファルマ・クイックステップ) +6秒
10 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チーム サクソ・ティンコフ) +9秒
106 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +9分54秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング) 51時間30秒
2 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +2分28秒
3 アルベルト・コンタドール(スペイン、チーム サクソ・ティンコフ) +2分45秒
4 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、チーム サクソ・ティンコフ) +2分48秒
5 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +3分1秒
6 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +4分39秒
7 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +4分44秒
8 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +5分18秒
9 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル ラモンディアル ) +5分39秒
10 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム) +5分48秒
84 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +1時間8分16秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール プロサイクリング) 357 pts
2 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ) 273 pts
3 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 217 pts
4 マルセル・キッテル(ドイツ、チーム アルゴス・シマノ) 177 pts
5 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、カチューシャ チーム) 157 pts
6 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ヴァカンソレイユ・DCM) 110 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) 50 pts
2 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング) 33 pts
3 リッチー・ポート(オーストラリア、スカイ プロサイクリング) 28 pts
4 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 26 pts
5 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) 21 pts
6 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 20 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) 51時間5分14秒
2 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +34秒
3 アンドルー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +8分27秒

チーム総合
1 チーム サクソ・ティンコフ 152時間22分21秒
2 ベルキン プロサイクリングチーム +2分32秒
3 アージェードゥーゼル ラモンディアル +10分37秒

敢闘賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)

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