エウスカルテルチーム インサイドリポート<5>確率20%の壁

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 6月30日、ベルギー・リエージュでのグランデパール(ツールの開幕)を9人で出発したエウスカルテルチームの選手たち。落車棄権が相次ぎ、現時点で5人で走ることになってしまうとは、誰もが想像出来なかった。エース不在のなか、選手やスタッフのモチベーションをあげるべく、レース監督は日々采配を模索していた。

通常はチームバスのなかで行われるミーティング。 この日(第13ステージ)はホテルの部屋で開かれた通常はチームバスの中で行うミーティング。 この日(7月14日)はホテルの部屋で開かれた
スタート前。それぞれ準備に余念がないスタート前。それぞれ準備に余念がない

 毎朝スタート前にチームバスの中でミーティングがある。作戦会議だ。バスの外の喧噪とは打って変わって、レース監督の穏やかに話す一言一句に選手達は静かに耳を傾ける。

 今年のツール最長となる226kmの第12ステージ。エゴイ・マルチネスが得意の上り坂で逃げに乗った。ここ数日、いつものようにエウスカルテルの選手は日替わりで逃げグループに乗っていたが、残念ながら実ることはなかった。しかしながら、この日は5人の選手が集団に大差をつけ、ゴール前の勝負に挑んだ。

 勝利の確率は20%。『なんとか一矢報いることができれば』そう思いながら、ファインダー越しに見る選手の陰。2人の選手が先頭を争っているが、残念ながらオレンジ色のジャージではなかった。引き離されながらも、必死にペダルを踏み続けるマルチネス。なんとか3位でゴールラインを通過した。

第12ステージで惜しくも3位となったマルチネス第12ステージで惜しくも3位となったマルチネス

 ホテルに戻り、惜敗したマルチネスに短く声をかけた。彼は笑顔で「疲れた!」と返した。結果は結果。最長ステージで勝負に挑んだ采配に、全力で戦った選手。チームに活気が戻ってきたのは言うまでもない。

写真・文 和田やずか
 

和田やずか和田やずか(わだ・やずか)
1997年よりフリーランスで写真を撮り始め、一般誌や広告などのほか、自転車関係の写真を多く手がける。ツール・ド・フランス出場のプロチーム「エウスカルテル・エウスカディ」(スペイン)に帯同するのは今年で5回目で、チームメイトから呼ばれるニックネームは「フレッチャ」。レース以外に選手が見せる表情や舞台裏などを写す。

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エウスカルテルチーム インサイドリポート ツール・ド・フランス2012

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