ツール・ド・フランス2012 第14ステージLLサンチェスが逃げ切り勝利 路面に画鋲…メイン集団はパンク続発

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 ツール・ド・フランス第14ステージは7月15日、リムー~フォワの191kmで争われた。レースの舞台は、いよいよピレネー山脈に入った。マイヨ・ジョーヌのブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)に対して、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)等ライバル勢がどのように仕掛けるか注目されたステージだったが、思わぬ敵に水をさされた。

スタート近くにあるヴィラージュでの選手スタート近くにあるヴィラージュでの選手
スタート地点上空で繰り広げられたアクロバット飛行隊の演技スタート地点上空で繰り広げられたアクロバット飛行隊の演技
スポーツ大臣と国民議会議長が新城幸也を激励スポーツ大臣と国民議会議長が新城幸也を激励
エスケープグループ。先頭はカザールとゴティエエスケープグループ。先頭はカザールとゴティエ
ローランのパンクに、チームメイトのヴォクレールが後輪を差し出すローランのパンクに、チームメイトのヴォクレールが後輪を差し出す

 ピレネー初日の難関ステージ。前半に2級山岳がひとつ。後半にはポール・ド・レルスと、「壁」と称されるミュール・ド・ペゲールという2つの1級山岳がある。このステージで、2級山岳を越えた後に、3人の逃げ集団が形成された。

 セルジオ・パウリーニョ(ポルトガル、チーム サクソバンク・ティンコフバンク)、スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、ラボバンク サイクリングチーム)、そしてなんとポイント賞トップのペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)。スプリンターと目されるサガンが山岳ステージで逃げる、意外な展開となった。

 さらに、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)、サンディ・カザール(フランス、エフデジ・ビッグマット)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク サイクリングチーム)等を含む8人が追走し、やがて11人の逃げ集団が形成された。この11人はメーン集団から容認されるかたちとなり、残り120kmで10分のタイム差が付いた。

 残り92km地点の中間スプリント地点を先頭で通過したのはサガン。ポイント賞争いのライバルは皆、後方のメイン集団の中だ。

 11人の逃げはそのまま最初の1級山岳、ポール・ド・レルスに突入。サガンもしっかり食らいついている。山頂はパウリーニョがトップで通過した。メーン集団では大きな動きが無く、スカイのコントロールのもとで淡々と進んでいく。

 ほどなくやってくる2つめの1級山岳、ミュール・ド・ペゲールにさしかかると、さすがに逃げている先頭集団が分解しはじめる。しかし、サガンが粘る。いったんは千切れたかのように見えたが、自分のペースで登り続けたサガンは、山頂をトップ通過したカザールからわずかの遅れで3位通過。その後の下りで、先頭集団はカザール、サガン、ジルベール、サンチェス、そしてゴルカ・イサギレ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)の5人にまとまる。

ポンポンガールの歓迎を受けるエスケープグループポンポンガールの歓迎を受けるエスケープグループ
高原を行くプロトン高原を行くプロトン

 一方、大きな動きもなく、ウィギンスを先頭にミュール・ド・ペゲールの山頂を無事に通過したかにみえたメイン集団で事件が起きた。エヴァンスがパンクしたのだ。チームスタッフはホイールを持っていない。チームカーも近くにいない。集団内を少し遅れて登ってきたスティーヴン・カミングス(イギリス、BMCレーシングチーム)からホイールを借りようとするが、なんとカミングスもパンクしている。結局2分以上タイムロスし、ようやくチームメートからホイールを借りて下り出す。

 それどころか、山頂付近やその先で、続々と選手が立ち止まったり、手を挙げてチームカーを呼んだりしてホイールを要求している。メイン集団の選手の中でパンクが続発していた。エヴァンスもさらに後輪を替え、さらには前輪も替える。ロベルト・キセロウスキー(クロアチア、アスタナ プロチーム)は落車で鎖骨を折ってリタイア。ウィギンスもチームカーを呼んでバイクごと交換した。パンク多発の原因について、路面に画鋲が撒かれていたとの情報が入る。

 エヴァンスが遅れをとったことで、メーン集団をコントロールするスカイは「後続の集団を待つ」という選択をとった。いわゆる紳士協定だ。ところが、状況が飲み込めていないピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー)が下りでアタックしてしまう。エヴァンスたちの集団は、BMCレーシングチームのアシスト陣が固まってエヴァンスをメイン集団に連れ戻そうとしている。そしてエヴァンスたちがある程度近づいてきたところで、メイン集団はロット・ベリソルが牽き、ローランを捕まえにいく。

スカイ勢に守られて走るブラッドリー・ウィギンススカイ勢に守られて走るブラッドリー・ウィギンス
最後の上りでエキサイトした観客最後の上りでエキサイトした観客

 先頭集団では、残り11kmでサンチェスが絶妙のアタック。誰も追うことができず、どんどん差を広げていく。サンチェスは第1ステージで落車し骨折しており、所属チームのラボバンクもすでに5人のリタイア選手を出して残りの4人で戦っている。ボバンクだが、ここでようやく報われるときがきた。ギブスも取れた腕を空に突き上げ、サンチェスがステージ優勝を果たす。

ステージ優勝を飾ったルイスレオン・サンチェスステージ優勝を飾ったルイスレオン・サンチェス

 47秒遅れでやってきた後続の4人では、サガンが先頭でゴールしてステージ2位に入り、さらにポイントを積み重ねた。そしてメイン集団はようやくローランを捉え、エヴァンスたちも合流。そこからはゆっくりとしたペースで進み、ほぼノーコンテスト状態のまま、サンチェスから18分以上遅れて集団ゴールした。総合上位に変動は無い。

第14ステージ結果
1 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク サイクリングチーム) 4時間50分29秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) +47秒
3 サンディ・カザール(フランス、エフデジ・ビッグマット) +47秒
4 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) +47秒
5 ゴルカ・イサギレ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) +47秒
6 セルジオ・パウリーニョ(ポルトガル、チーム サクソバンク・ティンコフバンク) +2分51秒
7 セバスティアン・ミナール(フランス、アージェードゥーゼル ラモンディアル) +2分51秒
8 マルティン・ヴェリトス(スロバキア、オメガファルマ・クイックステップ) +3分49秒
9 エドアルド・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ チーム) +4分51秒
10 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、ラボバンク サイクリングチーム) +4分53秒
126 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +28分18秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング) 64時間41分16秒
2 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング) +2分5秒
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +2分23秒
4 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +3分19秒
5 ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル チーム) +4分48秒
6 アイマル・スベルディア(スペイン、レイディオシャック・ニッサン) +6分15秒
7 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +6分57秒
8 ヤネズ・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ プロチーム) +7分30秒
9 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +8分31秒
10 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ・ビッグマット) +8分51秒
93 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +1時間47分36秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 333 pts
2 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル チーム) 236 pts
3 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 203 pts
4 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、スカイ プロサイクリング) 129 pts
5 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイ プロサイクリング) 125 pts
6 ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング) 105 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ プロチーム) 69 pts
2 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) 55 pts
3 クリスアンカー・ソレンセン(デンマーク、チーム サクソバンク・ティンコフバンク) 39 pts
4 トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 33 pts
5 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) 33 pts
6 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング) 32 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) 64時間48分13秒
2 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ・ビッグマット) +1分54秒
3 ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) +40分35秒

チーム総合
1 レイディオシャック・ニッサン 194時間16分22秒
2 スカイ プロサイクリング +12分38秒
3 BMCレーシングチーム +17分46秒

敢闘賞
ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

 

(文 須賀川健一/写真 砂田弓弦)

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