田中苑子の「愛しのツール 今年も追っかけてます」<3>まぶしい日差し、笑顔が絶えないファン 疲労がにじみ始めたツール一行はいよいよピレネーへ

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 澄み切った青空のもと、ツール・ド・フランスの一行はニースからアルビまで、地中海に沿って東から西へと、美しい南フランスの大地を移動してきた。コルシカ島でのグランデパール以来、今年のツールは本当に晴天に恵まれている。

ゴール地点で応援をしていた子どもたち。どんなに暑くてもツールの観戦が楽しいゴール地点で応援をしていた子どもたち。どんなに暑くてもツールの観戦が楽しい
横風のなか、南フランスの大地を走り抜ける横風のなか、南フランスの大地を走り抜ける

 しかし、このあたりでは、アルプス山脈から地中海に吹き下ろす地方風(ミストラル)が強く、周囲に広がるオリーブの木がビュービューと風になびき、綺麗な並木道では、どの木も海の方向に傾いている。選手たちにとって、この“風”は警戒すべきものだ。追い風となって逃げている選手を加速させたり、横風となって集団を分裂させたりと、レース展開にスパイスを与えることがよくあり、平坦ステージと言われていても、終始気を抜けないステージが続いた。

 コルシカ島での観客はやや少なかったものの、フランス本土に入って、観客たちの盛り上がりは増している。フランスらしい美しい建造物が立ち並ぶスタート地点では、世界各国から、ひいきの選手のネームカードなどをもったファンがたくさん押し寄せている。

モンペリエでのスタート地点。カナダやオーストラリア、いろいろな国の国旗が並ぶモンペリエでのスタート地点。カナダやオーストラリア、いろいろな国の国旗が並ぶ
スタート地点でプロヴァンス地方の伝統的な踊りが披露されたスタート地点でプロヴァンス地方の伝統的な踊りが披露された

 まぶしい日差しと、彼らの日に焼けた笑顔は、私にとって、ツール・ド・フランスを強く感じさせてくれるもの。ドーピング問題などのスキャンダルが続いていても、1世紀以上の時間をかけて築かれてきた、老若男女を笑顔にさせる魅力が現場にはある。

美しい街の広場にサイン台が設置されたモンペリエ美しい街の広場にサイン台が設置されたモンペリエ
モンペリエのスタートに向かう選手モンペリエのスタートに向かう選手
ゴール地点で水を飲む。暑い暑いステージが終わったゴール地点で水を飲む。暑い暑いステージが終わった

 第7ステージは、午後になるにつれてどんどんと気温が高まっていった。もう30℃をとっくに超えている。ゴールエリアで水を配るヴィッテルのテントには、「暑すぎる!」という言葉とともに、選手を待つチームのマッサーだけでなく、関係者がずらりと列をなし、それぞれに冷えた水をもらっていた。

 火傷するかと思うほど熱くなったアスファルトに膝を降ろして、カメラを構えると、マイヨヴェールを着たペーター・サガンが素晴らしいチームワークをもってして、余裕の表情でフィニッシュラインを横切っていった。

第7ステージでは、モンペリエ郊外の凱旋門をくぐり抜けた第7ステージでは、モンペリエ郊外の凱旋門をくぐり抜けた
大歓声の中第7ステージを制したペテル・サガン大歓声の中第7ステージを制したペテル・サガン

 レースが開幕し、ようやく1週間。関係者の顔からは、少し疲労の色が伺え、私の同業者たちは「やれやれ、今日も終わった…」という雰囲気。私自身も疲れていて、昨晩はこのレポートを仕上げることができず、気がついたら寝てしまっていた…(ごめんなさい!)。

山岳で遅れ、チームメイトに助けられながら、グルペットでゴールしたマーク・カヴェンディッシュ山岳で遅れ、チームメイトに助けられながら、グルペットでゴールしたマーク・カヴェンディッシュ
毎日表彰式には大勢のカメラマンが押し寄せる毎日表彰式には大勢のカメラマンが押し寄せる

 しかし、次の第8ステージはピレネーの山岳ステージに突入し、最初の山頂ゴールが待ち構えている。いよいよ総合優勝争いが始まるだろう。疲れてはいても、前半戦のクライマックスに向けて、関係者たちの気持ちは高ぶっている。

(写真・文 田中苑子)

キャラバン隊から風船を受け取った女のコキャラバン隊から風船を受け取った女のコ

田中苑子田中苑子(たなか そのこ)
1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。2008年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかなサイクルスポーツを追っかけ中。

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