田中苑子の「愛しのツール 今年も追っかけてます」<1>チームバスがゲートに突っ込んだ100回記念大会の幕開け 美しきコルシカを包む陽光と困惑

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アクロバット飛行が100回目のツール・ド・フランス開幕を祝う。最終ステージのパリでもお目見えする予定だとかアクロバット飛行が100回目のツール・ド・フランス開幕を祝う。最終ステージのパリでもお目見えする予定だとか

大会史上初 コルシカ島で開幕

たくさんのボートが停泊するポルト・ヴェッキオの港に隣接されたスタートエリアたくさんのボートが停泊するポルト・ヴェッキオの港に隣接されたスタートエリア

 ツール・ド・フランスの記念すべき100回目のグランデパールは、何かちょっと様子がおかしい……。100回の歴史の中で、まだ一度もツール・ド・フランスが立ち寄ったことがないという理由から、コルシカ島がアニバーサリー大会の幕開けとして選ばれたわけだが、独特な“島”での大会運営が、百戦錬磨の主催者やチーム関係者たちを、どこか困惑させているような印象だった。

サイン台で握手を交わす選手。穏やかな空気の中で、100回目のグランデパールの瞬間を待つサイン台で握手を交わす選手。穏やかな空気の中で、100回目のグランデパールの瞬間を待つ
フランスチャンピオンのアルテュール・ヴィショ(FDJ)がテープカットに加わるフランスチャンピオンのアルテュール・ヴィショ(FDJ)がテープカットに加わる

 

前代未聞のハプニング

 第1ステージでは、プロトンがゴールに到達する直前になってチームバスがフィニッシュゲートに突っ込むという、前代未聞のハプニングが起こってしまった。

【第1ステージ詳報】相次ぐ落車、ハプニング…大波乱の幕開け

フィニッシュ地点を通過するキャラバン隊。すべてのキャラバンがフェリーに乗って海を越えてコルシカに上陸したフィニッシュ地点を通過するキャラバン隊。すべてのキャラバンがフェリーに乗って海を越えてコルシカに上陸した

 そのとき、私はフィニッシュラインで、大柄なカメラマンたちに埋もれながらも必死に撮影場所を確保していた。スタートからフィニッシュまで、基本的に1本しか道のないコルシカ島では、レースの途中で立ち止まって撮影をすることは難しい。

 したがってこの日、フィニッシュラインに並ぶ多くのフォトグラファーたちは、スタートからここに直行(プレスセンターの駐車場からフィニッシュラインはボートに乗って、海上を移動!)していたのだ。

 「ドライブ、ドライブ、ドライブで、なんだか退屈だよね…。せっかくのコルシカ島なのに!」なんて仲間と話しをしていた矢先に、向こうからチームの大型バスがやってきて、見事にドンッ!という音を立ててフィニッシュゲートに激突。そのまま立ち往生をしてしまい、のんびりとしていた会場の雰囲気を一変させた。

フィニッシュゲートで立ち往生してしまったバスのために、会場全体が混沌とするフィニッシュゲートで立ち往生してしまったバスのために、会場全体が混沌とする

 じつは私たちメディアも、ロードブックに指定されているプレスセンターに行く道が塞がれており、コース上のバリアを無理矢理開けてもらって、駐車場まで移動していた経緯があり、「あの誘導だったら、こういうことが起こるよ!」と、どこか納得をしてしまったりもして…。

 

ビーチからレース観戦へ

 このバスの一件が落ち着きを見せると、会場の大型モニターでは、有力選手が大勢巻き込まれた大きな落車を映した。そして間もなく、問題のチームバスが立ち上げた砂埃がまだ残るなかを、ややこじんまりとした集団がフィニッシュラインへと飛び込んできた。勝者が掲げた力強いガッツポーズとともに、何はともあれ、無事にマイヨジョーヌを着るライダーが決まったことで、そこにいた関係者はホッと胸を撫で下ろした。

第1ステージの優勝候補だったペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)は、テープを顔に貼り、鼻孔を広げているよう。この日は落車に巻き込まれ遅れた第1ステージの優勝候補だったペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)は、テープを顔に貼り、鼻孔を広げているよう。この日は落車に巻き込まれ遅れた
落車に巻き込まれたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)。幸い大事には至らなかった落車に巻き込まれたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)。幸い大事には至らなかった
ポルト・ヴェッキオのスタート会場にて。本格的なバカンスシーズンには入っていないため、まだ観客は多くないものの、こじんまりとした暖かい雰囲気に包まれているポルト・ヴェッキオのスタート会場にて。本格的なバカンスシーズンには入っていないため、まだ観客は多くないものの、こじんまりとした暖かい雰囲気に包まれている

 波乱の幕開けを迎えてしまった100回目のツール・ド・フランス。しかし、どんなトラブルが起ころうと、ここは美しきコルシカ島。輝く日差しのなか、多くの観客たちがビーチから足を運んでレース観戦を楽しんでいる。コルシカ島でのステージはあと2つ…まずは、トラブルのない大会運営を切に願う大会初日の夜だった。

(写真・文 田中苑子)

フランス本土から、コルシカ島まで船でやってきたという男性。使い込まれた帽子がよく似合っていたフランス本土から、コルシカ島まで船でやってきたという男性。使い込まれた帽子がよく似合っていた

田中苑子田中苑子(たなか そのこ)
1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。2008年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかなサイクルスポーツを追っかけ中。

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