ツール・ド・フランス2012 第13ステージグライペルがスプリントを制し3勝目 フランス勢は革命記念日の勝利ならず

  • 一覧

 第13ステージは7月14日、南フランスのサンポール・トロワシャトーからルキャプ・ダグドまでの217kmで行われ、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)がゴールスプリントを制して勝利を挙げた。グライペルは第4、第5ステージに続き、これで今大会ステージ3勝目。この日はフランス革命記念日だったが、フランス人選手の勝利の夢は、ドイツ人の強豪スプリンターによって打ち砕かれた。

集団ゴールスプリントはアンドレ・グライペルがペテル・サガンを下した集団ゴールスプリントはアンドレ・グライペルがペテル・サガンを下した

 いわゆる平坦ステージであるが、ゴール手前23kmにはカテゴリー3級のモンサンクレールが設定されており、スプリンターだけでなく、ルーラーにもチャンスのあるコース設定だ。おまけに、南フランス特有のミストラル(南よりの強風)が選手達に吹き付け、決して易しいコースではない。

 レース序盤は、いつもの通りアタックの応酬となり、その中から以下の8人による逃げ集団が形成される。

ジェローム・ピノー(フランス、オメガファルマ・クイックステップ)
マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル ラモンディアル )
マチュー・ラダニュス(フランス、エフデジ・ビッグマット)
サミュエル・デュムラン(フランス、コフィディス ルクレディアンリーニュ)
ジミー・アングルヴァン(フランス、ソール・ソジャサン)
ミカエル・モルコフ(デンマーク、チーム サクソバンク・ティンコフバンク)
パブロ・ウルタスン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
ロイ・クルフェルス(オランダ、アルゴス・シマノ)

序盤に形成されたエスケープグループ序盤に形成されたエスケープグループ

 8人中、フランス人選手が5名だ。革命記念日に何としても勝とうという意気込みが伝わってくる。

 逃げ集団とメイン集団との差は、35km地点で最大9分20秒にまで広がったが、さすがに10分以上の差をメイン集団が容認しなかった。マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)に中間スプリントポイントを穫らせたいオリカ・グリーンエッジ勢が集団の先頭に立ってスピードを上げ、126.5km地点にある中間スプリントポイントにさしかかる頃には、タイム差は3分40秒にまで縮まっていた。

 中間スプリントポイントはウルタスンを先頭に8人が通過。ウルタスンは20ポイントを獲得した。9位にも7ポイントがつくため、これを狙ってオリカ・グリーンエッジ勢がマシュー・ゴス(オーストラリア)を引く。しかし、ゴスのスプリントにキレはなく、ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)とアンドレ・グライペルにかわされてしまう。

エスケープグループからミカエル・モルコフが単独アタックエスケープグループからミカエル・モルコフが単独アタック

 その後もオリカ・グリーンエッジ勢が集団を引っ張り、ゴールまで残り40kmになる頃にタイム差は2分を切る。すると、先頭の8人の中からフランスの期待を一身に背負ってジェローム・ピノーがアタック! しかしこれは決まらず、こんどはフランス人の「絶対に勝ちたい!」という思惑を上手く利用したミカエル・モルコフがアタックを成功させる。

 モルコフは約1分のリードをつけてカテゴリー3級の山・モンサンクレールに突入する。しかし、それまで単独で逃げてきたモルコフに、もう力は残ってなかった。メイン集団から飛び出したジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)、ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル チーム)らにパスされてしまう。

 まるでミラノ〜サンレモのポッジオの攻防のような激しいアタック合戦により、先頭は30人ほどに絞られる。いよいよエース達による本当の戦いの火ぶたが切って落とされた。

レース終盤にアタックしたアレクサンドル・ヴィノクロフとミヒャエル・アルバジーニレース終盤にアタックしたアレクサンドル・ヴィノクロフとミヒャエル・アルバジーニ

 まず飛び出したのはアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)とミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)だ。今大会、まったく良いところがないヴィノクロフは、ステージ優勝で「オレはまだ死んでない!」ということをアピールすべく、ラスト10kmのアーチを20秒の差をつけて通過する。

 しかし、ヴィノクロフとアルバジーニはラスト2.5kmで集団に吸収された。ここでルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)とマチュー・スプリック(フランス、アルゴス・シマノ)がカウンターアタックに出るが、こんどはスカイ プロサイクリング勢に封じ込められた。マイヨジョーヌのブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイプロサイクリング)も積極的に先頭を引く。

列車の先頭を走る新城幸也列車の先頭を走る新城幸也
レース終盤、高速で走るプロトンの中のカデル・エヴァンスレース終盤、高速で走るプロトンの中のカデル・エヴァンス

 最終局面では、ウィギンスらから解き放たれたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)がスプリントを開始。しかし、その後ろから渾身のスプリントを始めたアンドレ・グライペルとペテル・サガンが先頭に躍り出た。ゴールはグライペルがわずかに先着し、サガンとのスプリント合戦を制した。

 1985年のベルナール・イノー以来、ツールで総合優勝していないフランス勢は、「せめて革命記念日だけは勝ちたい」という思いを強く持っているが、その夢は無残に打ち砕かれた。

スプリントに参加できず、遅れてゴールしたマーク・カヴェンディッシュスプリントに参加できず、遅れてゴールしたマーク・カヴェンディッシュ
マイヨ・ジョーヌを守ったブラッドリー・ウィギンスマイヨ・ジョーヌを守ったブラッドリー・ウィギンス

第13ステージ結果
1 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル チーム) 4時間57分59秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) +0秒
3 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイ プロサイクリング) +0秒
4 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル ラモンディアル) +0秒
5 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) +0秒
6 ジュリアン・シモン(フランス、ソール・ソジャサン) +0秒
7 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM) +0秒
8 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) +0秒
9 ペーター・ ヴェリトス(スロバキア、オメガファルマ・クイックステップ) +0秒
10 ダニロ・ホンド(ドイツ、ランプレ・ISD) +0秒
48 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +1分45秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング) 59時間32分32秒
2 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング) +2分5秒
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +2分23秒
4 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +3分19秒
5 ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル チーム) +4分48秒
6 アイマル・スベルディア(スペイン、レイディオシャック・ニッサン) +6分15秒
7 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +6分57秒
8 ヤネズ・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ プロチーム) +7分30秒
9 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +8分31秒
10 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ・ビッグマット) +8分51秒
88 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +1時間37分33秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 296 pts
2 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル チーム) 232 pts
3 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 203 pts
4 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、スカイ プロサイクリング) 129 pts
5 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイ プロサイクリング) 125 pts
6 ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング) 104 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ プロチーム) 66 pts
2 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) 55 pts
3 クリスアンカー・ソレンセン(デンマーク、チーム サクソバンク・ティンコフバンク) 39 pts
4 ロベルト・キセロウスキー(クロアチア、アスタナ プロチーム) 37 pts
5 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) 33 pts
6 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング) 32 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) 59時間39分29秒
2 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ・ビッグマット) +1分54秒
3 レイン・タラマエ(エストニア、コフィディス ルクレディアンリーニュ) +41分59秒

チーム総合
1 レイディオシャック・ニッサン 178時間50分10秒
2 スカイ プロサイクリング +12分38秒
3 アスタナ プロチーム +25分19秒

敢闘賞
ミカエル・モルコフ(デンマーク、チーム サクソバンク・ティンコフバンク)

 
(文 仲沢 隆/写真 砂田弓弦)

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ツール・ド・フランス2012

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載