福光俊介の「寝落ち禁止!ツール三昧」<5>Road to Tour! “ツールド”から“ツール”への階段を上った2人の選手

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 第13ステージを終えて総合2位につけるクリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング)が、かつてツアー・オブ・ジャパン(TOJ)で活躍したことは、このコラムの第3回に書いた。ファンの間では、インターネット上に「フルームはTOJが育てた」なんてネタが飛び交うほどで、やはり日本にゆかりのある選手が活躍することは特別だと実感する。

 今年のツール出場選手で過去にTOJで活躍した選手を挙げると、ランプレ・ISDのマシュー・ロイド(第10ステージ出走前にリタイア)が2006年の伊豆ステージで勝利し、総合6位。また、同年にオメガファルマ・クイックステップのベリトス兄弟も出場し、兄のマーティンが総合8位、弟のペーターが総合9位に入っている。われらが新城幸也(ユーロップカー)も、もちろん出場していて、2006年総合15位、2007年総合14位(東京ステージで優勝)、2008年総合5位となっている。

第7ステージを制したクリストファー・フルーム第7ステージを制したクリストファー・フルーム
第4ステージで敢闘賞を獲得した新城幸也。日本人選手で史上初めてツール・ド・フランスの表彰台に上った第4ステージで敢闘賞を獲得した新城幸也

 日本のレースシーンにおいては、毎年有力チーム・選手が出場するジャパンカップの存在がかなり大きいけれど、他のレースだって負けていない。

 北海道で生まれ育ったボクにとって、国内レースといえば1987年から続いているツール・ド・北海道のイメージが強い。漠然と「自転車のレース」と認識できるようになった頃に始まった日本最大のステージレースは、当時、今中大介さんが国内敵なしの強さだった(1990、91、93年に個人総合優勝)。その数年後にミゲル・インドゥラインと同じツールのスタートラインに立ったのをテレビで観た時は、こどもながらに強く感動した。

2011年のツール・ド・フランス第9ステージで、事故に巻き込まれながら走りきって山岳賞ジャージを獲得したジョニー・ホーヘルランド。表彰台で涙を流した2011年のツール・ド・フランス第9ステージで、事故に巻き込まれながら走りきって山岳賞ジャージを獲得したジョニー・ホーヘルランド。表彰台で涙を流した

 そんな、北の大地を舞台に繰り広げられる熱き戦いを知る2人の選手が、今年のツールにも出場している。1人は、きっとパッと思い浮かぶはず。そう、ユキヤ。もう1人はジョニー・ホーヘルランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)である。

 2008年大会でともに走っている2人。ユキヤは「梅丹本舗・グラファイトデザイン」から、ホーヘルランドはオランダのコンチネンタルチーム「ファン・フリエ・EBH・エルショフ」から参戦。2人のリザルトは以下の通り。
 
 
第1ステージ ホーヘルランド6位、新城10位
第2ステージ ホーヘルランド16位、新城19位
第3ステージ 新城2位、ホーヘルランド13位
第4ステージ ホーヘルランド6位、新城26位
第5ステージ 新城13位、ホーヘルランド51位
第6ステージ ホーヘルランド2位、新城16位
総合 ホーヘルランド6位、新城13位
 
この時の2人はアシストとして走っている。そして、ともにこのシーズン終了後にプロチームとの契約を勝ち取った。

第10ステージで力走する新城幸也第10ステージで力走する新城幸也
2011年のツール・ド・フランス第17ステージを疾走するジョニー・ホーヘルランド2011年のツール・ド・フランス第17ステージを疾走するジョニー・ホーヘルランド

 翌年にはセンセーショナルなツールデビューを飾ったユキヤに対して、ホーヘルランドはツール出場までに2年以上を要した。とはいえ、2009年ブエルタで総合12位を筆頭に、西フランドル一周総合優勝、ジロ・デ・ロンバルディア5位、世界選手権14位などの結果を残している。レース結果や歩んだ道筋は違えど、プロとしてデビューイヤーから高評価を得て現在にいたっているのは共通している点だ。

 ボクにとってのツール・ド・北海道は、ヨーロッパのビッグレースに匹敵するくらい熱の入るレース。それを経験した選手がツールという世界最大の大会に臨むとあれば、やはりその選手を応援しないわけにはいかないのである。今大会では、ユキヤの活躍は既知の通り。まだあまり目立っていないホーヘルランドにも、そろそろ逃げを決めてほしいところだ。

 北海道では何故かツール・ド・フランスやツール・ド・北海道のことを“ツールド”と呼ぶ人が多いのだけれど、そんな“ツールド”から“ツール”への階段を駆け上がる選手が再び出てきてほしいと願っている。

 その時が来たら、「○○は“ツールド”が育てた!」と高らかに宣言するつもりだ!

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

(写真 砂田弓弦)

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