現地レポート・台湾サイクリング事情<2>標高0→3275m、距離105kmのヒルクライム「台湾KOMチャレンジ」11月開催 日本からの挑戦者募る!

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 日本各地で自転車のヒルクライム大会が盛り上がっているが、アジアの自転車大国・台湾では、距離105km、ゴール地点の標高が3275mとけた違いに過酷なヒルクライム大会「台湾KOMチャレンジ」が毎年開催されている。今年は11月9日に予定されているこの壮大なイベントのコースを、記者は地元のロードレース選手やサイクリングチームの方々の案内で視察し、一部で試走にも挑戦した。厳しく、そして風光明媚なコースの様子を紹介する。

翠峰山頂・武嶺から、上ってきた道を眺める=台湾翠峰山頂・武嶺から、上ってきた道を眺める=台湾

地元チームのライダーたちが“壁”に向かって走行

 台湾KOMチャレンジの舞台となるのは、台湾の北東部に位置する太魯閣(たろこ)国立公園。南北約38km、東西約41kmの広大な公園内を貫くコースからは、大理石の岩壁と、その間を流れる渓流が美しい太魯閣渓谷や、3000m級の山々が連なるアルプスのような景観を望むことができる。

「台湾KOM チャレンジ」コースマップ「台湾KOM チャレンジ」コースマップ

 スタート地点となる台湾東部の都市・花蓮から、太魯閣渓谷の方角を眺めようとすると、海岸線からそびえるような急峻な山々が目に飛び込んでくる。まるで緑の巨大な“壁”だ。

 ただ、スタートから16kmほどは勾配がほとんどなくフラットなパレード走行区間。厳しい山岳地帯を横目にウォーミングアップ、といった感じだ。太魯閣大橋を渡った16.2km地点で、アクチュアルスタートがきられる。ダイナミックな鉄骨のアーチの間を選手が走り抜けてくる風景は壮観だという。今回の試走では、地元のライダーたちが、ここ太魯閣大橋で猛烈な“スタートダッシュ”を演じてくれた。

太魯閣大橋を走る選手(台湾サイクリスト協会提供)太魯閣大橋を走る選手(台湾サイクリスト協会提供)

 本格的なヒルクライムが始まる国立公園の入口になると、地元ライダーたちとはお別れ。夫の陳則霖さんと共に参加していた唯一の女性ライダー、李雅利さんは、「夫によく連れ回されて走っています。ヒルクライムは得意じゃなくて」と笑い、夫婦で仲良くポーズをとってくれた。

台湾・花蓮市の自転車チームのライダーと記念撮影台湾・花蓮市の自転車チームのライダーと記念撮影
夫婦で自転車を楽しむ陳さん(右)と李さん夫婦で自転車を楽しむ陳さん(右)と李さん

2人のライダーとフラペで試走

 国立公園エリアに入ると、景色はガラリと変わる。大理石の絶壁に囲まれた山岳コースは、風景としては美しいものの威圧感満点。それまでの椰子の木が広がるほのぼのとした雰囲気は彼方へ追いやられ、標高差3000m超を上り続ける孤高の戦いを予感させる。

大理石の岩壁の間をぬうコース(台湾サイクリスト協会提供)大理石の岩壁の間をぬうコース(台湾サイクリスト協会提供)

 道幅は基本的に対向2車線、部分的に狭くなる箇所であっても路面はよく整備されている。途中、岩壁が崩壊して修繕中の箇所があったが、大会前には工事が完了する予定だ。

 今回の視察取材では、前回大会の王者・王胤之選手と、大会顧問を務めるリー・ロジャースさんという2人のベテランサイクリストがコースを実際に走行。そして取材陣にも一部を試走する機会が設けられ、Cyclist記者はコース上の3.4kmほどを王さん、ロジャースさんとともに走行した。

太魯閣渓谷を流れる渓流は大理石の成分により白濁している太魯閣渓谷を流れる渓流は大理石の成分により白濁している
2012年のキングオブマウンテン王選手(右)と大会顧問のRodgersさんとともに走行する記者2012年のキングオブマウンテン王選手(右)と大会顧問のRodgersさんとともに走行する記者
武者震い中の「Cyclist」記者武者震い中の「Cyclist」記者

 不意に訪れた試走のチャンス。平均勾配2.6%という“安心エリア”ではあるものの、借り物の自転車にフラットペダルで山岳を走り始めるのは不安だった。「高山での酸欠は大丈夫か?」と自問しつつ、スタート。

 しかし王選手やロジャースさんに連れられてテンポよくペダルを回すと、あっという間に予定の区間を走り終えた。後から聞けば、記者が走った区間はスタート地点から30km余りという序盤のエリア。標高390m地点の慈母橋から480m地点の休憩所までで、高山病など起こるはずがなく、獲得標高は100mにも満たなかった…。

世界中からチャレンジ

山頂の記念碑の前に並ぶ2012年のキングオブマウンテン王選手(右)と大会顧問のRodgersさん山頂の記念碑の前に並ぶ2012年のキングオブマウンテン王選手(右)と大会顧問のRodgersさん

 そこから再びクルマで視察。コース中盤を迎えると上り坂が険しさを増し、さらにゴールまで10kmを切ると、勾配27.3%の壁をはじめとする“レッドゾーン”へ突入する。かつて参戦したプロ選手が蛇行したという話もうなずける。

 ゴール地点の翠峰山頂・武嶺は、ひんやりとした空気に包まれ、鳥の鳴き声が響く。見渡す景色は、亜熱帯地域に位置する台湾でありながら、ヨーロッパアルプスを思わせる。スタートからゴールまで、2012年のトップ選手の記録は3時間20分だったという。

「台湾KOM チャレンジ」の山岳プロフィール「台湾KOM チャレンジ」の山岳プロフィール
ゴール近くは雲から覗く山々を眼下に見下ろす(台湾サイクリスト協会提供)ゴール近くは雲から覗く山々を眼下に見下ろす(台湾サイクリスト協会提供)
2011年に参戦した福島晋一(台湾サイクリスト協会提供)2011年に参戦した福島晋一(台湾サイクリスト協会提供)

 台湾KOMチャレンジにはこれまで、有名な日本人選手も多数参戦してきた。「太魯閣国際ヒルクライム」の名称で開かれていた2010年には新城幸也選手が参戦。また、翌2011年には宮澤崇史選手や福島晋一選手が出場した。

 今年の台湾KOMチャレンジも、世界中から500人のヒルクライマーを募る。応募には、これまでのヒルクライム大会における出場経験の記載が求められるが、国外からの参加枠を特別に設けているので「積極的にエントリーしてほしい」(大会主催者)という。日本からは、旅行社によるパッケージツアーも企画中。日本語を含む大会ウェブサイトは7月中に公開予定という。

◇      ◇

 台湾KOMチャレンジは、台湾全土で11月9日から17日にかけて開催される「2013 台湾自転車フェスティバル」のメインイベントのひとつ。そのほかのイベントには、台湾中部の湖畔のリゾート地をサイクリングする「日月潭 ComeBike Day」やチームリレー方式で台湾を9日間かけて一周する「フォルモサ900」がある。

■問い合わせ先
台湾観光協会 東京事務所
03-3501-3591



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