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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<17>ツール・ド・フランス開幕目前! 主役は誰だ、序盤ステージのみどころは? 熱き戦いの総展望

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 6月29日に開幕するツール・ド・フランスが、いよいよ間近に迫ってきました! 1年で最も自転車熱が高まる、熱き3週間の戦い。新城幸也(チーム ヨーロッパカー)の出場も決定しました。これからしばらく昼夜逆転生活になるだけに、今のうちに体調を整えておきましょう(笑)。今回は、選手を中心にツール直前展望といきましょう。

フルーム、コンタドール、カヴェンディッシュ…ツールの主役候補は彼らだ!

 まず総合優勝争い、マイヨ・ジョーヌ候補から。中でも、クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング)とアルベルト・コンタドール(スペイン、チーム サクソ・ティンコフ)の力が抜けていると言えそうだ。フルームは今シーズン、ステージレースではほぼ無敵の走り。一方のコンタドールは、アレルギーの影響もあり総合優勝ゼロ。ここのところ苦戦続きのTTがカギとなりそう。ともにチーム力にも優れ、第4ステージのチームTTを重視する。山岳ではチーム サクソ・ティンコフのアシストが強力だが、スカイにもリッチー・ポート(オーストラリア)が最終兵器として控える。

クリストファー・フルーム(ツール・ド・フランス2012)クリストファー・フルーム(ツール・ド・フランス2012)
アルベルト・コンタドール(ブエルタ・ア・エスパーニャ2012)アルベルト・コンタドール(ブエルタ・ア・エスパーニャ2012)

 複数のエースを揃えるモビスター チームは、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)の総合表彰台が目標。個人TTでタイムを失う可能性があるが、山岳ステージでは確実に上位で走るだろう。若いナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア)、ツール・ド・スイス総合2連覇のルイ・コスタ(ポルトガル)も勝負できる位置にいる。チームが得意とするチームTTにも注目。

ゴール前に競り合うホアキン・ロドリゲス(左)とダニエル・マーティン(リエージュ~バストーニュ~リエージュ2013)ゴール前に競り合うホアキン・ロドリゲス(左)とダニエル・マーティン(リエージュ~バストーニュ~リエージュ2013)

 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム)は待望のツール出場となる。ただ、必勝パターンの“激坂アタック”をみせるには、緩い上りが多く、そのあたりの課題をどんな戦術で乗り越えるか。こちらもダニエル・モレノ(スペイン)とダブルエース体制だ。

 ジロ・デ・イタリアを不本意なリタイアで終えたライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)は、ツール・ド・スイスで落車した後の回復次第か。得意とするコースレイアウトが多いだけに、ダニエル・マーティン(アイルランド)とのコンビで勝負したい。

 ここへ来て調子が上向きなのは、ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)とバウケ・モレマ(オランダ、チーム ベルキン)。それぞれ、ドーフィネ総合4位、スイス総合2位と結果を残している。フグルサングは安定感、モレマは山岳でのパンチ力が武器だ。

ジロ・デ・イタリア2013で総合3位のカデル・エヴァンスジロ・デ・イタリア2013で総合3位のカデル・エヴァンス

 そして、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)を忘れてはならない。ジロでは完全復活を印象づける総合3位。それ以来のレースとなるが、再び強さを見せられるか。マイヨ・ブラン2連覇がかかるティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ)は、いつでもエヴァンスの代わりに戦える立場にある。

 もちろん、総合系ライダーはまだまだ挙がる。総合上位の常連となったユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)、ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー)らも押さえておきたい。

 マイヨ・ブラン候補としては、キンタナ、ヴァンガードレンのほか、昨年のツールで大ブレイクしたティボー・ピノ(フランス、エフデジ)、ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ)が挙げられる。

 マイヨ・ヴェールを争うスプリンターは、さっそく第1ステージで主役となる。今大会最初のマイヨ・ジョーヌ着用者は、スプリンターから生まれるだろう。

 そのスプリンター“ビッグ3”は、いずれもナショナル・チャンピオンジャージで乗り込む。イギリスチャンピオンのマーク・カヴェンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ)は、チームがスプリント体制を敷いた。ジロからの流れを汲む選手が揃う。ドイツチャンピオンのアンドレ・グライペル(ロット・ベリソル)もトレインが充実。スロバキアチャンピオンのペテル・サガン(キャノンデール プロサイクリング)は、チームの単独エース。登坂力が強化され、山岳ステージでは中間スプリントポイント獲得を狙って逃げに乗るケースも考えられる。

マーク・カヴェンディッシュ(ジロ・デ・イタリア2013)マーク・カヴェンディッシュ(ジロ・デ・イタリア2013)
アンディ・シュレク(左から3番目)は復活なるか?(アムステルゴールドレース2012)アンディ・シュレク(左から3番目)は復活なるか?(アムステルゴールドレース2012)

 マルセル・キッテル、ジョン・デゲンコルプ(ともにドイツ)のアルゴス・シマノコンビは、コースレイアウトや展開によってどちらかで勝負する。ジロに続く出場のナセル・ブアニ(フランス、エフデジ)、マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)もステージ優勝候補だ。

 その他の見どころは、トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)のTT、ステージ優勝を狙うフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード・トレック)の復調具合など。日本チャンピオンとしては初のツール出場となる新城の走りにも大いに期待がかかる。トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー)とのコンビプレーが再び見られるかもしれない。

ツール・ド・フランス2012で敢闘賞を獲得し、日本人選手で史上初めてツールの表彰台に上った新城幸也ツール・ド・フランス2012で敢闘賞を獲得し、日本人選手で史上初めてツールの表彰台に上った新城幸也

ツール序盤ステージの展望

【ツール・ド・フランス2013】100回目のツール、コース徹底解剖!

ツール・ド・フランス2013 コースマップ  ©A.S.O.ツール・ド・フランス2013 コースマップ  ©A.S.O.

 選手を大まかに押さえたところで、ツール序盤ステージをチェックしてみたい。6月29日、コルシカ島のリゾート地ポルト・ヴェッキオをスタートし、バスティアへ向かう第1ステージ(213km)は、海沿いのフラットなコース。スプリンターが最初のマイヨ・ジョーヌを着ることになるだろう。

 第2ステージ(156km)で早くも中級山岳ステージが登場。中盤に3級2つ、2級1つ、後半に3級1つと、カテゴリー山岳が多く、ピュアスプリンターには厳しいレイアウト。最後の3級山岳はゴール前12kmにあり、数秒差での逃げ切りもありそうだ。

 続く第3ステージ(145.5km)も中級山岳ステージ。大きな山こそないが、大小アップダウンが常に続くコース。距離が短く、風またはハイスピードの展開になると集団の分断が考えられる。パンチャーやアタッカーは勝利を、総合系ライダーは上手くまとめたい。

第2ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第2ステージ コースプロフィール ©A.S.O.
第3ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第3ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 フランス本土へと移動し、ニースで迎える第4ステージはチームTT(25km)。ほぼフラットなレイアウトで、スピードマンが揃うチームに有利といえる。数十秒単位でタイム差が付くと予想され、総合を狙う選手にとっては重視すべきステージだ。ここで新たなマイヨ・ジョーヌ着用者が出るかもしれない。

今週の爆走ライダー: スティーン・デヴォルデル(ベルギー、レディオシャック・レオパード・トレック)

「爆走ライダー」とは…
 1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 6月23日のベルギー選手権で3年ぶりの優勝。3回目のベルギーチャンピオンに輝いた。ベルギー国内のメディアも「復活」とその勝利を称えた。

石畳の上を激走するデヴォルデル(パリ~ルーベ2013)石畳の上を激走するデヴォルデル(パリ~ルーベ2013)
スティーン・デヴォルデル(ツアー・オブ・オマーン2013)スティーン・デヴォルデル(ツアー・オブ・オマーン2013)

 元々はステージレーサーで、2006年のブエルタ・ア・エスパーニャ総合11位などの実績を持つ。転機はクイックステップ(当時)に移籍した2008年。自国最大の名誉であるツール・デ・フランドルで勝利し、翌年2連覇。北のクラシックの顔の1人となった。

 しかし、スター選手であるトム・ボーネン(ベルギー)との棲み分けが難しく、移籍したヴァカンソレイユ・DCMでも結果が残せない日々が続いた。しかし、現チームに移籍した今年、クラシックではファビアン・カンチェッラーラ(スイス)を強力アシスト。自身の復活の足がかりは築いていた。

 ツールよりもベルギーチャンピオン。だから、ツールメンバーから外れても「ベルギー選手権の準備に没頭し、失望している暇などなかった」そうだ。今年で34歳だが、まだまだ渋い走りを見せてくれることだろう。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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