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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<16>前哨戦終了、ツールへスタンバイ! 各国国内選手権、そして舞台は“本番”へ

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 ツール・ド・スイス、その他レースが終了し、ツール・ド・フランスに向けた前哨戦はほぼ終了。ツールへの道は、いよいよ今週末に控えた各国の国内選手権のみとなりました。有力選手たちがそれぞれの方法で調整を行い、その充実ぶりをアピール。いま一度、注目選手たちの動向をチェックしておきましょう。

【ツール・ド・フランス2013】100回目のツール、コース徹底解剖!

ツール前哨戦各レースのおさらい

 “ツール前哨戦”と位置づけられるレースは、おおよそ6月16日に終了。山岳、TTなど総合力を試されるものから、平地主体のステージレースまでさまざまだ。

2013年のツール・ド・スイスを2連覇したコスタ(リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2013)2013年のツール・ド・スイスを2連覇したコスタ(リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2013)

 UCIワールドツアーの1つであるツール・ド・スイスは、ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター チーム)が総合2連覇。風に苦しめられた第1ステージ個人タイムトライアルの遅れを第2ステージ以降で徐々に挽回し、最終の第9ステージ山岳個人タイムトライアルで逆転。特に、超級アルブラ峠を超える第7ステージでは圧巻のダウンヒルを披露。ステージ優勝で勢いに乗り、総合優勝への足がかりとした。ツール本番では、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)に続く2番手として総合上位を狙う。

 大健闘は、総合5位となったマティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)。第3ステージでリーダージャージを獲得し、6日間守り続けた。最終ステージこそ19位と沈み、総合優勝は逃したものの、地元レースで快走。5月のツアー・オブ・カリフォルニアもアシストながら総合4位に入っており、カデル・エヴァンス(オーストラリア)、ティジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)と2人のエースを揃えるチームにとって、強力な山岳アシストになるだろう。まだ26歳と若く、将来性にも注目だ。

ツール・ド・スイスでステージ2勝をあげたペテル・サガン(2012ツール・ド・フランス)ツール・ド・スイスでステージ2勝をあげたペテル・サガン(2012ツール・ド・フランス)

 そのほかでは、ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール プロサイクリング)がステージ2勝と充実。終盤に1級山岳が設けられた第3ステージでは、総合有力勢とともに逃げ切り、第8ステージではスプリントと、異なる2つのレイアウトで勝利してみせた。登坂力の向上が著しく、勝ち方の幅が広がっているのがポイントだ。

 有力スプリンターが集結したステル・ZLMツール(オランダ、UCI2.1)では、第3ステージで逃げ切ったラルス・ボーム(オランダ、ブランコ プロサイクリング)が総合でも優勝。スプリンターは、マルセル・キッテル(ドイツ、チーム アルゴス・シマノ)が第2ステージで勝利。また、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)は、ともにステージ勝利こそなかったものの、総合で2位、3位に入り、調整は上々のようだ。

 これらを受けて、各チームは最終候補メンバーからツール本番に臨む9選手の絞り込みに入る。国内選手権を経て、ツールロースターが続々と発表されることになるだろう。なお、先陣を切って17日にはオメガファルマ・クイックステップが9選手を発表。カヴェンディッシュ、トニー・マルティン(ドイツ)らが順当に選ばれている。チームは、第1ステージをカヴェンディッシュで勝利し、マイヨ・ジョーヌ獲得を狙う構えだ。

カヴェンディッシュはツールでどんな戦いを見せてくれるのか(ジロ・デ・イタリア2013)カヴェンディッシュはツールでどんな戦いを見せてくれるのか(ジロ・デ・イタリア2013)
カヴェンディッシュとともにツール入りをするマルティン(ティレーノ~アドリアティコ2013)カヴェンディッシュとともにツール入りをするマルティン(ティレーノ~アドリアティコ2013)

国内選手権は新チャンピオンの誕生か? 勝負の行方に期待

 ビッグレースはツール・ド・フランスを前に一旦落ち着きを見せるが、その間に国内選手権が各国で行われる。ロードレースが6月第4日曜、タイムトライアルはその数日前に行われるのが慣例だ。

 やはり、なんと言っても大注目は全日本選手権だ。大分で開催される今回、全日本史上最も難易度の高いコースとも言われている。1周15kmをエリート男子は12周、180kmの距離で争われる。周回コースは、約9km下り、残り約6kmを高度にして400m上る。これを12回繰り返すことになり、上りを得意とする選手に有利に働くか。

 もちろん、各チームフルメンバーで参戦する。ディフェンディングチャンピオン・土井雪広(チームUKYO)の2連覇なるか。ヨーロッパ組では、既報の通り新城幸也(チーム ヨーロッパカー)が帰国参戦。チャンピオンジャージを獲得し、ツールへとつなげたい。増田成幸(キャノンデール プロサイクリング)は、体調不良からの復帰レース。早々に帰国し、国内で調整を続けている。

現日本チャンピオンの土井(2013年4月)現日本チャンピオンの土井(2013年4月)
レース参戦に帰国する新城(飯島美和撮影)レース参戦に帰国する新城(飯島美和撮影)

 日本以外の注目国は、まずベルギー。今年は久々のワロン地域での開催。起伏が激しく、クライマー向けとの声もあるが、フィリップ・ジルベール(BMCレーシングチーム)のモチベーションが高い。お隣のオランダでは、ラボバンク時代を含めここ3年勝てずにいるブランコ プロサイクリングが、チャンピオンジャージ奪還をミッションとする。ステル・ZLMツール総合優勝のボームをエースとする公算だ。スロバキアでは、サガンが2連覇を狙う。ツール・ド・スイス後はイタリアで調整を行っており、ベストに近いコンディションで臨めるはずだ。

 それ以外にも、ナショナルチャンピオンが使命となっているチーム・選手が多数。ここでの結果いかんでツール出場にも直結するケースが多いだけに、当落線上にいる選手たちにとっては負けられない戦いでもあるのだ。

今週の爆走ライダー: バウケ・モレマ(オランダ、ブランコ プロサイクリング)

「爆走ライダー」とは…
 1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

2011年のブエルタ・ア・エスパーニャでは総合4位という結果2011年のブエルタ・ア・エスパーニャでは総合4位という結果

 “オールラウンダー王国”のブランコ プロサイクリングが送り出す、チームの“至宝”の1人。下部組織(当時ラボバンク コンチネンタル)から育てあげ、立派なグランツールレーサーとなった。

 早くから頭角を現していたロベルト・ヘーシンク(オランダ)とは同い年。プロデビューこそヘーシンクに遅れをとったが、アンダー23時代はステージレースで無敵の強さを誇った。プロデビュー後は、2010年ジロ・デ・イタリア総合12位を皮切りに、2011年ブエルタ・ア・エスパーニャでは総合4位。マイヨ・ロホを1日着用し、最終ステージでは劇的な逆転ポイント賞。2012年は、クラシックレースでも上位の常連となった。

コンタドールを引き連れ2着のモレマ(ティレーノ~アドリアティコ2013)コンタドールを引き連れ2着のモレマ(ティレーノ~アドリアティコ2013)

 先日のツール・ド・スイスでは総合2位。第2ステージではラスト1kmで圧倒的な登坂力でステージ優勝。ステージレースでの安定感は高く、総合系ライダーの中ではスプリント力もある。

 課題はタイムトライアル。来るツールではTTステージを上手くまとめたい。ヘーシンクの存在は大きいが、ミスレースの不安がつきまとうだけに、もう1人のエースとして上位戦線で走りたいところだ。上手くいけば、総合表彰台の可能性もあるのではないかと見ている。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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ツール・ド・フランス2013 週刊サイクルワールド

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