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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<15>ドーフィネ終了! 盤石なスカイに迫るサクソ・ティンコフ “ツール前哨戦”は大詰めに

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 “ツール前哨戦”は、まずクリテリウム・デュ・ドーフィネが終了。総合争いの有力選手が多く参戦したことで、各選手やチームの充実度が伺える絶好の機会となりました。そして、まだまだツールを占うレースが多数あります。スプリンターの動向、日本人選手の出場なるかなど、興味は尽きません!

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ドーフィネ閉幕 スカイは盤石ぶりをアピール

 “ミニ・ツール”とも呼ばれ、その後のツール・ド・フランスに向けた調整レースとしての位置づけが強いドーフィネ。今年はほとんどが中級または超級山岳ステージで構成されたことから、ツールの総合優勝候補がこぞって参戦した。

ジロ・デ・イタリア2013のチームTTを走るスカイ プロサイクリングジロ・デ・イタリア2013のチームTTを走るスカイ プロサイクリング

 9日に閉幕したレースは、クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング)が総合優勝。チームメートのリッチー・ポート(オーストラリア)とワン・ツーフィニッシュを果たした。後半のステージでは、ポートが自らアタックする場面や、フルームがポートのアシストをするシーンも目立ち、2人ともに勝負できることを示した。タイム差だけを見れば、フルームとポートが58秒、フルームと3位のダニエル・モレノ(スペイン、カチューシャ チーム)が2分12秒と、フルームの力が際立っている。

 タイム差が大きくなったのは、第4ステージの個人タイムトライアル(32.5km)で有力選手が軒並みタイムを伸ばせなかった点が挙げられる。フルームはヴァルモレル(第5ステージ)の山頂ゴールを制するなどしたが、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)やホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム)らは勝負度外視で脚試しのアタックを試みたりしたこともあり、山岳ステージでのタイム差はどこまで参考にできるかは未知数だ。

 フルームがツールでも総合優勝候補筆頭と目されるが、最大のライバルはやはりアルベルト・コンタドール(スペイン、チーム サクソ・ティンコフ)だろう。ドーフィネでは、持病のアレルギーの影響もあり個人タイムトライアルでまさかの大失速(3分37秒遅れの61位)。大会終盤はアシストに回り、マイケル・ロジャース(オーストラリア)の総合6位をお膳立て。それでも、第5ステージでは集団を粉砕するアタックや、メーン集団の人数を減らす強力牽引を見せるなど、復調傾向を示した。本人いわく「状態は75%まで上がってきている」そうだ。

チーム サクソ・ティンコフのチーム力は、スカイ プロサイクリングに匹敵するレベル(ジロ・デ・イタリア2013)チーム サクソ・ティンコフのチーム力は、スカイ プロサイクリングに匹敵するレベル(ジロ・デ・イタリア2013)

 チーム サクソ・ティンコフのチーム力は、スカイ プロサイクリングに匹敵するレベルにあると見ている。個々の能力はもちろんだが、各選手が順調に仕上がってきていると感じる。コンタドール、ロジャースらドーフィネ組に加え、ツール・ド・スイス参戦組からグランツールでの実績も豊富なロマン・クロイツィゲル(チェコ)、ニコラ・ロッシュ(アイルランド)が合流予定。山岳での力だけであればかなりの戦力と言える。実際、ドーフィネではコンタドールの牽引で、ほぼフルメンバーと見られるスカイのアシストが次々と集団から遅れる場面が見られた。もちろん展開による部分は大きいが、このあたりの戦い方が1つヒントになるかもしれない。

 なお、前回第3ステージまで結果をお伝えしたが、以降は第4ステージをトニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ)が圧勝。第5ステージ(139km)はフルームが制しマイヨ・ジョーヌを獲得。第6ステージ(141.5km)は逃げ切った4名のスプリントをトマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー)が勝利。第7ステージ(184km)では、サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)が、昨年9月にトレーニング中の事故で命を落としたヴィクトル・カベドと先日亡くしたという友人に捧げる涙の勝利。そして最終の第8ステージ(152km)は、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール プロサイクリング)が独走で逃げ切り勝利を収めている。

ツールメンバー選考レースは大詰め 注目レースはこれだ!

 ドーフィネと並ぶビッグレースであるツール・ド・スイスは中盤ステージへ。9日の第2ステージ(161.3km)では、クラン・モンタナの山頂ゴールでバウケ・モレマ(オランダ、ブランコ プロサイクリング)が優勝。10日の第3ステージ(203.3km)では、総合優勝候補とともに逃げ切ったペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)が余裕のスプリント勝利。23歳にして早くもキャリア50勝を達成している。そのほか、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)が逃げに乗るなど、ツールに向けた最終調整に余念がない。

クラシックレースでも激走を見せたジルベール(集団先頭)とサガン(左後ろ)クラシックレースでも激走を見せたジルベール(集団先頭)とサガン(左後ろ)

 6月12日からのツール・ド・ルクセンブルク(UCI2.HC)には、新城幸也(チーム ヨーロッパカー)が出場。昨年も出場し、快進撃の足がかりとなったレース。今年はピレネーでのトレーニングキャンプを経て臨む。

 同じく6月12日開幕のステル・ZLMツール(オランダ、UCI2.1)には、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)、マルセル・キッテル(ドイツ、チーム アルゴス・シマノ)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)のビッグスプリンターが集結。宮澤崇史(チーム サクソ・ティンコフ)も出場する。

 チームによっては、ツールの候補選手の発表が行われており、これらのレースを経て多くのチームがリザーブも含めたメンバーが明らかにされることだろう。

今週の爆走ライダー: ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)

「爆走ライダー」とは…
 1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 完全復活を遂げたといっても良いだろう。ジロ・デ・イタリアでマリア・ローザを8日間着用したのが2008年。その後の活躍は約束されたようなものだったが、チームがジロ出場を逃したり、ドーピング関与、体調不良など、ビッグレースでの勝利から見放される日々が続いた。

ジロ・デ・イタリア2013の第17ステージを制したヴィスコンティジロ・デ・イタリア2013の第17ステージを制したヴィスコンティ
ジロ・デ・イタリア2013のプレゼンテーションに出席したヴィスコンティ(2012年9月)ジロ・デ・イタリア2013のプレゼンテーションに出席したヴィスコンティ(2012年9月)

 先日閉幕のジロ、第15ステージのガリビエで初優勝。その勢いのまま、2日後の第17ステージも制した。ゴール前18kmのクロザーラの上りで抜けだし、ゴールまでの圧倒的なダウンヒル。メーン集団を全く寄せ付けなかった逃げ切りは、個人的に今年のジロベストステージの1つだ。

 シーズン前半の締めに出場のツール・ド・スイスでも好調。今シーズンの走りで、イタリア代表監督のパオロ・ベッティーニからの期待値も高まっているという。地元開催の世界選手権では、ヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ)とともに“シチリアーノ”がイタリア、いや世界を熱狂させるかもしれない。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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