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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<14>“ツール前哨戦”ドーフィネがスタート、そして別府がエスケープ! チーム内選考の競争も激化

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 ツール・ド・フランス開幕まで1カ月を切り、前哨戦に位置づけられるレースが次々に展開されています。自らの走りを確かめる有力選手たちの姿から、ツール本番の戦いを占ってみると、より楽しくレースが観られるはずですよ!

ツールメンバーのチーム内選考はココに注目!

 出場が確約されているエースたちがいる一方、各チームで残りの出場枠をかけた争いも激化する。この時期のレースは、ツール出場を目指す選手たちの走りも楽しむことができるのだ。ビッグレースでアピールし、メンバー選考に少しでもプラスに働かせようと、選手たちはもがく。

ツール・ド・フランス2013 コースマップ  ©A.S.O.ツール・ド・フランス2013 コースマップ  ©A.S.O.
シャンゼリゼを走るプロトン(ツール・ド・フランス2012)シャンゼリゼを走るプロトン(ツール・ド・フランス2012)

 ただ「何km逃げた」「どこでアタックした」だけでは計ることができない点が、サイクルロードレースの奥深さでもあり、難しいところでもある。エースを基準に、アシストとしてどれだけ働くことができるかがポイントとなる。上りに強いか、長時間の平地巡航が可能か、スプリンターのリードアウトができる選手か…。チームタイムトライアルで戦力になることができるかも重視されるだろう。

 もう1つ、ナショナルチャンピオンジャージの獲得がプラスに働くケースも。例年、ツール開幕の1週間前に国内選手権を行う国が多い。チャンピオンジャージは特別であり、集団内でもひときわ目立つ存在。これまでも、ツールメンバー候補にすら入っていなかった選手が、チャンピオンジャージの獲得で一気に出場へとこぎ着けた例もあるほどだ。

【ツール・ド・フランス2013】100回目のツール、コース徹底解剖!

色合いの異なる2つの“ツール前哨戦”

 数あるレースの中でも、“ツール前哨戦”とされる大きなレースは2つ。クリテリウム・デュ・ドーフィネ(フランス)とツール・ド・スイス。ともにUCIワールドツアーにカテゴライズされ、各チームの1軍クラスが臨む。

 今年は両レースの趣が完全に二分された。フランス・アルプスを舞台に行われるドーフィネは、全8ステージのほとんどが中級または超級の山岳ステージ。第4ステージに32.5kmの個人タイムトライアルが設けられているが、スプリンター向けのステージが極端に少ない。こういった事情もあって、ツールの総合優勝候補となるであろう選手の多くがドーフィネに乗り込んでいる。

 大会は6月2日に開幕。スタート・ゴールともにスイス・シャンペリーに設けられた第1ステージ(121km)は、中盤の1級山岳で飛び出したダヴィド・ヴェイユー(カナダ、チーム ヨーロッパカー)が、その後の2級・3級2つの山岳を独走で駆け抜けステージ優勝。スタート3kmでファーストアタックを仕掛け、ともに逃げたメンバーを振り切った118kmの大逃げ勝利だった。メイン集団は、特に目立った追走を見せなかったこともあり、約2分遅れでゴールしている。

エリア・ヴィヴィアーニ(ジロ・デ・イタリア2013)エリア・ヴィヴィアーニ(ジロ・デ・イタリア2013)
ジロ・デ・イタリア2013の第1ステージでカヴェンディッシュにスプリントで競り負け悔しがるヴィヴィアーニジロ・デ・イタリア2013の第1ステージでカヴェンディッシュにスプリントで競り負け悔しがるヴィヴィアーニ

 第2ステージは、中盤から後半にかけて4級が3つ、3級が1つ、2級が2つとカテゴリー山岳が続く。“上れるスプリンター”が生き残り、最後はエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール プロサイクリング)がステージ優勝をした。ジロ・デ・イタリアではあと一歩で勝利を逃していたが、その鬱憤を晴らすかのような勝利。ヴィヴィアーニは、「スプリントステージになる可能性が高い第6ステージまでを走って、リタイアする予定」とコメントしている。

 そして第3ステージでは、別府史之(オリカ・グリーンエッジ)がエスケープ! フランスでの拠点近くの街を通過することもあり、積極的に走った。残り16kmでメーン集団に吸収されたが、ここしばらくの体調不安を感じさせない好走だった。レースは、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイ プロサイクリング)がスプリントを制している。

 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング)、アルベルト・コンタドール(スペイン、チーム サクソ・ティンコフ)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)などのビッグネームは、今のところ静かな走りを見せている。調整のため、ドーフィネの総合成績は考えていない選手もいるようだが、第4ステージの個人タイムトライアルで各選手の状態がある程度見えてくるのではないだろうか。

クリストファー・フルーム(ツール・ド・フランス2012)クリストファー・フルーム(ツール・ド・フランス2012)
アルベルト・コンタドール(ブエルタ・ア・エスパーニャ2012)アルベルト・コンタドール(ブエルタ・ア・エスパーニャ2012)

 8日開幕のツール・ド・スイスには、スプリンターや平地系、パンチャー系の選手たちが集まる。

 スプリンターでは、ペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール プロサイクリング)、マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム アルゴス・シマノ)らが中心。アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、カチューシャ チーム)も今シーズンは好調だ。

ペテル・サガン(ツール・ド・フランス2012)ペテル・サガン(ツール・ド・フランス2012)
ジョン・デゲンコルプ(ジロ・デ・イタリア2013)ジョン・デゲンコルプ(ジロ・デ・イタリア2013)

 ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、レイディオシャック・レオパード・トレック)、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)、トム・ボーネン(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)らも参戦する。カンチェッラーラはスイスでの走り次第でツール出場を決めるとしているほか、すでにツール回避を表明しているボーネンは国内選手権2連覇に向けた調整出場としている。

 全9ステージは、第1、第9ステージに設けられた個人タイムトライアルと、クラン・モンタナの頂上ゴールとなる第2ステージが総合争いのキーポイントとなるだろう。

今週の爆走ライダー: ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)

「爆走ライダー」とは…
1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 プロトンきっての“男前”の1人。彼がレースで目立つたびに、筆者のツイッタータイムラインには「メールスマンはイケメン」の文字が現れる。

現在はオメガファルマ・クイックステップで活躍中のメールスマン現在はオメガファルマ・クイックステップで活躍中のメールスマン

 2007年にディスカバリーチャンネルでプロデビュー。いきなりシーズン2勝を挙げ期待を集めるも、その後移ったエフデジでは目立った走りができなかった。しかし昨年はロット・ベリソルでパリ~ニース第3ステージを勝利すると、秋のブエルタ・ア・エスパーニャでもまずまずの走りで強さを取り戻した。

 その後、ロット・ベリソルのワールドツアーライセンスが危うくなったことで移籍を志願し、現チームに加入したのが奏功した。今シーズンは“上れるスプリンター”として、既に4勝。トップ10入りは17回を数える。3月のヴォルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャでは2日間リーダージャージを着用した。

 現在出場中のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネでもステージ上位に入るなど好調だ。チームのビッグネーム、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)やトム・ボーネン(ベルギー)との棲み分けも上手くいっているが、来るツールではどのような役目を担うのか。彼の端正な顔をぜひポディウムで見たいものだ。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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