ヴェロ・ミシュラン特集<2>次元の異なる安定感と上質な乗り心地 ミシュラン「パリ・ブレスト」を徹底インプレッション

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 タイヤのトップメーカーから誕生した新しい自転車ブランド「ヴェロ・ミシュラン」。その第1弾となるシティサイクル「パリ・ブレスト」に、Cyclist編集部はこれまで何度も試乗を重ねてきた。結論から言えば、従来の街乗り用自転車とは別次元の骨太で上質な乗り心地が与えられ、そして驚くほどよく走る。ハンドメイドサイクルの匠が手がけた“本物”の乗り味を、試乗体験から検証してみよう。(レポート 米山一輝)

 

衝撃的だったパリ・ブレストとの出会い

最初の発表会には「ミシュランマン」も登場し、日本ミシュランタイヤのベルナール・デルマス社長(右)、日直商会の日向八郎社長と並んでPRした =2012年10月25日最初の発表会には「ミシュランマン」も登場し、日本ミシュランタイヤのベルナール・デルマス社長(右)、日直商会の日向八郎社長と並んでPRした =2012年10月25日

 パリ・ブレストに最初に出会ったのは、昨年10月に東京都内のホテルで開かれた発表会だった。ユニークなキャラクター「ミシュランマン」が盛り上げる会場で、フレームを設計した松田志行さんらの説明を聞いた後、用意された試乗車にまたがった。

 筆者は普段、100万円を超えるような高性能ロードバイクの試乗ライダーも務めており、正直、パリ・ブレストの試乗にそれほど期待はしていなかった。しかし、ひと踏みしただけで、一般的な“ママチャリ”とは次元が異なる乗り味に驚かされた。ガッチリと軸がぶれず、ペダルを踏んだ分だけスッと進み、そして乗り心地はマイルド。

 この日はわずかな時間の試乗にとどまったが、「これなら数時間単位の本格的なサイクリングも十分快適にこなせそうだ」と、やや興奮気味にレポートをまとめたことを鮮明に覚えている。

昨年のサイクルモードではミシュランブースで特別展示 =2012年11月昨年のサイクルモードではミシュランブースで特別展示 =2012年11月

 次にパリ・ブレストと対面したのは、昨年11月に千葉・幕張メッセで開かれた総合自転車ショー「サイクルモードインターナショナル2012」の会場だ。この時はミシュランの特設ブースに出展されたパリ・ブレストをCyclist編集部でビデオに収めたほか、女性記者がメッセ内の試乗コースで試してみた。

 走り終えた女性記者の感想は、「安定していて、ビックリするほどよく進みますね」。

 パリ・ブレストは泥よけやスタンドを標準装備していることもあり、持ち上げたり、ハンドルを押して歩いたりしても決して軽くはない。しかしペダルをこぎ始めると、極めてスムーズに前へ進む。その意外性に女性記者は驚きを隠せなかったのだ。そして筆者は、パリ・ブレストがシティサイクルの世界に革新をもたらすと、心の中で確信したのだった。

 

ブレない“背骨”がもたらす高級車の世界観

 今回この連載をまとめるにあたり、Cyclist編集部は改めてパリ・ブレストを借りて乗り込んでみた。

シティサイクルとしては出色の完成度。すでに筆者のお気に入りだシティサイクルとしては出色の完成度。すでに筆者のお気に入りだ

 ガッチリとした骨太の剛性感は、ヘッド部分から後方へ伸びやかに続くボリュームたっぷりのトップチューブが担っている。洒落たフォントで「MICHELIN」の文字が描かれたこのチューブは、サドルの下方で左右のシートチューブへと分かれ、そのまま後輪の車軸部分までを最短距離で結ぶ。

 この“背骨部分”がしっかりしているおかげで、地面を蹴る後輪と、進路を決める前輪、そして乗り手の体に直接触れるハンドル、サドルとの位置関係が走行中もブレにくく、高い安定感を感じさせるのだ。

 筆者と共に試乗したCyclist編集長は、パリ・ブレストの走りを体験して「メルセデス・ベンツやBMW、レクサスといった高級乗用車の乗り心地に通じるね」と語った。車体全体の高い剛性によって細かな振動が発生しにくく、また振動が起こっても収まりが良いため不快感につながりにくい。ロードバイクなどと比べれば少しヘビーな車重も、落ち着いた上質さや安心感に昇華されている。まさに自転車の高級車と呼ぶにふさわしい、独特のフィーリングや世界観が醸し出されている。

ガッチリとした剛性と安定感がパリ・ブレストの持ち味ガッチリとした剛性と安定感がパリ・ブレストの持ち味

 一方、なめらかな乗り心地は、ヘッド部分とクランク部分を結ぶ細い2本のダウンチューブや、クランク部分と後輪の車軸を結ぶ細めのチェーンステーによって演出されている。

 一般的に競技用のスポーツサイクルは、強い力でペダルを踏んでクランクを回すため、クランクを取り巻くダウンチューブやチェーンステーもフルパワーに耐えられるよう剛性が高められている。しかしパリ・ブレストは、あえてこの部分の剛性を和らげることにより、ペダルに伝わる振動や衝撃をいなしてシルキーな走行感を実現している。この“逆転の発想”が、シティサイクルに新しい確かな価値をもたらしたといえよう。

 

背筋が伸びる感覚 特筆すべき俊敏さ

 これまで「ガッチリ」「骨太」「安定」「重厚」といった静的なキーワードでパリ・ブレストを形容してきたが、動的な性能の優秀さも特筆しなければならない。

重量は決して軽くないが、乗り味は軽快だ重量は決して軽くないが、乗り味は軽快だ

 誰もが驚くのは、踏み出した時の反応の良さ。ペダルを踏むと、後輪が地面を押すというよりも、ハンドルや前輪を含めた車体全体に駆動力がかかっているような一体感に包まれる。こぎ出すと同時に背筋までスッと伸びるような、そんな錯覚を感じるほどだ。

 そしてカーブにさしかかると、ハンドルを切り始めた瞬間に素直に向きを変え始め、狙ったラインを寸分も外さない感覚で安心して進入できる。乗り心地はここでも滑らか。こうした俊敏でしなやかなハンドリングは、剛性と精度の高いフレームに加えて、シティサイクル用で最高グレードというミシュラン製タイヤ「Pilot Sport」(パイロットスポーツ)の恩恵といえよう。

 また、市街地を乗り込んでの試乗では、内装式5段変速の適切なギア比や、上体を起こした着座姿勢に適したサドルの座り心地など、普段使いでの扱いやすさも確認することができた。

 筆者はロードレースの選手時代、クロモリ、アルミ、カーボンとさまざまな素材や構造のフレームを経験してきたが、パリ・ブレストは「いつまでも走りたい」と思わされるほどの、新しい満足感を与えてくれた。趣味や嗜好の世界で語られる「本物」「上質」という賛辞が、これほど似合うシティサイクルはないだろう。

■ヴェロ・ミシュラン「パリ・ブレスト」の概要
サイズ: S/M 420mm ・ M/L 480mm
カラー: ブルー
フレーム: REYNOLDS 520 Cro-Mo
タイヤ: MICHELIN Pilot Sport 700C×28
チューブ: MICHELIN A2 バルブ 仏式バルブ
重量: S/M 420mm 13.2kg M/L 480mm 13.5kg
希望小売価格 ¥99,750(税込)

(取材協力:日直商会


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