title banner

福光俊介の「週刊サイクルワールド」<13>ジロ・デ・イタリアを勝手に総括 そしてマイヨ・ジョーヌのツールへとカウントダウン

  • 一覧

 ジロ・デ・イタリアが大盛況のうちに幕を閉じました。季節外れの大雪を乗り越えた3週間の戦いは歴史に残ることでしょう。そして、ツール・ド・フランスが迫ってきました。選手はもちろんですが、観る側にとっても休んではいられませんね!

ニバリとカヴェンディッシュ それぞれの“王者の走り”

総合優勝を決めてトロフィーにキスするニバリ(5月26日)総合優勝を決めてトロフィーにキスするニバリ(5月26日)

 ジロ・デ・イタリアは、終わってみればヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が総合2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイ プロサイクリング)に4分43秒差をつける圧勝劇。もちろん、3週間の中にはさまざまなドラマがあり、簡単についた大差ではない。

 それでも、勝つべくして勝ったと言えるだろう。今シーズン序盤からの戦いぶりを振り返ると、ティレーノ~アドリアティコからエンジンを全開に。クリス・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング)やアルベルト・コンタドール(スペイン、チーム サクソ・ティンコフ)を破り総合優勝。ジロ前哨戦のジロ・デル・トレンティーノ(イタリア、UCI2.HC)でも山岳ステージを制し総合優勝。ハイアベレージを維持したまま、ジロ制覇へとつなげた。

ゴール地点のブレシアへ向かうアスタナ プロチーム(5月26日)ゴール地点のブレシアへ向かうアスタナ プロチーム(5月26日)

 彼を支えたチームの力も今回は大いに評価されるところだ。パオロ・ティラロンゴ(イタリア)やフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン)が本調子ではないと見るや、山岳前までの牽引やエースの護衛役に回すといった対応。ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア)の山岳牽引が目立ったが、まさに適材適所の人事だったと言えそうだ。総合14位に食い込んだタネル・カンゲルト(エストニア)、第20ステージ5位のファビオ・アール(イタリア)といった将来を嘱望されるタレントも現れた。

ポディウムで感極まった表情のニバリ(5月26日)ポディウムで感極まった表情のニバリ(5月26日)
握手を交わすウラン(左)とエヴァンス(5月26日)握手を交わすウラン(左)とエヴァンス(5月26日)

 ウランや、コンディション調整目的で参戦したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)といった、本命とは目されていなかった選手も活躍。特にエヴァンスの第1週での好調ぶりは、現地ジャーナリストでも目を見張るものがあったという。第3週では若干息切れ気味だったが、ジロでの走りによりツール・ド・フランスではエースとなることが正式に決定したそうだ。また、ウランはこの活躍で他チームからのオファーが殺到しているとも。彼も次のステージへと向かう段階へと来たようだ。

最終ステージも制し、区間5勝目を挙げたカヴェンディッシュ(5月26日)最終ステージも制し、区間5勝目を挙げたカヴェンディッシュ(5月26日)

 今だから書けるが、実のところ、ポイント賞のマリア・ロッソ・パッショーネがスプリンターに渡ってほしいと3週間祈り続けていた。ステージレイアウトを問わずポイント数が同じため、ここ数年は総合上位の選手が着用することが多かった。決してそれが嫌だったわけではないのだが、昨年からのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)のチャレンジを見ていて思わず感情移入してしまった。ジロのポイント賞がスプリンターに渡るのは、2008年のダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、当時リクイガス、現チーム サクソ・ティンコフ)以来。

笑顔でシャンパンファイトをするカヴェンディッシュ(5月26日)笑顔でシャンパンファイトをするカヴェンディッシュ(5月26日)

 ステージを追うにつれて、オメガファルマ・クイックステップのスプリントトレインが洗練された印象だった。たびたびトレインが崩壊し、カヴェンディッシュ自ら局面打開することが多かったが、ブレシアでの最終ステージではリードアウトが機能。多少メンバーが替わるだろうが、ツールでのスプリントも楽しみになってきた。もっとも、山岳をこなすタフさがないと最後にポイント賞を獲得することは不可能。上りで遅れるシーンも見られたが、要所をしっかり押さえる点はさすがである。


ツール前哨戦にビッグネーム続々!

 いよいよツールに向けた最終調整が本格化する。クラシック後に休養していた選手たちも徐々にレースシーンへと戻ってきた。

 6月2日開幕のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネの顔ぶれがすごい。フルーム、コンタドール、ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム)、ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)、トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)…とにかく挙げだすと限りがない。今後さらに出場選手が明らかになるだろう。別府史之(オリカ・グリーンエッジ)も出場予定。ツール出場をかけた走りに期待がかかる。

 5月22日から26日に行われたバロイセ・ベルギーツアー(UCI2.HC)では、新城幸也(チーム ヨーロッパカー)が総合12位と好走。第1、第4ステージ6位とスプリントに絡んだほか、“ミニ・リエージュ~バストーニュ~リエージュ”と称されたクイーンステージ(第5ステージ)でも9位に。こちらもツールに向けて上々といえそうだ。

今週の爆走ライダー: ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)

「爆走ライダー」とは…
1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

表彰台で晴れやかな笑顔をみせるニバリ(第18ステージ、5月23日)表彰台で晴れやかな笑顔をみせるニバリ(第18ステージ、5月23日)

 2005年プロデビュー、2007年にグランツール初出場(ジロ総合19位)、2010年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝、そして今回のジロ制覇と着実に階段を上ってきた。3週間通しての安定感、そして第3週の山岳での圧倒的な走りから、最も強かった選手であることは間違いない。

 この活躍もあり、各方面から彼の人柄を推す声が多く挙がった。温厚で、アシスト思い。誰にでも気を配ることのできる男なのだという。そんな彼をリクイガス時代から支えるアニョーリは、第20ステージで羽ばたいたエースの走りに、感激の涙を流した。現チームへはアニョーリらアシストを引き連れての移籍となったが、強い信頼関係が築かれているのだろう。最近はチームが大金を使って強力なアシストをセッティングするケースも多いが、ニバリの周囲はそうではなかった。

 ツールは回避。今後は、ブエルタとフィレンツェでの世界選手権にスポットを充てる。ジロでの強さがあれば、ダブルツールを狙っても良いだろう。そして、アップダウンの多いフィレンツェのコースでマイヨ・アルカンシエルを目指す主役になっていても不思議ではないはずだ。

吹雪の中、山頂ゴールを制したニバリ(第20ステージ、5月25日)[/caption]

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ジロ・デ・イタリア2013 週刊サイクルワールド

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

  • タイム
    アルプデュエズ01 ディスク

    ディスクブレーキで伝統の走りを進化

  • リブ
    AVAIL ADVANCED

    走る好奇心を止めない リブの新型‟無敵”ロードバイク

  • インプレッション一覧へ

    連載