ツアー・オブ・ジャパン2013 「陸続きならイタリアから自転車で来るよ」 若手もベテランも日本が大好きなランプレ・メリダの選手たち

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 5月19日から26日に開催された「ツアー・オブ・ジャパン」(TOJ)へ、UCIプロチームから唯一参戦したランプレ・メリダ(イタリア)。激しいステージレースを戦い終えた26日の夜には、東京都内のホテルでアフターパーティーを開き、関係者やファンと交流を深めた。「Cyclist」ではこのパーティーを取材し、個別にインタビューを行なうなどして選手たちの素顔に迫った。(レポート 柄沢亜希)

ツアー・オブ・ジャパンに参戦したランプレ・メリダのメンバーと高谷ミヤタサイクル社長(中央左)、木村オージーケーカブト社長ツアー・オブ・ジャパンに参戦したランプレ・メリダのメンバーと高谷ミヤタサイクル社長(中央左)、木村オージーケーカブト社長

リケーゼ「マークが厳しかった」、ヴィガノ「富士は長くて辛かった」

ジロの公式ガイドブック(非売品)や選手がTOJで着用したTTヘルメットは、じゃんけん大会の景品になったジロの公式ガイドブック(非売品)や選手がTOJで着用したTTヘルメットは、じゃんけん大会の景品になった

 来日したメンバーはブルーノ・ヴィッチーノ監督率いる6人の選手。昨年までチームNIPPOに所属していたマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)をリーダー格に、ダヴィデ・ヴィガノ、マッシモ・グラツィアート、アンドレア・パリーニ、エリア・ファヴィッリ、ルーカ・ヴァッケルマンという5人の若いイタリア人選手たちが加わった。最年長のリケーゼで30歳と、若いチーム編成だ。

インタビューに答えるリケーゼインタビューに答えるリケーゼ

 「美しい日本で走るのが好き」と話すリケーゼは、日本のファンにもなじみ深い存在だ。しかし、チームNIPPOとして来日した時との違いを尋ねると、「実は今回初めてまともに日本食を食べたんだ」と意外な返答が。「(NIPPOの)大門監督は気を遣って選手たちにイタリアと同じ食事を出してくれていたからね。今回は良い体験だったよ」と話し、新鮮なチーム遠征となったことをうかがわせた。

 昨年までは弟のマウロ・アベル・リケーゼと共にNIPPOに在籍。今季は兄弟で異なるチームに所属するが、「変化は特にないね。仲良くやってるよ。もし同じレースでスプリント勝負になったとしたら、お互いに邪魔しないようにするだけだね」と笑った。

 一方、今大会はUCIプロチームからの参戦となったこともあり、「レース中のマークが厳しく、動きを取れない場面もあった」と告白。「チームとしてはもちろん勝つために来日したのに、各ステージで2位以下しか取れなかった。特にきょう(26日の東京ステージ)は、チームがサポートしてくれたのにスプリントで勝つことができなかった」と悔しさをにじませた。

東京ステージのゴールスプリントでは西谷泰治とハンドルを投げ合ったリケーゼは2着(5月26日、第6ステージ)東京ステージのゴールスプリントでは西谷泰治とハンドルを投げ合ったリケーゼは2着(5月26日、第6ステージ)
「ちゃんとしたごはんは朝以来」と箸で食事を楽しむヴィガノ「ちゃんとしたごはんは朝以来」と箸で食事を楽しむヴィガノ

 チームスカイやレオパード・トレック(いずれも当時の名称)にも所属経験があるヴィガノは、22日に長野県飯田市で行なわれた第3ステージで山岳賞ジャージを獲得し、最後まで守り抜いた。つまり、上りで最も強かった選手というわけだが、大会を振り返ると「(第4ステージでヒルクライムが行なわれた)富士山は長くて辛かった。ファヴィッリは10位と健闘したよ、僕はぜんぜんダメだった」と謙虚な返事が返ってきた。

 山岳コースの厳しさで知られるジロ・デ・イタリアの国の選手とあって、上りが物足りないのではないかと質問してみたが、ヴィガノは「そんなことはない。ステージレースでは特に、翌日のことを考えて、上りはできるだけ短いほうがいい」と本音を吐露。また、「ジロは富士山みたいな山が連続して登場するのだから本当にすごいよ」と心から驚嘆している様子だった。

 富士山ステージでは、路面の状態の良さにも驚いたという。「イタリアで山の道といえば全壊状態だからね!」

 8歳から自転車競技をスタートしたというヴィガノは、TOJの印象について「選手が何度も目の前を通過し、応援することができる周回レースが多いのはいいことだと思う。イタリアではワンウェイの場合が多いからね」とファンの目線でコメントし、プロとしての意識の高さをうかがわせた。イタリア語が共通語のチームにあっても英語が堪能。全体質問の際には「陸続きなら日本まで自転車で来られるよ」と冗談を飛ばし、会場に集ったファンを沸かせていた。

南信州ステージで逃げ集団の先頭を走るヴィガノ(5月22日、第3ステージ)南信州ステージで逃げ集団の先頭を走るヴィガノ(5月22日、第3ステージ)
高谷ミヤタサイクル社長に山岳賞ジャージを手渡すヴィガノ高谷ミヤタサイクル社長に山岳賞ジャージを手渡すヴィガノ

 伊豆ステージで惜しくもトップと同タイムの2位に沈み、「考えていたよりもキツいコースだった」と振り返ったのはエリア・ファヴィッリ。パーティーでは元気いっぱいにごはんを頬張っていた。「いつもの食事は、オイルで和えたパスタにパルメジャーノ・レッジャーノチーズを加えたものや、茹でたジャガイモなど…最悪! 日本食は野菜がいっぱいでおいしいね」と話すなど、日本食には思い入れが強いようだ。

 それにはワケがあった。初めて食べた日本食は「ファルネーゼヴィーニ時代にいっしょだった宮澤崇史から分けてもらったおにぎり」という。イタリアからマレーシアへ遠征へ向かう機内で分けてもらったといい、「あの味は忘れられない」と懐かしそうに語った。

伊豆ステージでスプリント2着のファヴィッリ(5月25日、第5ステージ)伊豆ステージでスプリント2着のファヴィッリ(5月25日、第5ステージ)
ヴィッチーノ監督に並んでバイキングを盛るヴァッケルマンヴィッチーノ監督に並んでバイキングを盛るヴァッケルマン

 ランプレ・メリダには、今年のジロで総合4位のミケーレ・スカルポーニをはじめ、ダミアーノ・クネゴ、アレッサンドロ・ペタッキといったベテラン勢も多い。そんな中、グラツィアートやパリーニとともに2012年からプロとしての活動をスタートしたヴァッケルマンは、92年生まれとチーム最年少だ。チーム内の様子をたずねてみると、「彼ら(ベテラン選手)はアニキ的な存在で、ペタッキとはよくいっしょに走りに行く。練習方法や食事のとり方など学ぶことは多い。たくさん吸収して、彼らのようなトッププロに成長していきたい」と意気込みを語った。

若手を育むランプレ・メリダ

 ランプレ・メリダは選手28人を中心に58人のスタッフをかかえる歴史あるチーム。2013年シーズンは平均年齢が29.2歳で、新人・若手とベテランのバランスがとれた好チームだ。日本のレースでは、今年10月に宇都宮市で開催される「ジャパンカップ」への参戦も検討している。

左から高谷ミヤタサイクル社長、ヴィッチーノ監督、木村オージーケーカブト社長左から高谷ミヤタサイクル社長、ヴィッチーノ監督、木村オージーケーカブト社長

 ヴィッチーノ監督はこれまでジャパンカップに監督として3回来日しているほか、1982、83年に計10カ月、日本の競輪学校へ留学した経験もある。今大会におけるチームの成績については「ちょっと不満」と渋い表情だ。

 「さすがに総合優勝は難しいと思ってはいたが、ステージ1勝はできると思っていた。戦える選手はいたし、好敵手もいた。レースに欠かせない要素は揃っていたので、ステージ優勝という結果を残せなかったのは悔しいが、惜しい位置にはつけていた。結果を受け止めつつ、選手たちには帰ってから厳しく言いたいと思う」とまとめた。

 パーティーの冒頭には、チームが駆るメリダバイクを日本国内で販売するミヤタサイクルの高谷信一郎社長と、チームにヘルメットを供給するオージーケーカブトの川上史郎社長が挨拶。高谷社長は「TOJに初めて招待されたUCIプロチームであるランプレ・メリダをサポートできることを誇りに思う。今シーズンのさらなる活躍を期待したい」と日本語と英語で挨拶をし、選手たちを激励した。

 また、パーティーの中で催されたじゃんけん大会では、選手が実際に使用したTT用ヘルメットや、ジロ・デ・イタリアに参戦するチームやスタッフにのみ配布される非売品の公式ガイドブックが用意され、会場ではファンによる“白熱の戦い”が繰り広げられた。

乾杯の挨拶をする木村オージーケーカブト社長乾杯の挨拶をする木村オージーケーカブト社長
じゃんけん大会でジロ・デ・イタリア2013の公式ガイドブック(非売品)を手渡すヴィッチーノ監督じゃんけん大会でジロ・デ・イタリア2013の公式ガイドブック(非売品)を手渡すヴィッチーノ監督

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