福岡市「モラル訴えるしかない」押しチャリ条例“逆効果" 区間外に自転車押し寄せ 福岡・天神

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「おしチャリ」のフラッグが掲げられた「押し歩き推進区間」=4月1日午前、福岡市中央区の天神地区「おしチャリ」のフラッグが掲げられた「押し歩き推進区間」=4月1日午前、福岡市中央区の天神地区

 福岡・天神のメーンストリート渡辺通り西側を、自転車の押し歩き推進区間と定めた福岡市の条例が施行され、間もなく2カ月となる。押しチャリが広まり、市は自転車利用者のマナーが向上したと自賛するが、指定区間外の渡辺通り東側には自転車が押し寄せ、以前より危険になったとの声が上がる。(大森貴弘)

 「おはようございます。危のうございますので、徐行をお願いします!」

 平日午前8時過ぎ。渡辺通り東側にある百貨店、博多大丸の店の前を、何台もの自転車が猛スピードで走り去る。通勤途中の会社員だろうか。市の嘱託職員が徐行を呼びかけるが、そのままのスピードで駆け抜ける自転車利用者もいる。

 「押し歩き区間ではないので、あくまで徐行を呼びかけています」。市嘱託職員の女性は語った。

 福岡市は4月1日に「自転車の安全利用に関する条例」、いわゆる押しチャリ条例を施行した。天神地区を南北に走る渡辺通りの西側約400メートルを「押し歩き推進区間」と指定。罰則はないが、自転車から降りて歩く努力義務を課した。

 条例は自転車の安全対策が急務だったからだ。平成24年に福岡市内で起きた自転車と歩行者の交通事故は58件で、10年前に比べ2・5倍に増加した。交通事故全体に占める自転車関連事故は4分の1に達する。

 特に渡辺通り西側は、重大事故がいつ発生してもおかしくない状況だった。

 1日12万人が乗降する西鉄福岡(天神)駅があり、通勤・通学の時間帯は特に歩行者が多い。一方、平日午前8~9時の1時間で約120台の自転車が走っていた。自転車と歩行者の事故が懸念されるため、市は渡辺通り西側を押しチャリ区間とした。

福岡市の職員が注意を呼びかける中、自転車で通勤する人々 =福岡市中央区・天神の博多大丸前福岡市の職員が注意を呼びかける中、自転車で通勤する人々 =福岡市中央区・天神の博多大丸前

 ところが、条例の施行直後から、別の問題が浮上した。

 押しチャリを回避しようと、区間外となった渡辺通りの東側や裏道に多くの自転車が押し寄せた。条例施行前のデータはないが、現在、通勤時間帯の渡辺通り東側は、1時間当たり最高300台もの自転車が走り抜けるという。

 通り東側の裏道に面したある飲食店店員は「この辺は道路が狭く、もともと危ないと思っていた。条例施行後、朝は確実に自転車の数が増えている。通勤でみんな急いでいるためか、スピードを出す自転車も多く、ぶつかりそうな場面もよく見ます」と語った。

 1分1秒が惜しい通勤者が、押しチャリの区間外に流れる事態は、福岡市も条例制定前から想定していた。押しチャリ区間に渡辺通り東側も含める案や、天神地区全域を指定することも検討したという。

 だが、区間を広げても指導員が十分に回りきれず実効性に疑問符がつくうえ、結局指定区間外の裏道に流れることに変わりはない、との判断に至ったという。

 市生活安全課の松田貴美子課長は「まずは一番危険な場所を指定することで注目してもらい、モデル区間として歩行者に気をつけてもらうきっかけにしたかった。事故防止に向けて指定区間以外でも自転車のマナー、モラルを地道に訴えていきたい」と述べた。

 全国的に注目を集めた押しチャリ条例だが、やはり効果は限定的。結局、事故防止は自転車利用者のモラル次第といえる。

MSN産経ニュースより)

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