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山田美緒の「旅する満点バイク」<10>アフリカ大陸縦断5000km、自転車でついに完遂! 喜望峰で大喝采をあびながら見えた輝く世界

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 「旅する満点バイク」第3回から連続でご紹介してきた2004~2005年のアフリカ8カ国自転車旅も、今回で最後! ついにゴールの南アフリカにたどり着きました。

 南アフリカは治安の悪いイメージがありますが、首都のヨハネスバーグをはじめ、私が走った西側のルートはほかの地域に比べれば安全。とはいえ、スラム街の横を走ることもあれば、夜道で強盗に襲われたなどという話をほかの旅行者から聞くこともありました。周囲の気配を感じ、時に勘を働かせ危険なところには近づかないということは、世界中どこにいても大切ですね。

 ケープタウン周辺は、サイクリングが盛ん。週末になるとサイクリングレースやイベントが開催されたり、レンタサイクルで半島を走るツアーが行なわれていたりします。私も何人かのサイクリストとすれ違いました、アフリカでサイクリストを見たのはここが初めてでした!

南アフリカはワインの名産地。一面の“ぶどうワールド”やぶどうが満載のトラックも南アフリカはワインの名産地。一面の“ぶどうワールド”やぶどうが満載のトラックも

 大都市ケープタウンは、おもちゃ箱のようにカラフルなカフェやブティックが並び、高層ビルやショッピングセンターが立ち並んでいます。これまで砂漠や無人地帯を走ってきたのが嘘のようでした。バックパッカー宿に泊まれば世界中の旅行者が集い、そこには日本人の姿も。久しぶりに日本語を話しました。

 そこから約50km、アフリカ大陸の西南端の喜望峰が私の目指すゴール地点です。ケープタウンで一晩過ごし、翌朝、喜望峰に向かって走り始めました。

 しかし、この日ほど危険を感じたことはありませんでした。横から吹き付ける強風や突風で、自転車ごと倒れて崖から転げ落ちそうに! 風で着ていた服まで裂けたときには、さすがに恐怖で足が震えました。それでも、諦めるという考えは1%もありませんでした。ゆっくりであってもペダルをこぎさえすれば、必ずゴールができるということを信じていたからです。

ダイナミックなテーブルマウンテンダイナミックなテーブルマウンテン
ケープタウンの港の様子ケープタウンの港の様子

 やっとのことでケープ半島の保護区に入るとまるで別世界。これまで見たこともないような彩り豊かな植物が茂り、青空が広がっていました。そこからは一気に喜望峰を目指します。

 おとぎ話の最後は美しく締めくくられるものですが、私はそういうことは本や映画だけの話だと思っていました。でも「CAPE OF GOOD HOPE」(喜望峰)という看板を目にしたとき、本当にすべてが輝いて見えたのです。空も海も岩も砂も人の顔さえもがキラキラと。「こんな世界があるんだ!」と感動していると、いつの間に人だかりに囲まれていました。

 おじさん「どこから来たんだ?」
 「ケニアからです」
 おじさん「ケニア!? おーいみんな、彼女はケニアからきたんだってー!」

 おじさんが驚いて叫ぶと、大喝采が起こりました。溢れる思いをかみ締めながら、声を上げガッツポーズ。今でもあの景色は鮮明に覚えていますし、いろいろな場面で思い出します。

"CAPE OF GOOD HOPE"…喜望峰にゴール!"CAPE OF GOOD HOPE"…喜望峰にゴール!

◇      ◇

 細かい数字は記録していなかったのですが、走行距離は5000kmを少し超えたくらいでした。そしてアフリカ滞在は下見含めて半年間! 長旅でしたね。

 「日本に帰ったらまず冷たい麦茶が飲みたい」、そんな想いで帰国をし、家族や友人の顔を見ると今度は「帰ってきたのだ」という感動がありました。

 旅の間は、「今日はどこに泊まれるだろう、無事に朝が来るかなぁ」と不安な日々だったので、日本に帰ってきて「おかえり」と言ってくれる人がいること、「ただいま」と帰る場所があることがどれだけありがたいか実感しました。帰る場所があるからこそ、私は旅ができるのだ、と。

文・写真・イラスト 山田美緒

山田美緒山田美緒(やまだ・みお)
大阪府生まれ。サイクリストとして世界中を旅してきたほか、一般社団法人コグウェイを設立し、「四国ディスカバリーライド」などを主催。著書に、アフリカ大陸縦断記をまとめた『マンゴーと丸坊主』、女性サイクリストたちとの旅や交流の体験記『満点バイク』がある。ブログURL(http://mantem.exblog.jp/)

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