ツール・ド・フランス2012 第10ステージ新城のアシストを受けたヴォクレールが逃げ切り勝利 山岳賞ジャージと敢闘賞も獲得

  • 一覧

 休養日明けのツールはアルプスでの山岳ステージ連戦に突入する。第10ステージ、マコンからベルガルドシュバルスリーヌに至る194.5kmの戦いは、トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー)が得意の小集団での逃げ切りを決めて優勝。総合ではチームに守られたブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)が首位を守った。

エスケープグループの先頭に立つヴォクレールと新城エスケープグループの先頭に立つヴォクレールと新城

 レースは序盤から25人の大きな逃げ集団が形成される展開。ヴォクレールを始め、スプリント賞争いをするペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)とマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、そしてミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)など総合では遅れている有力選手も数多く入り、また第4ステージで敢闘賞を獲得している新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー)もまたここに入った。

プロトンの前に立つスカイ勢プロトンの前に立つスカイ勢
エスケープグループに入ったサガンがチームカーから補給を受けるエスケープグループに入ったサガンがチームカーから補給を受ける

 約7分差を付けられたプロトン(メーン集団)では、リーダーチームであるスカイ勢が集団のペースを作る。一方逃げ集団では、新城がチームのエースであるヴォクレールのために積極的に集団を牽引し、またヴォクレールがパンクで遅れた時はサポートに下がるなど、献身的にアシストをする姿が見られる。

 中間スプリントはゴスがサガンを下し、そのポイント差を僅かに縮める。先頭はすぐグラン・コロンビエ峠に入る。今ツール最初の「超級山岳」は17kmで1200m余りを上る。新城が上り口で強力に集団を牽引して、ハイスピードで上りに突入。すぐに有力選手ら少人数での先頭争いとなる。新城も遅れるが、ここまでアシスト受けたヴォクレールが代わって先頭で積極的に展開し、4人となった先頭グループのトップを切って山岳ポイント頂上を通過する。

グラン・コロンビエを行くヴォクレールグラン・コロンビエを行くヴォクレール
この日、ヴォクレールを大きく助けた新城この日、ヴォクレールを大きく助けた新城

 プロトンでは上り頂上付近から下りにかけて断続的な攻撃が仕掛けられる。特に下りで抜け出した現在総合4位のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が、逃げ集団から下がってきたチームメイトのサガンと合流してさらにペースアップ。一時はプロトンに1分弱の差を付けるが、ウィギンスを守るスカイ勢を完全に崩壊させるまでには至らない。

 先頭4人は残り20kmの3級山岳をプロトンに約3分差を付けて通過して下りに入り、逃げ切りが濃厚となる。ここも先頭で通過したヴォクレールは山岳賞ジャージを確定。上りも下りも積極的だ。残り10kmを切って、後方から単独で追走してきたベテランのイェンス・フォイクト(ドイツ、レイディオシャック・ニッサン)が先頭に合流し、5人での優勝争いとなる。

 ゴール前3kmは上り基調。特に最後1kmは勾配が厳しくなってのゴールだ。最後の駆け引きと仕掛け合いを制したのは、これまたヴォクレールだった。単独先行したドリース・デヴェニンス(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)をゴール前約700mで一気に追い抜いて先頭に立つと、そのまま後続の追い上げを振り切ってゴール。ツール3勝目を挙げた。

ゴールで虚脱状態の優勝者ヴォクレールゴールで虚脱状態の優勝者ヴォクレール
プロトンの先頭を切ってゴールするエヴァンス。直後にウィギンスが付けるプロトンの先頭を切ってゴールするエヴァンス。直後にウィギンスが付ける

 昨年マイヨジョーヌを10日間着用して総合4位。今年は総合表彰台を期待されたヴォクレールだが、膝の故障で直前まで調子が上がらず、ツール本番でも序盤戦で総合では大きく遅れてしまった。未だに右膝に痛みを抱えているというが、この日は積極的な走りでステージ優勝に総合山岳賞、敢闘賞まで獲得する大活躍。地元フランス人スター選手の面目躍如となる走りを見せた。

 プロトンは3分16秒差でゴール。最後の上りでカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)が攻撃を見せたが、ウィギンスがぴたりとマークし、タイム差を付けるには至らなかった。

 レース中盤までヴォクレールを献身的にアシストして勝利に貢献した新城は、ステージ73位でゴールしている。

 

第10ステージ結果
1 トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 4時間46分26秒
2 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) +3秒
3 イェンス・フォイクト(ドイツ、レイディオシャック・ニッサン) +7秒
4 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク サイクリングチーム) +23秒
5 ドリース・デヴェニンス(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ) +30秒
6 サンディ・カザール(フランス、エフデジ・ビッグマット) +2分44秒
7 エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) +2分44秒
8 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +2分44秒
9 ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル チーム) +2分44秒
10 ドミトリー・フォフォノフ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) +2分52秒
73 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +15分4秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング) 43時間59分2秒
2 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1分53秒
3 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング) +2分7秒
4 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +2分23秒
5 デニス・メンショフ(ロシア、カチューシャ チーム) +3分2秒
6 アイマル・スベルディア(スペイン、レイディオシャック・ニッサン) +3分19秒
7 マキシム・モンフォール(ベルギー、レイディオシャック・ニッサン) +4分23秒
8 ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル チーム) +4分48秒
9 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル ラモンディアル) +5分29秒
10 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +5分31秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 232 pts
2 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 205 pts
3 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル チーム) 172 pts
4 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、スカイ プロサイクリング) 129 pts
5 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD) 109 pts
6 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイ プロサイクリング) 95 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 28 pts
2 フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ プロチーム) 21 pts
3 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) 21 pts
4 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング) 20 pts
5 イェンス・フォイクト(ドイツ、レイディオシャック・ニッサン) 18 pts
6 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 18 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) 44時間4分33秒
2 レイン・タラマエ(エストニア、コフィディス ルクレディアンリーニュ) +25秒
3 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ・ビッグマット) +3分22秒

チーム総合
1 レイディオシャック・ニッサン 132時間2分22秒
2 スカイ プロサイクリング +4分58秒
3 BMCレーシングチーム +22分6秒

敢闘賞
トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー)

 
(文 米山一輝/写真 砂田弓弦)

この記事のタグ

ツール・ド・フランス2012 新城幸也

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

サイクリストTV

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載

連載