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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<12>ジロは勝負の第3週に突入 安定感抜群のニバリか、エバンスやウランらの巻き返しなるか

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 ジロ・デ・イタリアはいよいよ最終週に突入。寒さとの戦いとなった第2週で、総合優勝争いは大きく絞られることとなりました。そして、日本では国際ステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」(TOJ)が開幕。国内外トップチームの参戦で大いに盛り上がりを見せるTOJも、目が離せません!


ニバリとエヴァンスのマリア・ローザ争い 各賞ジャージの動向もチェック

ニバリは最終週をマリア・ローザを着てスタート(5月19日第15ステージ)ニバリは最終週をマリア・ローザを着てスタート(5月19日第15ステージ)

 ジロ・デ・イタリアは、5月20日を2回目の休息日とし、いよいよ最後の戦いへ。難易度が低めの第16ステージ(21日)、17ステージ(22日)をこなし、第18ステージからの山岳3連戦で総合優勝争いが決する。

 現在、マリア・ローザを着るヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が頭一つ抜けている。総合2位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)との差は1分26秒。ここまでステージ優勝こそないものの、マリア・ローザを守る走りに徹する。

 チーム内ではヴァレリオ・アニョーリ(イタリア)のアシストが目立っているが、ここへきてパオロ・ティラロンゴ、ファビオ・アール(ともにイタリア)が復調。さらには、タネル・カンゲルト(エストニア)も総合14位につけるなど、チームとして好材料が多い。“バッド・デイ”さえなければ、ニバリ、そしてチームとしての優位は揺らぐことはないだろう。

チームに守られて走るニバリ。2位につけるエヴァンスがうしろに続く(5月19日第15ステージ)チームに守られて走るニバリ。2位につけるエヴァンスがうしろに続く(5月19日第15ステージ)

 我慢の第2週をクリアしたエヴァンスは、逆転を狙う。本来は完全復調を狙って調整含みのジロ参戦だったが、自身でも驚くほどの走りで総合優勝争いに名乗りを挙げた。ニバリとの差を逆転するためには、やはり先手を打つアタックを決めることが重要。まずは、第18ステージの山岳タイムトライアルでタイム差を縮めたいところだ。

 続く選手らの表彰台争いも熱い。現在総合3位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイ プロサイクリング)と同じく4位のマウロ・サンタンブロージオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・セッレイタリア)の差は、第15ステージ終了時点でわずか1秒。現段階でともに総合表彰台の確保に目標を定める。両選手とも高いチーム力に守られている点や、展開次第では同国の選手たちでチームの垣根を越えた協調体制が取れる点など、勝負するうえで共通する部分が多い。この2人の争いも、第18ステージの山岳タイムトライアルの走りがカギとなりそうだ。

寒さとの戦いとなった第2週、雪の峠道を行くプロトン(5月19日第15ステージ)寒さとの戦いとなった第2週、雪の峠道を行くプロトン(5月19日第15ステージ)
エヴァンスに続きゴールするサンタンブロージオ(右)とウラン(5月19日第15ステージ)エヴァンスに続きゴールするサンタンブロージオ(右)とウラン(5月19日第15ステージ)
スプリント優勝後にチームメートと抱き合うカヴェンディッシュ(5月17日第13ステージ)スプリント優勝後にチームメートと抱き合うカヴェンディッシュ(5月17日第13ステージ)

 各賞ジャージをかけた戦いも最終局面へ。注目はマリア・ロッソ・パッショーネ(ポイント賞)で、第15ステージを終えて、トップのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)と2位エヴァンスとのポイント差は18ポイント。山岳ステージでのポイント獲得が難しいジロにあって、マリア・ロッソ・パッショーネが久々にスプリンターへ渡るチャンスだ。カヴェンディッシュにとっては、第16、17ステージになんとしてでもゴールスプリントへ持ち込みたいところだ。

 そのほか、マリア・アッズーラ(山岳賞)は、ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォレ・CSFイノックス)が2位に23ポイント差でリード。マリア・ビアンカ(新人賞)は、総合でも7位につけるカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼール・ラモンディアル)と、同じく8位につけるラファル・マイカ(ポーランド、チームサクソ・ティンコフ)との差は5秒。こちらも目が離せない。

ツアー・オブ・ジャパン19日に開幕 ちょっと小話

 日本では国内最大のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」(TOJ)が19日に開幕。大阪・堺での国際クリテリウム、そして第1ステージの個人タイムトライアルが行われたこの日は、筆者も「サイクリスト」取材班として選手や関係者へのコメント取材を担当した。1週間にわたる長い戦いを前にした選手や監督の意気込みや、各選手やチームの明確な狙いが見て取れるので、ぜひチェックしてみてほしい。

TOJ第1ステージでは雨の個人TTを西谷泰治が制覇。別府匠監督(右)と2位のソ・ジョンヤンと握手して喜ぶTOJ第1ステージでは雨の個人TTを西谷泰治が制覇。別府匠監督(右)と2位のソ・ジョンヤンと握手して喜ぶ

 やはり、テレビで見るレースと実際に現場に立ち会うのとでは得られるものが異なる。レース展開そのものや会場の雰囲気はもとより、緊張感やレースへのモチベーションなど、監督や選手らの思いや心情をストレートに感じられるのだ。

 そうした意味で、チームNIPPO・デローザの選手たちに余裕が感じられたのが印象的だった。国際色豊かなチームだが、日本のレースに慣れているというのはメリットだ。今回、ランプレ・メリダやヴィーニファンティーニ・セッレイタリアといった海外トップチームが初参戦しているが、彼らは若干不慣れな様子だった。観客でごった返す通路に戸惑い、苦笑いしている選手がいたり…。

堺国際クリテリウムのゴールシーン(5月19日)堺国際クリテリウムのゴールシーン(5月19日)

 一方で、アジアのレースを主戦場としているドラパック・サイクリングやヒューオン・ジェネシスの選手たちは明るく、リラックスした様子。ちなみに、ドラパックの選手たちは宿舎から会場まで自走。会場へ向かう筆者の車と併走していた(感動の実話)。

 レース中はツイキャス(ツイッター連動のライブ動画)をするなど、若干公私混同しながらも1日楽しませてもらった。宇都宮ブリッツェン・栗村修監督にはツイキャス視聴者へリアルタイムでコメントをいただくなど、思いがけない展開にも恵まれた。

 最後に、雨の日の観戦について。TOJに限らず言えることだが、できればレインウェアなどの着用できる雨具を用意して観戦をお願いしたい。大観衆の多くが傘を差す状況は、非常に危険だ。雨そのものより、傘からの滴で他人をずぶ濡れにする恐れもある。レースを楽しく快適に観戦するためにも、傘は極力控えてほしいと思う。

今週の爆走ライダー: デニス・メンショフ(ロシア、カチューシャ チーム)

「爆走ライダー」とは…
1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 この原稿を執筆中に、「デニス・メンショフ引退」の報が入ってきた。今年はジロ・デ・イタリア参戦を予定していたが、膝の故障で断念。その後、ツール・ド・フランス出場を目指していたが、回復が見込めず引退を決断したとか。

デニス・メンショフ引退の報が届いた(写真は2008年ジロ・デ・イタリア)デニス・メンショフ引退の報が届いた(写真は2008年ジロ・デ・イタリア)

 ジロ・デ・イタリアでは、2009年に総合優勝。最終ステージのローマでの個人タイムトライアルでは、ゴール直前で落車しながらもリードを守りきり、歓喜の絶叫が印象的だった。ブエルタ・ア・エスパーニャでも2007年の総合優勝をはじめ、ステージ優勝や各賞での表彰など多くの場面で活躍した。

2012年ブエルタ・ア・エスパーニャのメンショフ2012年ブエルタ・ア・エスパーニャのメンショフ
シャンパンファイトをするメンショフ(2012年ブエルタ・ア・エスパーニャ)シャンパンファイトをするメンショフ(2012年ブエルタ・ア・エスパーニャ)

 チームメートも困るほどの物静かさは、集団内に潜む走り方にも表れていた。しかし、山岳やタイムトライアルでの安定感は高く、それが常にグランツールで総合上位に名を連ねた要因だ。
 
今後、レース中集団に潜む「メンショフ探し」ができないのは残念だが、そんな彼の走りを忘れることはないだろう。故障で引退とは不本意だろうが、キャリアの最後を自国のチームで終えられたのはせめてもの救いなのではないだろうか。

文 福光俊介

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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