あの街この道 ― サイクリングコースガイド京都をダイナミックに周遊 風情を楽しみ、おしゃれショップをめぐる

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紫陽花のシーズン。奥に渡月橋(とげつばし)紫陽花のシーズン。奥に渡月橋(とげつばし)

 京都の観光は電車やバス、タクシーでの移動が定番だが、最近は自転車での観光にも注目が集まっている。坂の少ない土地柄は自転車で快適に走ることができ、道路の慢性的な混雑を回避できるメリットもあるからだ。

 今回は、京都駅からスタートし、嵐山や河原町といったメジャーな観光地を通りつつ、川沿いの自転車道や、サイクリストが立ち寄るおしゃれなお店を楽しめるルートを設定した。

 すがすがしい陽気の中、自転車で爽快に観光を…と思い描いていたが、取材当日はあいにくの雨。時折、強く降る中でサイクリングを決行したので、途中の写真が少ないことはご容赦ください。

寄り道しつつ“京都らしさ”の探究

 まず初めに走る「堀川通り」は、中央分離帯を挟んだ片側3車線の車道と、車道1車線分ほどの歩道があり、かなり広い。西本願寺の荘厳な伽藍(がらん)に、京都が日本の中心であったことを改めて実感する。

メッセンジャー会社「KAZE」の事務所=京都市下京区メッセンジャー会社「KAZE」の事務所=京都市下京区

 堀川五条の大きな交差点を過ぎ、堀川警察署の裏の路地に入ると、自転車エンターテインメントを楽しめるカフェバー「ゴールドスプリント」がある。この店は、すでに別の記事で紹介しているので、ぜひお読みください。 

 その「ゴールドスプリント」で、スタッフの半田康之さんが営むメッセンジャー会社「KAZE」の事務所が面白いと聞き、特別に立ち寄らせてもらった。そこは、京都ならではの町家スタイルの空間。店舗と居住スペースが一つに合わさった建物は、入り口部分が土間になっており、自転車を並べて置くにも整備するにも適している。出入りの多いメッセンジャー会社にはうってつけの構造だ。

 「五条通り―西五条通り」は、道なりにまっすぐ進む。雨脚が強まり、通り沿いのユニクロで雨ガッパを調達し、スターバックスで暖をとる。西五条通りには自転車走行帯が設置されていた。

 桂川に出れば、嵐山まで「京都八幡木津自転車道」を通っていくことができる。この道は、桂川・木津川沿いに延びる総距離約45kmのサイクリングロード。川の流れを横目に、のんびり会話をしながら進もう。次第に嵐山のこんもりとした緑が近付いてくる。9km地点には、何やら惹かれる大きな鳥居。参道の先には広大な神社が広がっていた。

 松尾大社は、5世紀ごろに土地の神を祀ったのが始まり。約12万坪の境内全域が風致地区に指定され、文化財や昭和を代表する庭園を内包する。訪れた日は「あじさい苑」がシーズン真っ盛りだった。参拝者に「雨の中すごいね!」などと声をかけられ、ずぶぬれになっても自転車で京都を走り回っていることを誇らしく感じた。少しだけ。

嵐山の美しい竹林

美しい青竹の小道美しい青竹の小道

 時代劇の撮影でもよく使われる渡月橋(とげつばし)が見えたら、もう嵐山だ。修学旅行などで何度か訪れたことがある場所だが、自転車からの景色は記憶の中のイメージとまるで違った。観光客でにぎわう嵐山の街並みを、少し離れた目線から味わうことができる。

 トロッコ嵐山駅に続く竹林は、嵯峨野・竹林の道としてそぞろ歩くにはもってこい。どこまでも続く竹の通路は、葉ずれの音と青い香り。雨もまた、よきかな。かつて平安貴族が行き来した小道の風情を、ゆったりと味わいたい。

 嵐山で折り返し、「三条通り―御池通り」を東へまっすぐ街中へ向かう。途中、広隆寺、二条城の横を通過するので、時間があればぜひ立ち寄りたいところだ。

街中へ、お店へ!

「UNIT」外観=京都市中京区「UNIT」外観=京都市中京区

 京都市役所を左に折れ、「河原町二条」交差点を右へ行ったところに、「UNIT」がある。UNITは、1階にアパレル、2階にバッグを揃えるセレクトショップ。東京のメッセンジャー会社が採用していることで知られるバッグ「FREDRIK PACKERS(フレドリックパッカーズ)」は、国内最大の品ぞろえだ。MTB好きなオーナー、橋口漢児さんが、温かくもてなしてくれた。

 「日常に自転車の在る幸せや、それを取り巻く人と人とのつながりを、この店で感じてもらいたい」と話す橋口さん。その言葉通り、店には自転車好きも、そうでない人も集まる。休日には仲間たちでライドへ出かけることもあるという。

 店を出て、高瀬川沿いの道を河原町へ向かう。森鴎外の『高瀬舟』の舞台として知られるほか、春には桜並木が美しいという。訪れた時は静かだったが、夜は歓楽街としてにぎわいを見せるのだとか。河原町が近付くと、自転車の走行が禁止されている区間があるので注意が必要だ。

 「京都ならでは」と思わせる和風の布地やデザインが人気の「SOU・SOU」は、新京極商店街のアーケードから少し外れた場所に5店舗が点在している。子供服や紳士物など、ラインナップ別に店舗が分かれ、中にはツール・ド・フランスの総合リーダージャージ「マイヨジョーヌ」を提供する「ルコックスポルティフ」との共同デザイン商品を扱う店もある。自転車のイラストをあしらったTシャツやてぬぐい、足袋型のソックスなどが揃い、サイクリストなら誰もが心ときめく店だ。

「SOU・SOU×le coq sportif」 店内「SOU・SOU×le coq sportif」 店内
「SOU・SOU」人気商品の足袋型ソックスやてぬぐい「SOU・SOU」人気商品の足袋型ソックスやてぬぐい

 空腹を覚えたところで、商店街で「京風たこ焼き 蛸益」という看板が目に入った。次から次へとお客さんが並ぶ店で、ボリューム満点のたこ焼きをほおばった。

坂のない京都は自転車で巡るに最適

 JR京都駅までは、鴨川沿いの道を走って3kmほど。雨ではあったが、総距離30km足らずで京都をぐるっと回れる気軽さは実感できた。東京と比べると本当に坂が少なく、自転車散歩にはうってつけだ。京都市内でレンタサイクルはいくつも見つけられるし、今回泊まった京都東急ホテルでは、電動アシスト自転車の貸し出しもしていた。

 自分たちのテンポで、回りたい場所を上手にプランしながら、京都の自転車巡りを楽しんでいただきたい。

今回訪れた店

■「UNIT(ユニット)」
京都市中京区樋之口町460-1 吉村ビル1階
TEL 075-241-2832
営業時間 12:00~21:00
無休(出張・イベント等で臨時休業有)
店舗ホームページ:http://unitkyoto.blog84.fc2.com

■「SOU・SOU(そう・そう) le coq sportif」
京都市中京区新京極通四条上ル二筋目東入ル二軒目 P-91ビル2階
TEL 075-221-0877
営業時間 11:00~20:00
無休
ホームページ:http://www.sousou.co.jp


文・写真 柄沢亜希

<コースプロフィール>
距離:約28km
所要時間:1時間半~2時間くらい(寄り道を含まず)
最大高低差:54m

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