レンタサイクルで彦根サイクリング<1>おしゃれレンタサイクルで彦根観光へ 廃城跡から彦根城を望む

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彦根駅前。彦根藩の祖である井伊直政公の騎馬像が出迎える彦根駅前。彦根藩の祖である井伊直政公の騎馬像が出迎える

 ある春の朝、筆者は彦根駅に降り立った。なぜ彦根なのか? それはここに観光地とレンタサイクルがあるから! 自転車を持って行かずに現地調達でサイクリング観光する「手ぶらでレンタサイクリング」、今回は「ひこにゃん」で有名な滋賀県彦根市周辺を巡ってみよう。(米山一輝)

滋賀県彦根市

 中山道と北陸道が合流する彦根市は、古来より交通の要衝として栄えた土地だ。また戦国時代には戦略拠点としても重要な位置を占め、豊臣秀吉の天下統一後には五奉行の石田三成がこの地に置かれ、関ヶ原の戦いで三成が敗れると、今度は徳川方の譜代筆頭である井伊氏がこの地を治めて、周辺各国に対してにらみを利かせていた。現在も滋賀県東部の中心都市として、確固たる地位を保っている。

湖東レンタサイクル「めぐりんこ」

駅前の「アルプラザ彦根」1階にある、「めぐりんこ」の彦根駅前サイクルステーション駅前の「アルプラザ彦根」1階にある、「めぐりんこ」の彦根駅前サイクルステーション

 今回利用するレンタサイクルは、駅を出てすぐのアルプラザ彦根の1階に「彦根駅前サイクルステーション」を構える「めぐりんこ」だ。レンタサイクルの事務所というより、おしゃれなカフェの雰囲気のある店構えだ。店内には色とりどりのスポーツ系自転車がずらりと並ぶ。

 「めぐりんこ」は、彦根市と“湖東定住自立圏”を構成する周辺4町のエリアで利用できる観光自転車だ。同じブランドで彦根市以外の4町でも運営されているが、運営者は市町ごとに異なるという。彦根市の「めぐりんこ」は、もともと琵琶湖一周用のレンタサイクルを運営していた「五環生活」が手掛けていることで、貸し出される自転車もスポーツバイクが中心となっているという。「めぐりんこ」のサイクルステーションであれば、別の市町で借りた自転車を返却することが可能だ。

色とりどりの自転車が並ぶ「めぐりんこ」彦根駅前サイクルステーションの店内色とりどりの自転車が並ぶ「めぐりんこ」彦根駅前サイクルステーションの店内
希望者にはヘルメットも貸し出される希望者にはヘルメットも貸し出される
ステーション店内には、さまざまなおすすめコースが書き込まれた地図がステーション店内には、さまざまなおすすめコースが書き込まれた地図が

 利用料金は1日600円と、なかなかリーズナブル。女性の利用者も多いそうだ。今回はブリヂストンが展開するおしゃれ自転車「グリーンレーベル」の仲間である「マークローザ」を借りてみた。7段変速のスタイリッシュシティバイクだ。

今回はブリヂストンの「マークローザ」を借りてみることに今回はブリヂストンの「マークローザ」を借りてみることに
彦根では児童生徒はヘルメット着用義務らしい彦根では児童生徒はヘルメット着用義務らしい
彦根サイクリングに出発!彦根サイクリングに出発!

出発! まずは彦根城……ではなく

 彦根と言えばまずは国宝・彦根城!な訳だが、せっかく行動範囲が広がるバイクを借りたのだから、なるべく広範囲を走りたい。彦根城は最後のお楽しみに残して、まずは周辺の様々な観光地を巡ることにする。

 最初に訪れたのは、彦根の街を見下ろす位置にある、佐和山城址だ。

佐和山の麓を、地元の電車(近江鉄道)がゆっくり通過していく佐和山の麓を、地元の電車(近江鉄道)がゆっくり通過していく
佐和山城は最盛期の石田三成の時代には、五層の天守を誇ったという佐和山城は最盛期の石田三成の時代には、五層の天守を誇ったという
清涼寺には彦根藩初代藩主となった井伊直政の墓所が設けられて以後、井伊家の菩提寺となっている。現在も整備されていてとても綺麗清涼寺には彦根藩初代藩主となった井伊直政の墓所が設けられて以後、井伊家の菩提寺となっている。現在も整備されていてとても綺麗

 佐和山城は、鎌倉時代から江戸時代に彦根城が築城されるまで、この地の拠点だった山城だ。彦根藩はかつて佐和山藩だった。石田三成が城主を務めた頃には大幅に整備されて繁栄したが、三成が関ヶ原の合戦で敗れた後、善政を敷いて領民に慕われていた三成の威光を払拭するべく、新たに彦根城が築城され、佐和山城は廃城となってしまった。負ければ賊軍、とりわけ三成は「天下分け目の関ヶ原」での西軍の大将、賊将中の賊将ある。城は天守などの建物から石垣に至るまで全て取り壊されてしまい、一部は彦根城にリサイクルされたという。

 その後、長らく忘れ去られていた佐和山城址だが、現代に至って石田三成の再評価とともに、観光スポットとして再び注目されるようになっている。現在の佐和山は清涼寺、龍潭寺などの私有地だが、龍潭寺の拝観時間中(9時~17時)に寺の敷地内から登ることができる。

清涼寺の隣の龍潭寺(りょうたんじ)から城址に上がれる清涼寺の隣の龍潭寺(りょうたんじ)から城址に上がれる
入ってすぐに石田三成像が入ってすぐに石田三成像が
龍潭寺の山門。歴史を刻んだ風情がある、絶妙の手付かず感龍潭寺の山門。歴史を刻んだ風情がある、絶妙の手付かず感
観音堂と七福神。この右を抜けて上っていく観音堂と七福神。この右を抜けて上っていく
墓地を抜けて上っていく。ここを夜通るのは怖そうだ墓地を抜けて上っていく。ここを夜通るのは怖そうだ
普通に山道。傾斜もなかなか普通に山道。傾斜もなかなか

 午前中にここから彦根城を望むと綺麗だと聞きつけて、最初の経由地をここにしたのだが、軽い気持ちで来ると想像以上に大変だ。彦根駅から自転車で5分少々を走り、龍潭寺の前に駐輪。山門をくぐって山に入るのだが、大掛かりな道があるという訳ではなく、お寺の裏山を墓地を抜け登っていくという、ちょっとしたハイキングである。自転車シューズじゃなくて良かった……。

 20分ほど歩き、急に視界が開けた。本丸跡に到着である。いやはや、ホントに何もない。ここまで徹底的に何もないと、かえって「兵どもが夢の跡」という言葉を思い出して、風情を感じるものである。そしてここから眺める彦根の街、そして彦根城は話に聞く通りの絶景で、頑張って登ってきた甲斐はあったと感じられた。

太陽光の向きから、午前中に佐和山から望む彦根城はとても綺麗なのだという太陽光の向きから、午前中に佐和山から望む彦根城はとても綺麗なのだという
「武士(もののふ)の夢 佐和山」という看板が立つ。諸行無常を感じるアングル「武士(もののふ)の夢 佐和山」という看板が立つ。諸行無常を感じるアングル
かつての佐和山城の石垣と思われるものが、わずかに残っているかつての佐和山城の石垣と思われるものが、わずかに残っている
山を下りて、佐和山城址の本丸付近を見上げる。上にいる2人は、さっきすれ違った人たちだろうか山を下りて、佐和山城址の本丸付近を見上げる。頂上にいる2人は、さっきすれ違った人たちだろうか

 それにしても、かつてはこんな場所に武将達は居を構えていた訳で、水や食料やその他の物資輸送や、武具の上げ下ろしなどを考えると、それだけで気が遠くなる。現代人の体力ではとても太刀打ちできそうにない。早くも汗だくになった体に、今日のサイクリングの前途が思いやられた。

謎の金閣(の、ようなもの)とかいろいろ 佐和山遊園

金閣寺のようなものが…金閣寺のようなものが…

 佐和山城址から下りて、再びマークローザにまたがる。佐和山沿いにぐるっと南側に出ると、目の前の小山の斜面に何やら不思議な建造物群が見えてくる。遠目には金閣寺舎利殿のように見えるが、もちろん違う。地方にありがちなラブホ系の施設、というわけでもなさそう。近付けば近付くほど、摩訶不思議な建物たちが猛烈な迫力で迫ってくる。

 実はここ、彦根の裏観光スポットとして知られる「佐和山遊園」だ。なんでも石田三成を敬愛する地元の実業家が、一大テーマパークを目指し、40年近くの歳月を掛けて個人で作り続けられている(現在進行形)ものだそう。未だ正式オープンの日を迎えていないが、入口には「無料公開中」の看板が立てられ、自由に中を見て回ることができる状態となっている。

佐和山遊園のだいたい全景佐和山遊園のだいたい全景
手前の建物はかなり新しそう。ちなみに鉄骨造手前の建物はかなり新しそう。ちなみに鉄骨造
五重塔が出迎える。入口は開かれ、「無料公開中」の看板が立てられている五重塔が出迎える。入口は開かれ、「無料公開中」の看板が立てられている
なかなか立派な山門なかなか立派な山門
山門の脇にある金剛力士像、らしきもの。こんな感じの像があちこちにある山門の脇にある金剛力士像、らしきもの。こんな感じの像があちこちにある

 現在も新たな建物が建造中の佐和山遊園だが、一度作ってしまったものはあまりメンテナンスされている様子ではなく、施設内の安全性は保証されているとは言えない状態だ。B級スポットであると同時に、初期に作られた部分はすでに廃墟スポットに近い様相を呈している。公式の観光ガイドには絶対載らない場所だ。観覧する場合は自己責任で十分安全に注意して行くように。

こうして見るとなかなか趣のある金閣。壁の金色はアクリル板だけどこうして見るとなかなか趣のある金閣。壁の金色はアクリル板だけど
伝承と同じく5層の天守を備える佐和山城伝承と同じく5層の天守を備える佐和山城
金閣(瑞岳寺というらしい)の1階に鎮座する仏像たち。どうやらこれらもオーナーのお手製らしい金閣(瑞岳寺というらしい)の1階に鎮座する仏像たち。どうやらこれらもオーナーのお手製らしい
石田三成の騎馬像、だそう。彦根駅前の井伊直政像に対抗してのものだろうか石田三成の騎馬像、だそう。彦根駅前の井伊直政像に対抗してのものだろうか
佐和山遊園は国道8号線沿いの佐和山トンネルそばに位置する佐和山遊園は国道8号線沿いの佐和山トンネルそばに位置する

 場所は国道8号線の佐和山トンネル入口のすぐそば。佐和山の名を冠しているが、位置としては佐和山と国道を挟んで隣の山になる。ちなみに写真を撮っていたら、観光客らしきオッチャンに「佐和山はここじゃないのか?」と聞かれてしまった。オッチャンここは佐和山じゃないんですよ本物はあっちですよと教えてあげたが、果たして無事に佐和山城址には登れたのだろうか……?

次回予告:サイクルトレインに挑戦

サイクリングと言いつつ電車に乗っちゃいますサイクリングと言いつつ電車に乗っちゃいます

 ということで、以下次回に続く。2000文字以上書いておきながら、まだ10分くらいしか自転車に乗ってない気がするけど、気にしない気にしない。

 次回はまずサイクルトレインに乗車。本当に自転車を走らせる気があるのか? 待て次回!


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