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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<11>ジロ2週目は山岳へ 昨年の覇者ヘシェダルは輝くか、エヴァンスの可能性は?

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 ジロ・デ・イタリアは第1週が終了。山岳ステージ本格化を目前に、総合争いへの期待がより膨らむ状況になってきました。また、クラシック後に休養していた選手たちが各地のレースで続々復帰し、ツール・ド・フランスへ向けて調整スピードを上げ始めています。


ジロ第1週はニバリ “BIG7”の今後の展望をチェック!

 ジロ・デ・イタリアは第1週が終わり、1回目の休息日に突入。本文は第10ステージスタート直前に執筆しているのだが、休息日は選手のコンディション調整はもちろん、観る側にとっても頭を休め、状況を整理する時間でもある。そこで、前回触れた“BIG7”を中心に、第1週の走りと今後の戦い方を筆者なりに考えてみたいと思う。

マリア・ローザを着たニバリマリア・ローザを着たニバリ

 個人的に、今大会はヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)とブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)の力が抜け出ていると見ていた。実際、ニバリは現時点で総合トップに立ち、2人の差は1分16秒。ここまで決定的なアタックこそなかったが、終始ハイアベレージを残してきたことによるマリア・ローザといえるだろう。しいて挙げるなら、かつて得意としていたタイムトライアルで復調(第8ステージでトップと21秒差の4位)したことがポイントか。

 一方のウィギンスは、雨の下りでの遅れが目立ち、苦戦の日々を過ごした。期待された個人タイムトライアルは、トラブルを乗り越えて2位に食い込むも、ライバルとの差を取り戻すとまではいかず。昨年のツール・ド・フランスと比較すると、トップコンディションではないのかもしれない。また、その時に見せた“スカイトレイン”がレースを支配できてないのも一因だろう。リゴベルト・ウラン、セルジオルイス・エナオ(ともにコロンビア)との確執も噂されるなど、チーム状態が影響しているとの見方もある。

好調とはいえないウィギンスの視線の先にはマリア・ローザ好調とはいえないウィギンスの視線の先にはマリア・ローザ
急遽出場することになったジロでリラックスした走りを見せるエヴァンス急遽出場することになったジロでリラックスした走りを見せるエヴァンス

 アウトサイダーとして大きな可能性が生まれたのは、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)。かつてのツール王者は、このところの不調もあり、優勝候補からは一歩後退していると見られていた。しかし、毎ステージ上位に名を連ね、第9ステージ終了時点で29秒差の総合2位。プレッシャーから解放されて、リラックスして走ることができているのは本人も認めるところ。あとは、ジロへの出場が急遽決定したことにともなう、突貫工事的な調整の影響が今後の勝負どころで悪い方に出ないことを祈りたい。山岳ステージが続く第2週は、我慢のレースとなるだろう。

2012年の覇者ヘシェダルの激走にも期待2012年の覇者ヘシェダルの激走にも期待

 第2週で攻撃を仕掛けていきたいのは、ロベルト・ヘーシンク(ブランコ プロサイクリング)、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)。それぞれ、タイムトライアルでの遅れ、第3ステージでの落車の遅れを取り戻したい。また、第9ステージで大きく遅れたライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)の奮起にも期待。昨年見せた、山岳での激走の再現なるか。

 マリア・ローザ争いと同時に熾烈を極めるのが、マリア・ビアンカ(新人賞)争い。最有力は、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ブランコ プロサイクリング)と、ラファル・マイカ(ポーランド、チーム サクソ・ティンコフ)。それぞれ、総合12位、16位につけ、2人のタイム差は43秒。ヘーシンクのアシストを務めるケルデルマンに対し、チーム サクソ・ティンコフはマイカをエースに立てており、今後チームとして積極的に動いてくるかもしれない。

 休息日明けの第10ステージは1級山岳、翌第11ステージは2級山岳のそれぞれ頂上ゴール。この2ステージで、有力選手たちのコンディションを再度チェックしたい。

ツアー・オブ・カリフォルニア開幕 コンチネンタルチームのチャレンジ精神が光る

 アメリカ大陸最大のステージレース、ツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC、全8ステージ)が開幕。UCIプロチーム8、プロコンチネンタル3、コンチネンタル5の、計16チームが出場。昨年、4連勝を含むステージ5勝を挙げたペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール プロサイクリング)のほか、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード・トレック)らが乗り込み、ツール・ド・フランスに向けた調整を行う。

カリフォルニア州旗がはためかせて応援する観客(2009年ツアー・オブ・カリフォルニア)カリフォルニア州旗がはためかせて応援する観客(2009年ツアー・オブ・カリフォルニア)

 執筆段階までで2ステージが終わり、第1ステージはリーウ・ウェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)が逃げ切り勝利。大会最初の山頂ゴールとなった第2ステージはハビエル・アセベド(コロンビア、ジェイミス・ヘイゲンスバーマン)が勝利し、リーダージャージを獲得。

 各大陸レースにおいて、トップチームを凌駕する地元ライダーが次々と登場する傾向にある。1月のツール・ド・サンルイス(アルゼンチン、UCI2.1)でのダニエル・ディアス(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)や、4月のツアー・オブ・ターキー(トルコ、UCI2.HC)でのムスタファ・サヤル(トルコ、トルクセケルスポル)、今回のアセベド。地元を拠点に活躍する強豪ライダーの増加は、サイクルスポーツの国際化を裏付ける結果でもあるだろう。

 第6ステージの個人タイムトライアル(31.6km)と、マウント・ディアブロの山頂ゴールとなる第7ステージで総合争いは決着。アセベドがリーダージャージを守るのか、プロチーム勢の巻き返しなるか、熱いレースになること必至だ。

今週の爆走ライダー: アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)

「爆走ライダー」とは…
1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 爆走ライダーより、“鉄人ライダー”の方がふさわしいかもしれない。昨年は、ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャと、唯一の全グランツール完走を果たしている。

2012年ジロの第7ステージ表彰台でオーストラリア国旗を広げるハンセン2012年ジロの第7ステージ表彰台でオーストラリア国旗を広げるハンセン
ハンセンは、話題をさらっている自作のカーボン製シューズを履いてジロに参戦中ハンセンは、話題をさらっている自作のカーボン製シューズを履いてジロに参戦中

 タイムトライアルを得意としているだけあって、平地巡航に強さを見せる。ここ数年は、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)のためのトレイン牽引役を担う。そんな忠実かつタフなアシストマンにとって、数少ない“自分のために走るチャンス”をジロ第7ステージで見事にモノにした。個人での勝利は約3年ぶりだ。

 かつては、プログラマーとして働いていたという異色の経歴を持つ。また、ユーモアセンスも高く、プレシーズンのキャンプでは日々レポートをツイッターにアップ。「こんなにハードだったんだぜ!」とばかりに、ところ構わず倒れ込んでいる写真を挙げていた(もちろんネタ)。

 このジロでは、彼の履くロードシューズが話題になっているのだが、なにやら自作のカーボン製のものなのだとか。105gという軽さも驚きだ。このほど、7月に商品化が決定し、「Hanseeno」なるブランドを立ち上げた。ロードシューズの新調を検討している筆者も、実は気になって仕方がないのである。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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