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山田美緒の「旅する満点バイク」<9>過酷で美しいナミビアの砂漠地帯 53℃の道を走り抜ければパンもほかほかに焼ける!

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 アフリカ8カ国自転車旅の中で、一番きれいだったところ――それは、ナミビアのナミブ砂漠です。砂漠を自転車で走るというと驚かれるかもしれませんが、砂漠にも道はあります(もちろんないところもあります)。舗装はされていませんが、除雪車ならぬ“除砂車”により整備されたところが道になっています。

 砂漠にまっすぐに伸びる一本道。さえぎるものがないので、何十kmも先が見渡せます。

 ナミビアでは、1日だいたい100kmを目安に町や集落、ロッジなど人のいるところを目指して走りました。砂漠につけたタイヤの跡を見ながら、ときどき休憩しつつ。その間はほとんど無人地帯ですれ違う車もほとんどなく、いつもうるさくブンブンつきまとっていたハエの姿もありません。

ひたすらまっすぐに伸びる道ひたすらまっすぐに伸びる道
前泊地をスタートしてすぐは大声を出してヒヒを追い払いながら走行した前泊地をスタートしてすぐは大声を出してヒヒを追い払いながら走行した
クルマで遠出したフィッシュリバーキャニオンクルマで遠出したフィッシュリバーキャニオン

 それもそのはず、最高気温はなんと53℃! 風が吹いてもドライヤーの熱風を浴びているよう。熱風を鼻から吸い込めば鼻血が出て、両手両足はもちろん顔もすべて衣類や布で覆っていないと火傷をして水ぶくれができてしまうほど。汗をかいてもどんどん蒸発してしまうので、運んでいた10L(リットル)の水も1日で空になってしまうくらいでした。

砂漠にて、ほかほかパンと紅茶でほっと一息…砂漠にて、ほかほかパンと紅茶でほっと一息…

 そんな砂漠で、あるとき香ばしいにおいがするなぁと思ったら…なんと! 前かごに積んでいたパンがほかほか焼けているではありませんか。お湯になった水で紅茶を淹れてほっと一息。

 タイヤも暑さで弱ってしまったのか、何度もパンクをしました。そこで、いつか役立つ(?)砂漠でのパンク修理法を伝授します。自転車屋さんが水を張ったバケツにタイヤを入れているところを見たことがある方はいらっしゃると思います。ブクブクブクと泡が出るところがパンク箇所、水で調べるのが一番早いですね。

 ですが、砂漠に水はありませんし、あったとしても貴重なので使えません。ここでは、唇を使います。唇を少し湿らせてタイヤの回りをぐるっと一周。冷たい風の当たるところがパンク箇所です。唇は、手のひらや指よりも敏感なのでお勧めです。

冷たいものや肉をくれたドイツ人夫婦。神に見えた冷たいものや肉をくれたドイツ人夫婦。神に見えた

 そうやってパンク修理をしていたら、通りかかった車が目の前で止まりました。

 「何してるの!?」

 とても驚いた様子で降りてきたのはドイツ人夫婦。それから質問攻めです、そりゃアジアの女の子がひとり、砂漠の真ん中で自転車に乗っているのですからびっくりしますよね。別れ際、車のクーラーボックスからよく冷えたコーラと、サラミ、パンをいただきました。砂漠の真ん中で冷たいものが手に入るなんて! 走り去る車を、まるで神のように見送りました。

砂漠に朝がきた(「Dune45」という名所)砂漠に朝がきた(「Dune45」という名所)

◇      ◇

 こんなに暑い砂漠でも、夜は気温が10℃以下まで下がり昼間の熱気が嘘みたい。空には満点の星。月明かりに照らされた静かな砂漠は、とても綺麗です。

 夜は、靴をテントの中に入れるのを忘れずに。サソリが潜り込んでくるのです。サソリは温かいところが好きらしく、私が眠るテントの下によく潜り込んできていました。

 ナミビアの砂漠道は過酷でしたが、自然の偉大さ、人間の小ささを思い知るとても貴重な経験でした。

文・写真・イラスト 山田美緒

山田美緒山田美緒(やまだ・みお)
大阪府生まれ。サイクリストとして世界中を旅してきたほか、一般社団法人コグウェイを設立し、「四国ディスカバリーライド」などを主催。著書に、アフリカ大陸縦断記をまとめた『マンゴーと丸坊主』、女性サイクリストたちとの旅や交流の体験記『満点バイク』がある。ブログURL(http://mantem.exblog.jp/)

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