ドイツ人サイクリストのMTB旅<6>雨の東京を疾走 駐日ドイツ大使と次の旅を約束

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<5>富士登山ののち、「東京横浜独逸学園」で旅を語る

5月15日、火曜日

ドイツに比べ暖かい雨の東京をMTBで巡るドイツに比べ暖かい雨の東京をMTBで巡る

 オーアーゲー・ドイツ東洋文化研究協会のレーダー博士から推薦されていたルートヴィヒ協会長とのミーティング。この日もGPSナビは不調だったが、ルートヴィヒ協会長は自分のロードバイクで東京中を颯爽と先導してくれたので、行程は順調に進んだ。一度だけ雨が降ったが、ヘッセンと比べれば暖かい雨である。

 次にフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトの胸像を訪れた、中央区の明石町地区で探しまわった末に見つけることができた。

 上流階級が暮らす住宅街として知られ、多くの芸術家、ビジネスマンや有名人が居を構える港区麻布地区も、ドイツにゆかりがある。江戸時代の初期、ハンス・ヴォルフガング・ブラウンは、平戸で鋳造された臼砲の試射を麻布で実施した。1609年10月30日にマールブルクの鋳鐘マイスターの息子として生まれたブラウンは、「日本に来た最初のドイツ人」ともいわれているが、本当のところはわからない。

 次の訪問地は、東京工業大学の大岡山キャンパス。そこでは、ハノーバーで1831年に生まれたゴットフリード・ワグネルを顕彰する「ドイツ人教授の記念碑」探した。彼はザカリアス・ワグネルと共に、青陶器の父と評されている。また、シーボルトと並び、日本で最も幅広く活躍した外国人の一人だ。

 しかし、残念ながら記念碑は見つけられなかった。事前にいくつかの情報や写真を入手していたのだが、どうやら誤った場所を探していたようだ。実際には大学本部棟の脇にあったのだが…。15時にドイツ大使館で約束があり、そこにはどうしても遅れていくわけにはいかなかったので、探索を断念した。

シュタンツェル大使と次の任地でも会うことを約束したシュタンツェル大使と次の任地でも会うことを約束した

 ヘッセン出身のフォルカー・シュタンツェル駐日ドイツ大使は、駐中国大使時代から知っている。大使館のスタッフは、敷地内の高貴な日本庭園を通って私たちを案内してくれた。シュタンツェル大使は、すでにずっと前から私たちのプロジェクトを熱心に支援してくれていた。このため私たちも、大使館の支援に応えるために、旅の報告を約束していた。

ドイツ大使館のみなさんへ旅の報告ドイツ大使館のみなさんへ旅の報告

 大使と夫人には、母国の蜂蜜と、ラインハルト・バルツアーの本を贈った。大使は私たちを、彼の次の任地であるカリフォルニアに招待してくれた。事前の打ち合わせはなく、その場で約束してくれたものである。

 帝国ホテルに戻る途中、繁華街で有名な渋谷に寄り道をする。雨が降る中、不慣れな地で50キロも走った後、再びホテルに向かった。残念ながら、江戸東京博物館は訪問できなかった。博物館に展示されている「明暦の大火 罹災市街の図」は、出島の初期の住人であったザカリアス・ワグネルらが描いたという。

 東京の北東部の墨田区向島にある三囲(みめぐり)神社にある、フレデリック・ヴィルヘルム・ヘーン(1839~1892)の記念碑も、スケジュールの犠牲となって訪問できなかった。ヘーンはフランクフルト・オーデルで生まれ、1885年から92年にかけて日本全国の警察を視察し、発展に寄与した。

 ホテルに戻ると、すべての旅程を走りきった自転車をケースにしまい込んだ。午後6時、宿泊や荷物の手配で私たちを支援してくれた東京都の関係者と会談した。彼らは、私たちが満足したかどうか、そして、より多くの観光客や自転車ツーリング客を東京に誘致するために、何を改善すべきかを質問し、私たちのアドバイスを熱心にメモした。1月に、フランクフルトで東京のシティ・プロモーションが行われる予定で、そこに私たちも参加するように招待された。

 最後に、素晴らしい日本料理を楽しんだ。この夜の料理は、私たちをさらに満足させてくれた。日本のビールも素晴らしく、真夜中過ぎまで楽しんだ。

5月16日、水曜日

 いよいよ帰路に就く。バスでの移動もフライトも順調で、フランクフルトには定刻通り着陸した。総距離は150km。6日間の旅で、これは多い距離とは言えないが、それを上回る充実した経験ができた。 <完>

レポート文・写真 ”Hinterländer Mountainbiker”(ヒンターランドのMTB乗り)

Hinterländer Mountainbiker(ヒンターランドのMTB乗り)
ドイツ・ヘッセン州、ヒンターランド出身のハラルド、ヨルク、マティアス、ウリ、ジギの5人から成る、MTBのグループ。1992年より、世界に散在するドイツ史を求め各地をMTBで訪れている。ヨーロッパのほか、中国、ブラジル、ナミビアを回り、今回は「日本に秘められたドイツ史をMTBで発見する旅」。

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