ツール・ド・フランス2012 第8ステージ乱戦の山岳ステージ フランスの新星ピノが独走勝利

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 ツール・ド・フランス2012は第8ステージ、ベルフォールからポラントリュイまでの157.5kmで行われた。ひっきりなしに合計7つの山岳ポイントを越える厳しいコース。レースは序盤から終始乱戦気味となり、最後の上りで単独先頭に立ったフランス期待の22歳の新星、ティボー・ピノ(エフデジ・ビッグマット)がゴールまでの16kmの下りを独走で逃げ切って優勝した。

スタート前にメカニックと共に自転車を調整する新城幸也スタート前にメカニックと共に自転車を調整する新城幸也
スタートでコースについて話し合うバッソとニバリスタートでコースについて話し合うバッソとニバリ

 スタート直後からイェンス・フォイクト(ドイツ、レイディオシャック・ニッサン)のアタックをきっかけに、まず11名の先行グループが形成された。プロトンはこれを容認するかと思われたが、ここに選手を送り込めなかったアスタナ勢がこれを強力に追走。これがこの日の乱戦の引き金となった。

 追走のプロトンは逃げを吸収。その寸前に飛び出したフォイクトのみが独走で先行。そしてプロトンとの間に20人ほどの追走集団ができるが、互いのタイム差は大きく開かず、安定しない。プロトンからは次々と選手が遅れ、人数はスタート時の半分ほどとなってしまう。

序盤に攻撃に出たイェンス・フォイクト(ドイツ、レイディオシャック・ニッサン)序盤に攻撃に出たイェンス・フォイクト(ドイツ、レイディオシャック・ニッサン)
マイヨ・ジョーヌ、ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)マイヨ・ジョーヌ、ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)

 そのさなか落車が発生。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)とサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)というスペインの英雄同士が絡んだこの落車は、サンチェスが鎖骨を骨折してリタイア。前回北京五輪の勝者であるサンチェスだが、今年のツールと同時に、直後に控える五輪連覇の夢まで打ち砕かれてしまった。

 フォイクトが追走グループに捕まると、今度はブレル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル ラモンディアル)が単独アタック。これが捕まると今度はジェレミー・ロワ(フランス、エフデジ・ビッグマット)が、そしてそれが捕まると、次はフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ プロチーム)が単独で先頭に立つ。

スイスの熱狂的なファンスイスの熱狂的なファン
スイスの高原地帯を行くプロトンスイスの高原地帯を行くプロトン

 国境を越えてスイスに入ったレース後半、5つ目の山岳ポイントを過ぎて独走となったケシアコフは、今年のツール・ド・スイスの個人タイムトライアルでカンチェッラーラ(レイディオシャック・ニッサン)を破ってステージ優勝を遂げているタイムトライアルのスペシャリスト。単独ながら快調に飛ばして、6つ目の山岳ポイントもトップで通過する。プロトンまでは約3分半差だ。

逃げ続けるフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ プロチーム)逃げ続けるフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ プロチーム)

 最後の山岳ポイントを前に追走グループからピノがペースアップ。他の選手らを千切り、頂上を目前にケシアコフを追い抜いて単独トップに立つ。一方プロトンではスカイに代わって先頭に立ったロット・ベリソル勢がペースアップ。最後はエースのユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー)が攻撃すると、集団はほぼエース級のみの10名弱まで人数を減らしてしまう。ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)やカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)もここに残っている。

 最後のゴールまでの下りで、集団からダウンヒルを得意とするヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)がアタックするが、これは決まらない。一方先頭はピノが独走。そこから10秒ほどの差で山頂を通過したケシアコフは、下りでのミスもあってピノを追い切れず、逆に集団に追い抜かれてしまう。

第8ステージで優勝したティボー・ピノ(エフデジ・ビッグマット)第8ステージで優勝したティボー・ピノ(エフデジ・ビッグマット)
山岳賞リーダーとなったケシアコフ山岳賞リーダーとなったケシアコフ

 先頭を猛追する集団だったが、ゴールまでにピノを捕えることはできなかった。チームカーに乗る監督からの声を聞いてガッツポーズ。ツール初勝利を、見事な独走で飾った。集団は26秒差で入り、エヴァンスが先頭で2位に入った。日本の新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は16分41秒遅れの129位でゴールした。

 総合トップはウィギンスで変わらず。山岳賞トップは逃げ続けたケシアコフが、ステージ敢闘賞と共に獲得した。明日はいよいよ第1週の締めとも言える、個人タイムトライアルでの戦いとなる。

 

第8ステージ結果
1 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ・ビッグマット) 3時間56分10秒
2 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +26秒
3 トニー・ギャロパン(フランス、レイディオシャック・ニッサン) +26秒
4 ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング) +26秒
5 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +26秒
6 ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル チーム) +26秒
7 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング) +26秒
8 デニス・メンショフ(ロシア、カチューシャ チーム) +26秒
9 アイマル・スベルディア(スペイン、レイディオシャック・ニッサン) +26秒
10 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レイディオシャック・ニッサン) +30秒
129 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +16分41秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング) 38時間17分56秒
2 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +10秒
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +16秒
4 デニス・メンショフ(ロシア、カチューシャ チーム) +54秒
5 アイマル・スベルディア(スペイン、レイディオシャック・ニッサン) +59秒
6 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング) +1分32秒
7 マキシム・モンフォール(ベルギー、レイディオシャック・ニッサン) +2分0秒
8 ユルヘン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル チーム) +2分11秒
9 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル ラモンディアル ) +2分21秒
10 レイン・タラマエ(エストニア、コフィディス ルクレディアンリーニュ) +2分27秒
123 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +41分11秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 217 pts
2 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 185 pts
3 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル チーム) 172 pts
4 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、スカイ プロサイクリング) 129 pts
5 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD) 109 pts
6 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイ プロサイクリング) 95 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ プロチーム) 21 pts
2 クリストファー・フルーム(イギリス、スカイ プロサイクリング) 20 pts
3 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 18 pts
4 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ・ビッグマット) 16 pts
5 ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング) 12 pts
6 ミカエル・モルコフ(デンマーク、チーム サクソバンク・ティンコフバンク) 9 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 レイン・タラマエ(エストニア、コフィディス ルクレディアンリーニュ) 38時間20分23秒
2 トニー・ギャロパン(フランス、レイディオシャック・ニッサン) +46秒
3 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ・ビッグマット) +1分14秒

チーム総合
1 レイディオシャック・ニッサン 114時間56分52秒
2 スカイ プロサイクリング +2分51秒
3 リクイガス・キャノンデール +10分6秒

敢闘賞
フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ プロチーム)

 
(文 米山一輝/写真 砂田弓弦)

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